しらきみゆき

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しらきみゆき

東京大学大学院 学際情報学府 M3|London School of Economics Department of Sociology MSc Culture and Society| 近代日本における装飾下着とジェンダーの歴史社会学的研究。

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『奈良美智: The Beginning Place ここから』を訪れて

はじめに奈良さんの作品はどこか孤独なわたしたちに寄り添ってくれる。それは、例えるなら冬本番の雲ひとつない寒空の太陽みたいな感じ。寒さが肌を突き刺すようで泣きたいほど痛い現実は変わらないんだけど、そんな中、しもやけにでもなりそうな手をそっと空にかざしてみるとじわじわと太陽光であったまっていくような優しい雰囲気が奈良さんの作品にはある。 丸い輪郭と小さな身体で「弱そう」なのにギラついた挑戦的な目線で見つめ返す女の子たちは、そこはかとない未来への不安に泣いてるわたしに対して「まだ

    • 『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』と表象の文化研究

      はじめに 『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』に足を運んだ。日を空けて2回。2階分の展示スペースを埋める115作品は見応えがあって面白かった。美術非専門家・表象と文化研究の学生としても色々と考えさせられた。私は浅学であるため、美術に詳しい方がこの文章を目にして顔をしかめるところが思い浮かぶ。しかし、アートが語りかける大衆の中のひとりの読み手として、表象と社会批評について思考を巡らせてみたことを、メモ書き程度に残しておきたい。 戦後日本美術を概観する美術(私)観 今回

      • 芸術作品のアウラ・記号・解釈・視線について:『アルノルフィーニ夫妻の肖像』を例に

        芸術作品とアウラ  複製技術が未発達の時代。ベンヤミン曰く、芸術作品は独特のアウラを宿した。それは「いま」・「ここ」目の前の造形から直接感じ取る霊的な神秘性であり、また、現実生活の営みの中に確かに存在しているものの、どこか切り離されて縁取られる創造的世界観のつかみどころのない魅惑でもあり、想像の域を遥かに超える歴史的重厚性に圧倒されながらも、作品との刹那的な交わりに歓喜する鑑賞者が経験する情動的な揺さぶりの根源をも指すのだろう。「名作」と呼ばれる芸術作品は、このような独特な

        • Distinctionを取る!イギリスの大学院で評価される学術的文章の書き方

          はじめに今回の投稿ではイギリスの大学院の人文社会系のコースでDistinction(最優秀評価)ないしはBrilliant Distinction (ジャーナル掲載可能レベルの最優秀評価) を取る方法について書きました。海外修士の学術的文章の書き方について日本語で解説している情報源がそもそも少なく、あったとしても有料のものや誰が書いたか出典が怪しいもの、「アカデミックライティングを習得しろ」と具体的に何をすればいいのか教えてくれない不親切なものが多かったためです。殺伐とした感

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          わたしが日本とイギリスの大学院を併願した理由

          はじめまして! 早稲田大学国際教養学部4年のしらきみゆきです。4月からは東大・学際情報学府 社会情報学コースに進学予定です。9月からはイギリスの大学院にも在籍を予定しております。 ・大学院受験に至るまでの経緯を言語化し、現在の自分の立ち位置をメタ認知することで今後の進路を考えたい ・社会文化学分野の大学院受験に関する情報が少なく、苦労したため、記憶が新しいうちに何か書き残したい ・エージェントを利用しない海外大学院受験について参考になる情報を提供したい という理由からno

          わたしが日本とイギリスの大学院を併願した理由