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セミマル・イン・ザ・ハウス(中編)
★前編はこちらからどうぞ(ノシ*`ω´*)ノシ
【忙しい人のための前編あらすじ(´●ω●`)y-】
世界平和のために日々戦い続ける、気高き女戦士Mero。束の間の休息をとるため自軍基地に戻ったところで、ミスター・セミマルの急襲に遭う。油断していたMeroは全く抵抗できず、セミマルにあっさり司令室を占拠されてしまう。このままでは世界の平和が危ない。危険が危ない。頭の頭痛が痛い。鬼神の盾を手に、司令室に向かうMero。Meroの明日はどっちだ!?
家に蝉侵入では警察は呼べないよね
セミマルは一向に出てこない。恐る恐る、テーブルの下や冷蔵庫の横を覗き込んだが、彼はどこにもいない。いや必ずこの部屋のどこかにはいるのだが。そして彼を見つけたところで、オイラは硬直して何も出来ないかもしれないのだが…
とその時。
「ブブブ!!!!!ブブブブ!!!!ブブブブ!!!!!!!」
キャャアァァァ━━(((|||゚Д゚)))━━!!!!!!
ポケットのスマホのバイブ機能が作動しただけだったが、一瞬セミマルに服の中へ侵入されたと勘違いし、再び叫び声をあげてしまう。やめてよ…このタイミングでのバイブ機能は絶対ビクついちゃうって。この30分で、寿命が30年くらい縮んでいる。
隣人に聞かれたら、事件と思って警察呼ばれるんじゃないかってレベルの叫び声を上げてしまったが、いっそ警察に来てもらったほうが良いんじゃないか。いやいや、部屋に蝉が入ったくらいで通報するヤツはいないだろ。「警察は民事不介入。いや、ミーン時不介入。なんつってwwww馬鹿野郎wwww」って捨て台詞を残して、帰ってしまうだろう。
遠くの旦那より近くのセミマルハンター
電話の主は旦那であった。
「こんな時に電話してこないでよ!(#`Д´)」
「いや…だって留守電に…」
客先でスマホの電源をOFFにしていたらしい。仕事が終わり、留守電を聞いてすぐに折り返したとのこと。読者のみなしゃまには優しい旦那、出来る旦那に映るかもしれないが、今オイラが必要としているのは、遠くの旦那より、圧倒的に近くの百万円セミマルハンターなのだ。
話が長くなりそうなので、一旦寝室に戻り、ここまでの事の経緯を話すと、旦那が爆笑したので、オイラは無言で電話を切った。すぐにお詫びの折り返しがあり、1つの助言をくれた。
「何でも屋さんを呼んだら?」
「え?(´めωめ`)ナンゾ」
「ほら、冷蔵庫に貼ってなかった?」
あ…思い出した。2か月前の日曜の昼下がり。若いイケメン男子がウチを訪ねてきて「この近辺で何でも屋してるんで、良かったら呼んでください!24時間かけつけますんで!」とマグネットタイプのチラシを置いていったんだ。
「ちょっと待って。取ってくる」
オイラは鬼神の盾(うちわ)を手に、再度ダイニングルームに侵入。冷蔵庫から何でも屋さんのマグネットをゆっくり外し、そそくさと寝室に戻る。
「回収処分、ハウスクリーニング、遺品整理、引っ越し……虫退治は書いてないよ」
「何でも屋さんだし、書いてなくてもやってくれるでしょ。とりあえず連絡してみたら?今のままじゃどうしようもないんだし」
「セミマルと戦う市民の会」結成を決意した夜
死ぬほど悔しいがその通りだった。虫の類はそこまで苦手ではないのだが、蝉だけはどうしてもダメなのだ。藁にも縋るとはこのことだな…と、オイラはマグネットに書かれた携帯番号に電話をした。
出ないじゃん!(#`Д´)
24h受け付けてます!って言ってたじゃん!(#`Д´)
あのイケメン兄ちゃんの嘘つき(ノシ*`ω´*)ノシ
もうおしまいだ。間違いなく一生で一番高額な買い物のマンションは、今やセミマルの手に落ち、オイラたちは立ち退きを命じられている。もはやここには住めないのに、セミマルのためにあと20年ローンを払わないといけないのだ。「おうおう姉ちゃん、ワイらに黙ってこんなとこ住める思うとんのか!?」そう、我々はセミマルに不当にみかじめ料を請求されているのだ。こうなったら「セミマルと戦う市民の会」を結成するしかないな。セミマル・オンブズマン。略してセミオンブ。馬鹿野郎wwwwwww
とアフォな妄想をしていると
「ブブブ!!!!!ブブブブ!!!!ブブブブ!!!!!!!」
キャャアァァァ━━(((|||゚Д゚)))━━!!!!!!
