ミネコ 1934 第一章
プロローグ
わたしはいま、ウユニ塩湖の畔にいる。
見渡す限り塩の湖。
最愛の母が亡くなって半年。瞳を閉じると肺を病んで久しい母が苦しそうに、
「一緒に行こう」
そう耳元で囁く声が聞こえてきた。
この湖の果てまで行けば、また母に逢うことができるだろうか。でも、果てっていったい何処なのだろう。
もしかしたら、母と過ごした五十余年、この世の果てをわたしは母と一緒に旅していたのかもしれない。
胸が苦しくなってきた。
体温が三十四度近くまで下がり、心拍数も五十を切りそうだ。
このまま