人間の歯は50年しか保たないように作られているという。かかりつけ歯科医の口癖である。歯の寿命を延ばすためには、しっかりブラッシングして虫歯と歯肉炎を防ぐこと、といつも言われていた。そのとおり真面目にやってきたため、染め出し液で歯垢チェックをしてもほぼ問題ないレベルを何年も維持してきた。
 だが、このところ詰め物がとれることが多い。年末に入れたばかりの詰め物が先日とれてしまった。歯科医いわく「詰め物がとれてしまうとか、あとは(詰め物の)金属摩耗をみる限り、久松さんは噛み締めがつよいですね」。
 「おそらく、集中して仕事をするときに、知らず知らずぎりっと噛んでいるはずです」「無意識で相当歯ぎしりもしていると思います」「歯を失うのは、中高年では歯肉炎とみな思っていますが、破折も多いんです」
 この歯科医にはもう十数年かかっているので、わたしのことはよく知っている。彼女が言うならそうなのかもしれない。「(詰め物が取れたり破折を防ぐために)マウスピース作ってみますか?」と提案された。
 聞いたことはある。歯ぎしりを防止するため歯に被せるやつね。睡眠時無呼吸症候群の知り合いが使っているのは知っていたが、効果については聞いていない。
 だが、付き合いも長い歯科医が言うなら試してみる価値はある。お勧めにしたがって、2週間前に歯の型取りをした。
 その後、マウスピースについて調べてみた。噛み締めによる力が分散されて歯のすり減りを防止し、歯を守ってくれる、詰め物が長持ちする、さらに顎の筋肉疲労が減り、痛みや疲れの症状・肩こりが改善される可能性すらあるという。ちょっと楽しみになってきた。
 さて、技工士さんが作ってくれたマウスピースが上がってきた。「柔らかいタイプと硬いタイプがありますが、今回は硬い方にしました」という。早速嵌めてみるが、思ったよりも違和感はない。睡眠中にずっと装着していられるかという自信はないけれど。
 「最初は起きている間だけでもかまいません。慣れてきたら夜もつけるようにすればいいんです」ああ、なるほど。そして注意事項としては、意識的に「噛み締めないようにする」だという。「噛み締めがつよいと、3日で割ってしまう人もいるんです。久松さんはそこまでではないと思うけど」と釘を刺されてしまった。
 さらに、「マウスピースについた傷で、自分の噛み締めに気づく人も多いです。そうやって自分の癖に気づくのも、マウスピースを付ける目的のひとつです。意識して噛みしめ癖を和らげましょう」とも言われる。
 「仕事中にぎりっと歯を食いしばってしまうことが多そう」と言われたので、まずPCや紙に向かっているときに嵌めることにした。
 こうして3日が経った。まだ若干異物感があり、夜間は外している。今のところ折れてはいない。傷もついていないが、マウスピースとの日々は、これからが本番である。2週間おきくらいに自分でチェックして、噛み締め癖を和らげるようにしてみよう。


今日の久松   昔行っていたリフレクソロジーサロンへ15年ぶりに。台湾式なので痛いが効果抜群。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?