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【書評】なぜアーティストは生きづらいのか? 個性的すぎる才能の活かし方 手島 将彦 本田 秀夫
発達障害の臨床に携わって30年の精神科医、本田秀夫氏がかかわっている本なので手に取った。タイトルよりも、かなり面白い本だった。アーティストとは言うものの、会社で働く発達障害の同僚と、いかにうまくやるかということを考えながら読むと応用範囲が広い。
ひとつ例を挙げてみたい。発達障害はこんな風に考えているんだとか、こういう風に言わないと分からないのかってのが分かるから面白い。
時間を守れない人との付き合い方
アーティストが、ライブの時間を守れなかったり、ドタキャンをしてしまったりというニュースをよく聞く。それがロックだ!みたいな風潮もないわけではないが、、、まあ、発達障害だろう、笑
本田氏の指摘で興味深かったのが、発達障害がある人は「そもそも時間で動いていない。活動のキリの良さで動いている。」という指摘だ。途中で、何かをやめて活動するのが苦手で、とにかく一区切りつけてからと考えているうちに、約束の時間に遅れてしまう。
子供と同じでやっていることを途中でやめられない。
ADHD特性の強い私は、この感覚がよくわかる。悲しい話だが、私は祖父の死に目に会えなかった。まだ学生だったが、もう危ないから早く来てくれと病院から電話があったのだが、その時は音楽編集にどハマリしている時期で、なんとか区切りをつけてからと、その後数時間経ってからようやく出かけたのだった。病院で集まった親族に「ちょっとだけど間に合わなかったね」と悲しい目で見られたのを覚えている。
だいたい、こういう時は、自分でも悔やむのだけれど、その瞬間に芽生える衝動を抑えるのはとてつもなく難しい。中途半端にしたくないのだ。
マネージャーが必要
私も御多分にもれず遅刻魔だけれど、ほとんど遅刻しなくなったのは、結婚してからだ。絶対遅れるタイミングで余計なことを始める私に、妻が「今から、なぜそれをやろうとするの。絶対間に合わないよね」と声をかけてくれるのだ。私としては、ちょっとのスキマ時間でも有効活用したいとか思っているわけだけれど、しぶしぶ妻の言うとおりに動くと、これがまた、驚いたことに、それでもけっこうギリギリなのだ。
この時間感覚の無さ。驚くほどだ。
でも、だいぶ自分が分かってきた(遅いけど)。本田氏は「マネージャーを付けるしかない」と言っているけど、本当にその通りだと思う。売れない発達障害のアーティストは大変だろう。発達障害の成功のカギは、良きパートナーを見つけることだと思う。
アーティストだから許される
ただ、「芸術家肌」という言葉があるように、アーティストはちょっと普通の人とは違うことが許される数少ない職業だろう。社会で「普通」に働くサラリーマンが、アーティストっぽいのは許されないはずだ。そういう意味では、アーティストの生きづらさを過大に取り上げるのも、ちょっとずるい。
凡人の発達障害が、普通の社会で普通に生きていこうとするときの苦しさは半端ではないのだ。
ただ、この本に書かれているような接し方を周りの人が学べば、周りの人もかなりストレス軽減になるだろう。結局のところは、自分も周りも「学ぶ」しかないのが、発達障害なのだ。本田氏の同系列の本では、より汎用的な、この本もある。ちょっとずつ互いに理解を深めていきたい。
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