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経営者の思想を人事制度に入れることの大切さとは?企業が目指すべき姿を言語化して制度に落とし込んでいく

どのフェーズの企業の成長においても、経営者の思想を純度高く社内に浸透させることは重要です。

同時に、メンバーの価値観や志向の多様化が進む組織において、成果に加えて、数値だけでは測れない部分も含めて正当に評価に反映するための基準が求められます。

組織人事コンサルタント伴走のもと、人事制度を6週間で構築する短期集中型プログラム「スタートアップ人事制度ブートキャンプ」に参加されたSPACECOOL株式会社様も、代表の思想を取り入れながら、プログラム内で社内初の人事制度を構築しました。目標設定や評価方法のプロセス、バリューも刷新されました。

今回は、SPACECOOL株式会社 CFO 兼 コーポレート本部長の井口様にインタビューを実施し、プログラムに参加した率直な感想や、人事制度を設計するうえで意識したことをお聞きしました。

マーサージャパンのスタートアップイニシアティブリーダー・筒井にも、主催者の立場から今回のプログラムを振り返ってもらいます。

SPACECOOL株式会社 CFO 兼 コーポレート本部長 / 井口 晃一様
2015年、SMBC日興証券(株)入社。主にM&Aアドバイザリー業務に従事し、企業間の買収・売却、経営統合、非上場化、資本業務提携等、さまざまなM&A案件の執行に関与。
2024年1月にSPACECOOL(株)へ参画。CFOとして財務面の業務に従事するほか、コーポレート本部長としてバックオフィス業務全般を統括。大阪大学大学院基礎工学研究科修了。

マーサージャパン株式会社 組織・人事変革コンサルティング部門マネージャー / スタートアップイニシアティブリーダー 筒井 祐輔
医療(Med tech)、WEBメディア、マーケティングSaaS、EC、エネルギー等、さまざまな領域のスタートアップ・ベンチャー企業への支援をリード。社員数、数名規模の未上場企業から、数百名規模のメガベンチャーまで、幅広いフェーズのスタートアップを支援。マーサージャパンにて、スタートアップ支援のリーダーを務める。

代表の思想を言語化して取り入れた初の人事制度

ー スタートアップ人事制度ブートキャンプを受講した感想を教えてください。

井口様:まずは創業以来3年間、人事制度が存在しなかった当社に制度を導入できたことが1番の収穫です。人事制度は設計後にきちんと運用していくことが大事なので、構築を6週間という短期間で終え、すぐに社内でのトライアル期間を経て本格導入できたのは大きな成果となりました。

制度の設計だけでなく、運用開始後のチューニング方法までイメージできたのは、組織人事コンサルタントから直接学べる機会があったからこそ。プログラム終了後、スムーズに社内運用ができる状態を整えるところまで伴走してもらえる点も「スタートアップ人事制度ブートキャンプ」の魅力だと感じました。

人事領域の実務経験がない中での参加でしたが、人事制度の大枠から学べたため、的確に要点を押さえた人事制度を構築できたのだ思います。

ー 講座に参加されたのは井口様と前コーポレート本部長ですが、代表である末光様の意見も織り交ぜて人事制度を構築されていたと思います。末光様との連携はどのようにされていましたか?

井口様:大前提として、人事制度は企業の目指す先、つまり経営者の思想やビジョンを具現化してルールとして定めたものだと考えています。

ですので、末光とは日頃から密なコミュニケーションを取ることを意識していました。人事制度には代表の意見も取り入れるべきですし、新しい制度の導入を代表から社員に直接説明するほうがいいことを踏まえると、代表も人事制度について深く理解する必要があると思ったからです。

末光も私と同様に人事領域の経験はなかったため、私がプログラムで学んだことを都度伝えながら、一緒に人事制度を構築していきました。講義でいただいた資料を投影しながら末光にも知識を共有することで理解を深められるだけでなく、人事制度についてのディスカッションにもつなげられました。

筒井:本プログラムは代表と人事担当者の2名体制での参加を推奨しています。末光さんの参加がかなわずとも、密な連携を取りながら代表の思想を反映させられていることが、SPACECOOL様にフィットする人事設計の要になったのだと思います。

井口様:末光はもともと研究者なので、会社経営は彼にとっての挑戦でもあります。そのため、末光が日頃から意識していることを制度に組み込むというよりは、ディスカッションを通じて彼の考えを言語化しながら設計に落とし込んでいきました。

ツールを活用することでゼロからでも短期間で人事制度の構築に成功

ー ほかの参加者と交流することで得られた気づきはありましたか?

井口様:20名規模のスタートアップ企業の人事担当者同士が集まるので、人事領域の悩みは通ずる部分も多くありました。

参加者の属性が分散していると質問内容を自分ごとにできない場合もありますが、受講者のターゲットが絞られていることで、ほかの参加者の方から新しい気づきや学びを得られたのだと思います。

ー マーサーのコンサルタントとの個人面談はどのように活用されましたか?

