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おやすみなさい

 本日は「すやすや水曜日」です。いつもより早く寝ると吉。


 赤ちゃんがうにょーんと伸びをする。両肩が上がると首がなくなるのだが、それがまた大変にかわいい。最近とみにムチムチとしてきて、健診で体重をはかったら8kgを超えていた。そうだな、抱っこひもが重い気はしてたんだ。
 
 子どもの成長は早い。「どんな風に育てたいか」なんて考えているあいだに、スクスクと育っていく。何を願ってもいいけど、とりあえずちゃんと寝てほしいなあ。図書館から借りてきた雑誌には「日本の子どもは睡眠時間が短い」と書かれていた。
 

 2023年の年末、厚生労働省が9年ぶりに「健康づくりのための睡眠ガイド」を改訂したというニュースが流れてきた。日本人、とくに子どもたちの睡眠時間は海外と比べてかなり短く、不足しており、睡眠の改善は重要な課題となっている。

吉川徹「睡眠のニューロダイバーシティ」『こころの科学』234号、日本評論社、2024年3月。


 はい。そういえば自分もむかし、不眠に苦しんだ。まったく眠れないことはなかったけど、ベッドに入ってからも2,3時間にわたって眠ることができない。寝返りばかりして、あれこれ考えて、それに疲れてようやく寝る、みたいな毎日だった。
 
 いま思えば、母の影響で飲んでいた大量の紅茶が原因だと思う。母はカフェインにはめっぽう強く、どんなに濃いコーヒーを飲んでも平気で眠れる。てっきり自分もその遺伝を持っていると思っていた。だからガンガン飲んだ。
 
 「どうやら自分の体は、カフェインに弱いらしい」と気づいたのは大人になってからだ。いま10代の、それも前半に戻れるなら、とりあえず紅茶を控えるだろう。不眠の原因は他にもあったかもしれないが、カフェインは確実に響いていたはずだ。
 
 上の文章は、睡眠の改善が課題だと書いたのち、「しかし」と続いている。
 

しかし誰もが同じように眠れるのかといえば、それはかなり疑問である。
 
 実は、多くの若者にとっては「遅寝、遅起き」は体質にあっている。思春期の頃から入眠にかかわるホルモンであるメラトニンの分泌開始時刻が遅れることで、若者の睡眠時間は生理的に後ろにずれるのだ。
 
(中略)
 
 日本の学校の始業時刻は、加齢により生理的に早寝早起きになった校長先生の睡眠リズムにはあっている。(…)
 
 睡眠を専門とする河合真は著書『極論で語る睡眠医学』(丸善出版)の中で「10代に『朝型』を強制するのは犯罪に近く、『睡眠時間の確保』は家庭、社会全体で考える」必要があると提唱している。私たちは睡眠の多様性を尊重する社会を夢見ることができるだろうか。
 

同上


 たかが睡眠、されど睡眠。朝起きられなくて、学校の開始時刻に悩まれされた自分としては、この話うなずける。朝、本当に起きられないんだよ。高校だけは始業が10時だったから救われたようなものの(そういうところに通っていた)、それ以外はキツかった。
 
 そうか、学校の始業時間って、先生方に合わせられているんだろうか。そんなこと考えたこともなかった。でも、学生の生理的なリズムを考えるなら、もっと開始が遅くてもいいのかもしれない。
 
 朝起きられないのは甘えじゃないし、先生方が早起きなのは、加齢による部分が大きい。だとしたら、少なくとも教える側が「教師の生活リズムに合わせてくれてありがとう」くらいの気持ちは持っていい気がする。
 
 中学生の頃は、朝起きるととにかく着替えをして、味噌汁とごはんをかきこんで登校していた。下手すると、起床から10分くらいで家を出ていたと思う。それほどまでに寝ていたかった。
 
 若いときにたくさん眠れるといい。飽きるほど眠れるのも、若さの特権だろう。10代のときは、まるで眠るために生きているみたいな日もあった。そうして昼も夜もなく眠ったあとは、決まって気持ちがすっきりしていた。
 
 だからみんな、眠れるうちにたくさん寝たほうがいい。おやすみなさい。

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メルシーベビー
本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。