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デジタルでも紙でも、「深読」するための条件とは?〜デジタルで読む脳×紙の本で読む脳〜
字を読むことは誰でもできるわけじゃない
面白い「読書本」を発見しました!
その名は『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』
本書では
「字を読むこと」は後天的な力でしかなく、鍛えることでどこまでも読めるようになる
ということを主張しているのですが、これは確かにそう思います。
日本にいると識字率100%ですから、あまり馴染まないかもしれませんが、識字率が80%を下回る国はざらにあります。
しかしながら、母国語を喋れない人はいません。遺伝的に備わっているからです。
字を書くことは遺伝的に全く備わっていないため、読み手固有の言語条件と学習環境によって、読字脳の形成はかなり変動します。
しかも、それが紙の本とデジタル本では頭の入り方が違うんだと主張します。
簡単に言えば
紙の本 :「深い読み」をするときに役立つ
デジタル本:多くの情報から必要な情報を抽出するときに役立つ
ということみたいです。
認知科学的にみた、「深い読書」の条件
本書によると「深い読み」の条件は
・著者の視点で読むこと
・背景知識が広いこと
の二つが挙げられます。
著者の視点で読むこと、とは言い換えれば
自分の視点をできる限り排除すること、つまり自分勝手に読まないで著者の文を味わうこと
です。
そのためには深い感情移入が必要なのですが、この場合は「紙の本」が適しているとのこと。
というのも、紙の本はデジタルと違い、
モノとしてそこにあること
という「物性」を備えています。
デジタルだとどこでもアクセスできるというイメージが染み付いているため
「前のページ」に戻って確認する
ということはしづらいものです。
デジタルはどちらかというとフラットに読まれがちです。
その点、紙の本ではなんども繰り返し読み返して、定着させるということを自然と行うようになります。
確かに、役者の「台本」ってデータをスマホに送ったりせず、紙ベースで配ってます。
配役を役じるために付箋をつけて折り目がすごいことになる光景をよく見ますね・・・・
何であれ紙の本は
「入り込む」こと
には優れていると言えます。
一方で、デジタル本は先ほど申し上げたように
フラットに読まれがち
なのです。
というのも、デジタルは多くの情報にアクセスしてしまうため、処理しきれず、大事な部分だけ読んで、ほかはほっとくという「読み飛ばし」が起こるんだそう。
言われてみれば確かにキンドルは読み終わるのが紙の本の2,3倍早いですね・・・
しかしながら、デジタルにもメリットはあります。それは
サクサク感が味わえ、読書量に弾みがつくこと
です。
事実として、平均的なアメリカ人は
小説一編とほぼ同じ量の単語
を毎日読んでいるそうです。とは言え根気よく読まれていないためフラットになりがち。
だから、「背景知識」を断片的に集めるならむしろデジタルの方が向いているでしょう。
何より、キンドル本の方が紙の本より大概安いですし(笑)。
まぁ超カンタンに言ってしまえば
狭く深くが「紙の本」
広く浅くが「デジタル本」
ってことですねぇ。。
デジタルで読書に弾みをつけ、気に入った本を紙で読み返そう!
以上を踏まえると
・「デジタル本」で色々な本に触れて背景知識をつける
・そこから「紙の本」で感情移入する
という流れが良さそう。
もともと紙の本に触れている人はそのまま紙の本を読みまくればいいですが、
日本の社会人の47.3%は月に1冊も本を読まないみたいですからねぇ・・・
何故そうなのか?というと、思うにデジタルに慣れすぎると
読書する際の「ゆっくり流れる時間」に慣れてないからではないか
というのが自分の見解です。
自分としてはむしろじっくり考えて、じっくり読書する時間は至福なんですけれど
多くの友人が語るに
ゆっくりしてると、めちゃくちゃ焦る
んだそう。
特に都会に住んでいると、多くの人がかなりの時間働いてますから、何かしてないと不安になりがち、なんだとか。
とは言え、読書を趣味にしたい人はほんとに数知れずですので
これまで読書してこなかった方には、まずデジタルから入って色々読むことから始めてみるといいかも。