杉田かおるnovels

今年最愛の母の7回忌終えて、降りて来たかの様に文章を書いています❣️私と母の愛の原点を小説にしてみました💕 全て私の妄想です🌿 杉田かおる

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ミネコ1934 第四章 そして、失恋 

  第四章 そして、失恋  思いもよらず八十歳過ぎまで長生きしたミネコだったが、過去の肝心なことはほとんど何も告げず、あの世へ旅立ってしまった。 そう。とうとうミネコは、娘である私の本当の父親の名さえ明かさず、墓場まで持って行ってしまったのである。 ミネコの人生行路は、霧の彼方に浮かんでは消える。それでも私は、知られざる母の謎を追い求めて、夢想の世界へと足を踏み入れるのだった。 住み慣れた九州から、逃げるようにしてたどり着いた岩国――。 タイプの猛特訓のお陰もあって

    • ミネコ1934 第三章

      第三章 ヤクザとの邂逅 昭和二十五年、春。  ミネコは住み慣れた九州の街を離れ、汽車に乗って岩国へと向かっていた。  その前年の春にミネコは中学を卒業し、看護婦になる夢を抱いて、家から少し離れた街にある看護学校に入学していた。 いまでは男女の別なく「看護師」と称されるが、当時の「看護婦」は、若い女性にとってあこがれの職業であった。 初めての寮生活は、それなりに充実したものだった。  大学病院に付属する看護学校の図書館は、ワンダーランドのようで、消灯時間のギリギリまで読書に

      • ミネコ1934 第二章 

         第二章 椰子の実  少女からオンナになる日、その日は突然やってきた。  中学三年の夏休みが終わり、新学期が始まると、ひとりの男性教員が転勤してきた。  前職が船乗りだったその男性教員は、外国船に乗り組んで世界の港を巡ったという。英語もネイティブに近いほど堪能だった。日に焼けた彫の深い顔。筋肉質の身体つき。海の男に特有のギラギラした眼つき。近づきがたいワイルドな雰囲気を身にまとっていた。 「ジョン万次郎みたいなヒトだなぁ」  ミネコは好奇心に胸を躍らせた。  そうだ、この先

        • ミネコ 1934 第一章

          プロローグ わたしはいま、ウユニ塩湖の畔にいる。 見渡す限り塩の湖。 最愛の母が亡くなって半年。瞳を閉じると肺を病んで久しい母が苦しそうに、 「一緒に行こう」 そう耳元で囁く声が聞こえてきた。 この湖の果てまで行けば、また母に逢うことができるだろうか。でも、果てっていったい何処なのだろう。 もしかしたら、母と過ごした五十余年、この世の果てをわたしは母と一緒に旅していたのかもしれない。 胸が苦しくなってきた。 体温が三十四度近くまで下がり、心拍数も五十を切りそうだ。 このまま