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1万人の脳画像で分かった6つのADD(ADHD)「わかっているのにできない脳」(ダニエル・エイメン)
発達障害バブルとも言われる。特にADHDと診断される子供、大人(老人まで!)が、どんどん増えているという。ADHDの診断は主観的過ぎて、最近は、精神医学そのものへの批判も高まってきている。そもそも、精神医学の診断は、かなり曖昧なものなのだ。
しかし、もし、ADHDの脳画像を見ることができて、いったいどの部分の働きが低下しており、どの部分が暴走しているかが分かればどうだろうか。翻訳・出版されたのが2001年と、今となっては、けっこう古い本だが、他のADHD本には見られない示唆が山盛りの一冊(二冊)を紹介したい。
著者は、ダニエル・エイメン博士で、一万以上の脳SPECT画像を診断し、ADHDを6タイプに分けて、その対処法を説明している。絶版で、なかなか手に入らないかもしれないが、私は図書館で借りて2冊を読んだ。ニキリンコさんの翻訳も読みやすく、分厚いけれど、サクサク読めるADHD本だ。
*ADDとは「多動」の無い注意欠陥障害のこと。しかし、今ではADDと診断されることは少なくて、だいたいADD傾向のある人はADHDと診断されるので、この記事では、呼称をADHDに統一したい。
脳画像からわかる6つのADHDタイプ
エイメン博士も当初は、ADHDといえば、一つのタイプしかないと思っていたようだが、いくつもの脳画像を見るごとに、ADHDでも脳の機能低下/亢進が起きている部分が異なることに気づいたそうだ。
1:典型的ADHD
何の説明も必要ない。いわゆるADHDだ(笑)
2:不注意型ADHD
あまり、多動は伴っていないのだが、うっかりミスが多かったり、気が散りやすかったりする。薬では、中枢神経刺激剤のアデロール(アンフェタミン)・コンサータなどが合っている。サプリメントでは、L-チロシンを勧めることが多いようだ(3番の過集中型の場合はチロシン単体だと、過集中の症状が激しくなる恐れがあるので注意。)
大人になるにつれ、多動は人に見えづらくなってきたため、自己診断でも、妻からみた診断でも私は2番に当てはまっているようだった。
3:過集中型ADHD
典型的なADHDの症状に加えて、注意の切り替えがうまく行かないタイプだ。実は、OCD(強迫性障害)の人も同じ部位、脳の前帯状回が過剰になっており、スイッチが壊れたがごとく切り替えられない状態になっている。
このタイプの患者には、中枢神経刺激剤を投与すると、逆にこだわり行動がやめられなくなる可能性があるので、ドーパミン活性化と共に、セロトニンを活性化する処方が必要だとのこと。エイメン博士はSSRI+アデラールなどを併用するという。サプリの場合は、チロシンに加えて、セントジョーンズワートを用いる。
不安障害の症状に苦しんだり、一度悩み始めてしまうと、延々とその考えのループにハマりこむ私は自己診断では、3番も可能性が高そうだった。
4:側頭葉型ADHD
かんしゃくを起こしたり、感情をコントロールできなくなったりすることが多いタイプのADHD。エイメン博士の経験では、頭部外傷を負っている人にこのタイプが多いという。エイメン博士は、抗けいれん剤と中枢神経刺激剤を同時に用いて治療している。側頭葉の機能を高めるサプリとしては、GABAが効果的だとのこと。
側頭葉型のADHDは記憶力の低下に悩んでいることが多く、PS(ホスファチジルセリン)やイチョウ葉エキスも勧められる。
5:辺緑型ADHD
ADHDとうつ病が交差するようなADHD。普通は、集中する時に活性化する前前頭皮質の活動が少なく、深部辺縁系(感情をつかさどる)の働きも少ない。うつ病の人の脳画像と似ている。ネガティブな思い込みから抜けられない苦しさがある。治療は抗うつ剤を用いて行われる。サプリも同様に、うつ病の人におすすめな、フェニルアラニンが使われる。
6:「火の輪」型ADHD
脳の皮質全体が過剰に活性化しており、抑制が効かない。アルコール依存症になったり、暴力をふるったり、本人も治療者も抑制が効かない状態のADHD。脳画像を見ると、全体が活性化しすぎてしまい、まるで脳が燃えているような状態であることから、この呼び方をしている。
エイメン博士は、抗けいれん剤と中枢神経刺激剤を同時に用いて治療している。脳の全体を落ち着かせるために、GABAを用いることや、オメガ3サプリなども使用するようだ。
まとめ
それぞれの項目でも書いたように、私の場合は、2番の不注意型、3番の過集中型が混合しているADHDのようだ。妻の目には、THE・不注意と見えているようだ。私を観察して書いてもらったチェックリストを見てみると、なかなか悲しい結果になっている(笑)。
全部で70問くらいあるチェックリストなので、自分が、どのタイプのADHDなのかをチェックするのも楽しいかもしれない。興味深いのは、どのタイプのADHDかによって、推奨される薬・サプリが違うことだ。まったく逆効果になってしまうものもある。
同じくADHDと診断されても、脳のどの部分の機能低下があるのかまで、確認してから投薬されている例がどれほどあるだろうか。日本でも、脳画像を用いた診断を行っているクリニックがあるのか調べてみたが、はっきりわからなかった。(エイメン博士の分類が完璧というわけでもない。)
現在、発達障害の診断は、残念ながら乱発傾向にあるのは事実だと思う。脳画像をもとに診断したり、治療したりできるようになれば、曖昧さがなくなるのではないかと思った。
この本の中には、食事や認知行動療法、マインドフルネスなど、薬物療法+αの対処法がこれでもかと満載されている(特に二巻)。もう少し、手元に置いて読み進めていきたい。
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