スマホのバイブ機能2nd Season。帰ってきたスマホのバイブ機能。スマホのバイブ機能リターンズ。劇場版・スマホのバイブ機能。いや、こういう下らないこと書いてるから記事が長くなるんだぞめろ。反省せいよ。
セミマルめ。逢坂君がくればこっちのものだ
「〇〇屋です!先ほどはお電話出られずすみません!」
今度の電話の主は、何でも屋のイケメン兄ちゃんだった。ここでは彼の名を逢坂(おうさか)君としよう。バイク運転中で電話に出られず、折り返したとのこと。とても礼儀正しい逢坂君であった。
「実は家苦過苦死可辞化で…お願いできますでしょうか」
「大丈夫です。伺います。お名前とご住所を教えて頂けますか」
逢坂君は誰かさんとは違い一切笑うことなく、真剣にオイラの話を聞いてくれて、すぐに行きます!と爽やかに答えてくれた。なるほど、世の女性はこうやって不倫していくんですね(オイ)。
電話を切ってから僅か15分でインターホンが鳴った。最後の勇気を振り絞り、ダイニングルームをそそくさと抜けて、逢坂君を迎えに玄関に向かう。
「こんばんは!〇〇屋です」
「すみません、こんなのでわざわざ来ていただいて…」
「いえいえ、お任せください(ニコッ」
よっしゃ。逢坂君に来てもらえばこっちのものだ。セミマルめ。これ以上デカい面はさせないぞ。というか、正直この時点でセミマルが生存しているかも怪しかったが、そうなったらそうなったで、後が厳しい。いずれにせよ、今のオイラには逢坂君が必要なのだ。
虚言癖のある女だと思われたくなかった
逢坂君を静かなるダイニングルームにエスコートし、この部屋にセミマルがいることだけは間違いないと告げる。別部屋で待機していてください。終わりましたら報告しますと逢坂君。何とも頼もしい。世の中の女性はこうして不
だがしかし。だがしかーし。逢坂くんがガサゴソ探しているような音は聞こえてくるのだが、寝室で10分、15分待っても声がかからない。もしや逢坂君もセミマルとグルか!?オイラの基地を掌握せしめんとやってきた、悪の結社の一味、ミスター・オウサカか!?…と失礼極まりない妄想を炸裂させていると、ようやく逢坂君から声がかかった。
「一通り見たんですけど、いないですね…」
「ええ…」
まじかよ逢坂君。まじかよセミマル。
「見つけにくいところに入り込んでしまったかも知れないですね…」
オイラの思考は、「セミマルを何とかしてほしい」から「逢坂君に、虚言癖のある女だと思われたらどうしよう」に移行していた。もはや何を求めているのか、自分でもわからない。
「いや、絶対にこの部屋にいるんです!ウソじゃないです…」
「あ、大丈夫です。そこは疑ってないんで笑 もう少し探してみますね」
約束の30分を過ぎても、逢坂君は必死に探してくれた。ソファの下、コンロの奥、戸棚の中、段ボールの中、鞄の中、机の中、向かいのホーム、路地裏の窓、明け方の桜木町。そんなとこにいるはずもないのにって場所まで見てくれた。なのに、セミマルは姿を現さない。
「ちょっと見つからないですね…」
「はい…」
ここで、逢坂君が新たなる提案をしてきた。
タイトル「後編」で最初書き出したのに。無駄に引っ張りたいわけじゃないのに。鮮烈なオチがあるわけじゃないのに。この後はゆっくりフェードアウトするような展開なのに。油断するとすぐに3000文字overだよ。
てことで
🎤(´めДめ`) コンドコソ コウハンエー ツヅクー
※次回は何文字になっても完結させますorz