『完全無――超越タナトフォビア』第五十章
しろ
「ものごころぉ?」
チビ
「もの、ごころ」
ウィッシュ
「ウィッシュボーン、はやく大人になりたいですが、でもいつまでたっても3歳なんですよね、はは! たった3歳っすよ、あ、はしたない言葉遣いをしてしまいましたね(汗)。」
チビ
「犬の3歳って、人間からしたら、大人なんじゃいかなー」
ウィッシュ
「それは、一般的にはそうかもしれませんが、ウィッシュボーンたちはある意味特殊ですから、ええ。こうやってお話することのできる犬というのも、まだまだめすらしい存在なのではないでしょうか」
しろ
「しろは、しろのままでいいなぁ」
(わたくしきつねくんは、タイミングを見計らって落とすゲームの中の爆弾のように、慣れないウインクをチビたちの網膜へとぶち込んだ。)
(すると、チビたちの表情の可愛さが墨汁のように時に滲みるのだ。)
(おしゃべりの余韻をごくごく自然に過去へと押し流しながら、好奇心に満ちた魂全体をわたくしの方へと据えて、わたくしの語りの空間に、三匹が浸潤してくるのだ。)