砂糖の種類を使いこなして料理上手
プロの料理人は、料理の仕上がりを考慮して砂糖の種類を使い分けています。一方、家庭では何にでも合う上白糖を常備してる場合がほとんどです。
砂糖を使い分けて、料理に違いをつけてみませんか。
砂糖の種類を知って活用
砂糖は大きく分けると、分蜜糖(一般に使う原料糖や精製糖)と含蜜糖(黒砂糖)のふたつに分類されます。
【分蜜糖】
原料糖(粗糖)の精製程度や結晶の具合で、種類は数種類あります。サトウキビが原料の砂糖は、精製に二段階の工程を経ます。
第一段階が、生産地で製造する粗糖です。糖度は96~98%。
第二段階は、消費地に運ばれてから用途や各地の好みに合わせて、それぞれ精製糖を作ります。
結晶の大きさ等からハードシュガー(ざらめ糖)とソフトシュガー(くるま糖)、加工糖に分けて説明していきます。
① ざらめ糖
《白ザラ糖》
白ザラ糖は、ざらめ糖の中でも上質で糖度はほぼ100%。結晶の大きさは上白糖より大きくザラザラしている。
菓子や果実酒等ゆっくり砂糖を溶かす、し好品製造に適している。
《中ザラ糖》
白ザラ糖の無色透明に比べて薄褐色をしているが、結晶の大きさは白ザラ糖と同等。純度も高く糖度は99.7%前後。深みのある風味があり煮物等に用いると食材の味が引き立つ。
《グラニュー糖》
上白糖より結晶がやや大きく、さらさらとした感じの砂糖。北海道産ビートの多くがグラニュー糖に生成されているそうだ。
癖のない淡泊な甘さで、嗜好飲料や菓子作りなどに適している。
② くるま糖
《上白糖》
一般家庭で最も多く使われている白砂糖。国内で使用されている砂糖の約半分を占めている。
ビスコという転化糖液(ショ糖を酸や酵素で分解した甘味料)が振りかけられているため、多少しっとりとして甘みも強い。一般的な料理や菓子づくりにマルチに向いている。
《中白糖》
上白糖と三温糖の中間くらいの精製度で、やや黄色みがかっている。上白糖より転化糖を多く含むため、しっとりした感じがある。
《三温糖》
上白糖より純度はやや低く薄茶色をしている。甘さは上白糖より強く、特有の風味とこくがあって好まれる。煮物や佃煮等に使うと独特の味わいが楽しめる。
③ 加工糖
《角砂糖》
グラニュー糖を原料として砂糖液を振りかけて四角に固めたもの、甘みを強く感じる。
コーヒーや紅茶飲料に用いるのに便利だが、角砂糖1個約6g強あるため、コーヒーカップ1杯には甘すぎるとか、半分に分けにくい等で消費が少なくなっている。
《氷砂糖》
純度の高い砂糖を水煮に溶かし、ゆっくりと時間をかけて大きな結晶にしたもの。
そのまま食べることもできるため、登山や非常時の糖分補給として保存食にしたりする。
ゆっくりと結晶が溶けるため、果実酒を作るのに最も適している。
《粉砂糖》
白ザラ糖やグラニュー糖などの純度の高い砂糖を細かくすりつぶしたもの。
果物に振りかけたりケーキやクッキー、チョコレート菓子などのアイシング(粉砂糖と卵白、水で練り混ぜた砂糖衣のこと)、洋菓子のデコレーションなどに使う。
《顆粒状糖》
多孔質の顆粒状で粉砂糖に比べて固まりにくく、溶けやすい高純度の砂糖。
果物に振りかけたり、プレーンヨーグルトに入れたり、冷たい飲み物にもさっと溶ける。
《和三盆》
サトウキビから作った原料糖に少量の水を加えて練り、布袋に入れて圧縮する等の工程を繰り返す伝統製法の砂糖。
結晶が細かく風味と口当たりが良いため、高級和菓子に使われている。
【含蜜糖】
《黒砂糖》
白砂糖は遠心分離機で蜜を分離しているが、黒砂糖はサトウキビの絞汁をそのまま煮詰めている。カルシムや鉄分を多く含んでいる。
糖度は85%と低いが甘さを強く感じ、黒蜜の風味が良い。鹿児島県、沖縄県産が有名。
ちなみに、私は「上白糖」を各種料理やジャム作りに、「粗糖(結晶の細かい方)」は食パン作りに、「氷砂糖」は果実酒に、「黒糖塊(沖縄県産)」は葛餅などのデザートのために常備しています。
料理によっては砂糖の種類を適宜ブレンドし、いつもとは別の味を出して喜ばれています。でも、粗糖を使った時は黒蜜の味が多少残っているため、食材に合わず失敗したと感じることもあります。
皆さんも、ぜひ色々な種類の砂糖を試してみてください。
「粉砂糖」は必要な時のみ購入し、「和三盆」は干菓子として購入しティータイムの時に楽しんでいます。