井口様:プログラムの終盤に、実際に構築した人事制度と社内説明用の資料の最終チェックをしてもらう場として、個人面談を活用しました。

筒井:井口様が作られた人事制度も社内説明用の資料も非常にクオリティが高いものでした。メッセージ性や伝え方もよくまとまっていましたし、構築した先のことまで考えられていて、率直に素晴らしいと感じました。6週間という限られた期間の中で人事制度を構築するにあたって、意識されたことはありますか?

井口様:講座内で配布していただいた給与計算などのツールを上手く活用した結果だと思います。情報を入力するだけで自社用にすぐアレンジできるので、プログラムで学んだ報酬決定の仕組みなどをスピーディーに自社のケースに落とし込めました。

その分、制度導入の目的や自社の価値観の言語化、評価方法など、考えるべきところにしっかりと時間を割き、短時間でもクオリティの高い人事制度の設計につなげられたのだと思います。

ー 人事制度の導入後、現在の状況はいかがですか?

井口様:人事制度導入から半年が経ち、初回の評価を実施したところです。今後は集約した目標の立て方や評価の仕方の意見を下半期に取り入れ、アップデートしていこうと思っています。

運用が始まったばかりなので、まだ制度自体の良し悪しを結論づけることはできませんが、メンバーにも「会社が目指す姿」を踏まえた目標設定を促せるようになり、組織全体と個人の目線を揃えられるいい機会になりました。

目標設定や自分がやりたいことを言語化して発信するプロセスが、個人のモチベーション維持にもつながっていると感じます。

ー 人事制度の導入と同時に、コーポレートバリューも再定義したと伺いました。刷新の理由や、具体的な内容についてお聞かせください。

井口様:従来のバリューは行動指針として評価に活用できるものではなく、プロダクトの価値を言語化したものでした。またこの数年で、メンバー数とともにポジションも増加、多様化しているため、このたび現場での取り組みを重視することを含めたバリューを設定しました。

またスタートアップ企業は時に失敗も大事なので、売上などの目に見える成果だけで評価するのはシビアな側面もあると考えています。

行動指針も提示することで、数値だけでは測れないプロセス部分の評価指針が明確になり、メンバーの努力をより正当に評価できるようになります。メンバー一人ひとりに評価に対して納得感を持ってもらうために、評価の余地を残すという背景もありました。

筒井:コーポレートバリューの再定義はスムーズに進みましたか?

井口様:かなり悩みました。当社にとって大切にすべきことを見定め、我々に合った言葉選びをするのは難しかったです。

しかし、コーポレートバリューと人事制度は人の評価や管理に関連する制度として共通点があるため、人事制度構築のときと同様に代表の末光と壁打ちを繰り返しながら策定していきました。

今後、より多角的にメンバーを評価するためにも、コーポレートバリューと人事制度のどちらも再定義・策定することには大きな意義があると考えています。

大企業カーブアウト型スタートアップ企業の成功事例を目指して

ー スタートアップ人事制度ブートキャンプをどんな方におすすめしたいですか?

井口様:当社のような大企業のカーブアウトやスピンアウト型のスタートアップに、ぜひおすすめしたいです。

研究装備といったプラットフォーム自体は大元の大企業が所有する設備を活用することも有効だと思いますが、組織が変われば歴史やカルチャーもまったくの別物になるので、人事制度は流用できません

大元の企業の人事制度を運用しながらチューニングしていくのではなく、スタートアップ人事制度ブートキャンプを通じて自社に合わせた制度をイチから構築するほうがいいと思います。

ー 今後、井口様がコーポレート本部長として取り組みたいことを教えてください。

井口:まずは人事制度を定着させること。適宜チューニングしていくことで、自社によりフィットするかたちを見定めていきたいです。

当社のような大企業カーブアウト型の素材ディープテックスタートアップの事例は、まだ少ないのが現状です。

しかし、大企業の中で優れた技術を上手く活用できていないケースはたくさんあると思います。SPACECOOLがいい成功事例になれば挑戦する人も増えると思うので、そのために今後もチャレンジし続けていきたいです。

筒井:井口様のお話を聞いて、将来を見据えて早期から制度構築を進めることは企業の継続的な成長に欠かせないものなのだと、あらためて実感しました。

参加したことによる具体的な成果や組織の変化が得られているようで大変嬉しく思います。このたびはプログラムの受講とインタビューへのご参加ありがとうございました!

「スタートアップ人事制度ブートキャンプ」なら6週間で人事制度の構築が可能!

今回はSPACECOOL株式会社の井口様に、「スタートアップ人事制度ブートキャンプ」に参加した感想や、人事制度を設計するうえで意識したことを伺いました。

「スタートアップ人事制度ブートキャンプ」では人事制度を短期間で実践的に学びたい方や、人事制度をアップデートしたい方からのご参加を心よりお待ちしております。

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