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ピアサポートとしてのエッセイ

 皆さんは"ピアサポート"という言葉をご存知だろうか。

 「ピア」は英語のpeerを由来とし、仲間、対等、同輩を意味する。「サポート」は英語のsupportからの由来で援助を意味し、「対等の援助」を意味する。
 最近"ピアサポート"という言葉を知った。曰く、特に当事者間でのかかわりとして、精神保健福祉領域はもとより、ガン経験者同士、子育てをする親同士、更には大学の先輩後輩間などの意味で、ピアサポートという用語が広く使われはじめているらしい。

 こぐま書房では2022年より”履歴書籍”というノンフィクションのエッセイ集を刊行している。正規の履歴書には書けない本当の履歴書と銘打って、文学フリマという文学同人イベントで販売している。同誌のラインナップとしては、生活保護自己破産の履歴書。発達グレーゾーンの履歴書。元カルト宗教二世の履歴書。元外見コプレックスモデルの履歴書。年の差婚の履歴書。入らない女と、入れたい男の履歴書、などなどを扱ってきた。自分の身の回りの友人の話を収集して、同人誌に仕立て上げた本だ。

 履歴書籍に載る多くのエッセイは、ネット検索では中々出てこない当事者の声を扱っている。多くの人の解決策にはなり得ないが、マイノリティの人が探し求めていた結果の一例が、履歴書籍には載っている。更に、読み手だけでなく、書き手にも一定のトラウマの克服の作用も見られた。
 そんな時にピアサポートという言葉を知り、履歴書籍が扱ったエッセイはこの言葉に該当する文学作品群ではないかと思い至った。

 なるほど。エッセイはピアサポートとしての作用がある。では、こぐま書房、履歴書籍の今後の方針は決まった。今後の活動方針は

ピアサポートとしてのエッセイの普及。
及び、ネット検索では出てこない解決事例のn=1を増やす。

 これから先、10年の仕事の一つとして継続的に取り掛かることとする。10年後、継続するか、打ち切るか、発展させるか、継承するか、その時を楽しみにしたい。

2024年7月20日 こぐま書房 主宰 tomo

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