コーヒー好きな私はコーヒーにはシュガーを使いませんが、甘いコーヒーを味わいたい方には、コーヒー用シュガーをおすすめします。
煮詰めた砂糖にカラメルを加えているので、ホットコーヒーの苦味によく合います。
結晶が大きいので、ゆっくりと溶かしてお楽しみください。
砂糖のすごいはたらき
砂糖は、日本に754年の奈良時代の頃からあると伝えられています。その頃は、希少価値で虚弱者の薬用とされていたそうです。
成分のほとんどがショ糖で、体に吸収されやすく、1g当たり4㎉と主にエネルギーのもとになる食品です。
砂糖には、さまざまなはたらきがあるため当たり前のように料理や加工食品に利用していますが、もしもこの世の中に砂糖が無かったとしたら、私たちの食生活はこれほど豊かではなかったと思います。
そこで砂糖のはたらきを機能の面から10点程整理してみました。
① 料理に甘みを加えて美味しくする
② エネルギー源として健康に関係する
③ でんぷんを老化防止し、例えば羊羹やぎゅうひ等保存に効果がある
④ 発酵を促進して、パン製造に役立つ
⑤ ペクチンのゼリーを形成して、ジャムやママレードなどが安定してできる
⑥ 油脂の酸化を防止し、バターケーキやクッキーなどの菓子が美味しくできる
⑦ 防腐作用として、砂糖漬けジャム等の製造に適している
⑧ 着色作用として、カラメルや照り焼きに有用
⑨ 着香作用として、甘い香りが美味しさを引き出す
⑩ たんぱく質の熱凝固を適度に抑え、プリンや卵焼きがふんわり仕上がる
砂糖はサトウキビやサトウダイコンを原料としてつくられています。
サトウキビは甘ショ又は甘シャと言われ、トウモロコシに良く煮たイネ科の多年植物。
高温多湿の熱帯や亜熱帯に育ち、赤道を中心に南北30°の間で栽培され、日本では鹿児島県と沖縄県が産地。
完熟した茎は直径4~5cm、高さは3メートル以上もあり糖分は11~14%です。
サトウキビの茎を裁断後圧縮機で絞ぼり、糖汁を煮詰めた茶褐色の原料糖を消費で精製するそうです。
サトウダイコンはテンサイ又はビーと呼ばれ、アカザ科の植物。
温帯の中でも比較的冷涼な地域で栽培されていて、日本では北海道が産地。根は直径10~15㎝で長さは30㎝程度で糖分は14%~17%含む。
根を薄切りにして、薄片を湯に浸して糖分を溶け出させる。
産地が比較的消費地に近いことから、直接精度の高い白砂糖に加工されるそうです。
その他、アメリカ北東部やカナダのカエデ科の落葉高木の樹液を煮詰めて作る、メープルシロップやメープルシュガーなど風味が魅力の砂糖もあります。
砂糖と健康
砂糖は、ブドウ糖と果糖に分解されて人の小腸で吸収されます。そして、果糖も最終的にはほとんどがブドウ糖に変わります。
体の中では、ブドウ糖が燃えて(酸素と反応して)速やかにエネルギーとなり、元気が出ます。その際にビタミンB1が必要となります。
ただ、砂糖は純度が高くビタミンB1を含まないから、カロリーがあるからと言って砂糖だけを食べていては質の良いエネルギーになりません。同時に色々な食品から栄養素を取らなければなりません。
砂糖に限らずエネルギー源となる食品を、自分にとって必要以上に摂取すると、余ったエネルギーは脂肪となって体に蓄積されることは知られています。
これが肥満につながり、肥満は糖尿病や動脈硬化症などの慢性疾患の原因になることがありますが、砂糖そのものが直接病気の原因になることは無いので、あまり悪者にしてはいけません。体に必要な糖はとって常時余剰は避けたいものです。
病気予防のためには、料理に使う砂糖は1日当たり6g~10g(小さじ2杯~大さじ1杯)程度とします。
これは甘くておいしいぞ、という量ではなく、砂糖が料理の下味を支える程度です。
ただ、甘いものは口当たりが良く、料理以外のし好品では習慣的に過剰摂取となります。
特に、砂糖入り嗜好飲料やアイスクリーム、シャーベット等では冷たいと甘みを感じにくくなるので砂糖の取り過ぎに繋がってしまいます。
夏に、冷たい嗜好飲料を好んで飲む、毎日氷菓を食べる、方からは、秋の健康診断で「血糖値が上がった」とか「体重が増えた」等の声が多く聞かれます。
今からでも間に合います、注意しましょう。
今回もありがとうございました。
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