見出し画像

ADHDでも大丈夫、生きていける【書評】あなたの隣の発達障害 本田秀夫

発達障害、当事者に向けての本は多いけれど、身の回りの困った人(発達障害)のフォローのための本は珍しい。

ADHD傾向の私が言うのもなんだけれど、社会は発達障害だらけだなぁと思う。「あいつおかしいんだよ!」と言ってくる人も「確かにね。でも、お前もね」ということが多い。まあ「私もね」なんだけど。相互理解が進めば、もっとこの社会は住みよくなる。

あとがきに書かれているけれど、本田氏は、実はこの本を同時に書いていたのだという。こちらは当事者向けの本。

こっちのほうが内容のボリュームがあり、はるかに訴えるものがあったが、2冊を合わせて読むことで、本田氏の言いたいことが分かってくる感じがした。当事者も、周りも、発達障害を取り立てて問題にしないで、やっていけるならそれでよいのだと思う。

スキルを磨くこと

発達障害が、この社会でもうまくやっていく秘訣は二つのスキルを磨くことにあるという。「自律スキル」と「ソーシャルスキル」だ。私も、かなりのADHD傾向が激しいが、何とか生きてこられたのは、この二つを磨き上げてきたからだと気づけた。

自律スキルというのは、何とか工夫でうまくやること。このnoteやkindleなどで発信しているように、ツールを活用したり仕組みを作ったりすることで、ADHDも普通の人と同じように働くことは可能。ソーシャルスキルというのは、助けてもらう力だ。誰だって苦手なことはあるわけだから、助けてほしい時に遠慮なくヘルプする力のこと。

これがうまくできていれば、ASDでも、ADHDでも、なんと診断されても別にかまうことはない。投薬治療よりも、生き方・処し方を学んでいくことしかないのだから、この二つを徹底的に磨き上げればよい。

感情を安定させる

発達障害が問題になるのは、多くの場合、その障害特性ゆえではなく、感情が不安定だからだという。ADHDはよくミスをするけれど、すぐに謝罪し、できることは頑張ってフォローしてもらいやすい仲間に囲まれていれば、ほとんど何の問題もなく生きていける。私も、今の環境には感謝していて、自分がADHD傾向を持つことをすっかり忘れることもあるくらいだ。

問題になるのは、だいたい二次的なことなんだ。ミスをして、それを指摘されてキレてしまったり、落ち込んでしまったりすると、人間関係は一気に緊張する。結局、世の中の発達障害に起因する問題ってのは、だいたい感情の問題なのだ。発達障害の人は、対人関係スキルを学ぶこと、自分の感情をコントロールするスキルを学ぶことで、多くの問題を避けられる。

色々、うまくできなくても落ち込まなければ、本人は幸せにやっていけるものだ。会社でもサークルでも、いろいろな人がいて良い。一見普通そうでも、それぞれ色々背負っていて、まあ、一言では言えないよね、人間関係って。

うっかり八兵衛なんて、かわいいもんじゃないか。


この記事が参加している募集

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq