既存建物を3Dスキャンした点群データをBIMモデルや建築設備の改修工事やリニューアルで活用するには
既存建物の改修工事を計画する際に、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルや最新の図面が存在しないことで計画が難航することがあります。そこで、3Dレーザースキャニングマシンを用いて、3Dモデルの構築を目的とした3Dスキャンが用いられます。3Dスキャンでは、建物や構造物の "点"(例えば、その壁や柱など)を集め、大量の点の集まりである "点群 "を作成します。3Dスキャンによって、物理的な建設作業に着手する前に、既存の構造物をよりよく調査することができます。
改修工事の計画時におけるBIM活用フローの想定
改修工事を計画をする際に、既存建物の3Dモデル有無に応じてフローが異なります。既存建物の設計や施工の段階で3Dモデルを構築済みの場合は、そのモデルを活用することが可能です。一方で、3Dモデルが存在しない場合は、新たにモデルの構築が必要となります。
既存建物の3Dモデルを構築する手段として、2D図面などの情報を用いて新たにモデリングをする手段もありますが、実際の建物空間の情報を3Dスキャンすることでモデルを構築することも可能です。この時、3Dスキャニングはプロセスの一部分であり、実際は3Dスキャンで得られた点群データをモデルに変換するなどの処理が発生します。
既存ビルを対象としたBIM作成支援等のツール
上述した通り、既存建築の場合は実際の建物空間が存在するため、それを上手く活用することでモデリングの工数を節約することができます。3Dモデリングを目的とした3Dスキャンを支援するサービスは複数存在しており、活用目的と要求精度などに応じて適正なツールを選定することが重要です。(記載内容は2023年度時点での情報のため、最新情報は自身でご確認をお願いいたします)
以前は専用カメラを購入やレンタルするサービスが主流でしたが、最近ではスマートフォンのカメラで撮影したデータをモデル変換するサービスなども出始めています。こういったサービスは安価で用いれる一方で精度が劣る可能性があるので、初期の試行や小さい部屋の回収などを目的に活用することが適しているかもしれません。
商業ビルでの試行結果
実際にスマートフォンで撮影可能なアプリケーションを用いて、商業ビルを撮影した事例を紹介します。撮影時間は数時間を要するのですが、全体の空間スケールは把握出来るような状態にスキャンが出来ました。欠点としては、設備改修などでは天井周りの配管やダクトのルートや収まりを把握することが必要なのですが、暗所の精度を担保することが難しいといったところです。また、吹き抜けなどを有する大きな空間ではスキャンニングが難しいといった課題もありました。
さらに図面や写真の情報を用いて、新たに3Dモデルを作成したレンダリングも試行しました。詳細な収まりなどを検討するには緻密なモデル化が必要ですが、内装などの空間イメージのパターンを用意するなどの目的であれば、簡単なモデルを構築してレンダリングするのが適しているかもしれません。
まとめ
目的次第で適正な手段の使い分けが必要ですが、既存建物で3Dモデルを構築する手段はスキャンにせよモデリングにせよ様々な便利ツールが普及しています。ですので、適材適所で使い分けすることで工数の節約と品質の向上に繋げられるように思いました。
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