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依存症はなぜ起こる?その背後にある6つの心理的要因とは
アルコール依存、ギャンブル依存、ゲーム依存、薬物依存など、依存症と呼ばれるものには、さまざまなものがあります。
依存症は、本人だけでなく、家族や周りにも大きな影響を与える問題です。しかし、多くの人が依存症について誤解しており、単なる「意志の弱さ」や「だらしなさ」として捉えがちです。依存症は医学的に認められた病気であり、専門的なサポートが必要です。
今回はさまざまな依存症について書いてみようと思います。
1. 依存症とは?正しい理解が大切
依存症はアルコールや薬物、ギャンブルなどを「やめたくてもやめられない」状態を指します。これは意志の強さや弱さの問題ではなく、脳の働きに大きく影響される病気です。依存症が進行すると、仕事や人間関係に悪影響を及ぼし、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
脳内の「報酬系」と呼ばれる部分が刺激されると、快感を得るために依存行動を繰り返すようになります。しかし、それが常態化してしまい、それをしていない時が異常な状態となってしまいます。そのため、本人が「やめよう」と思っても、意思だけで依存行動を断つのは非常に難しいのです。風邪をひいた人やうつ病の人が気合と根性と叱責で治るでしょうか?依存症を病気として理解し、本人が苦しんでいることを知ることが、家族や周りにとって第一歩です。
2. 依存症者に共通した特徴と人間関係の問題
依存症を抱える人には、共通する心理的特徴や人間関係における課題が見られることが多いです。これらの問題は、依存行動の背景にある深い感情や心の傷に関連しています。ここでは、依存症を抱える人に見られる6つの主な人間関係の問題について記載します。
1. 自己評価が低く、自分に自信を持てない
依存症になる人は、自己評価が極めて低いことが多く、自分に価値があると感じられません。そのため、他人に認められることを過度に求める傾向があります。
2. 人を信じられない
過去の経験やトラウマから、他人を信頼することができず、常に疑いの目を向けてしまうことがあります。信頼できないという感覚が、孤独感を深めます。
3. 本音を言えない
自分の感情や意見を表現することに恐怖を感じ、常に本音を隠してしまいます。これにより、周囲との関係が表面的になり、深い繋がりを築くことが難しくなります。
4. 見捨てられる不安が強い
愛されることや受け入れられることに対する不安が強く、常に「見捨てられるのではないか」という恐れを抱えています。そのため、依存行動によってストレスを逃避しようとすることがあります。
5. 孤独でさみしい
孤独感や寂しさを強く感じることが多く、依存行動を通じてその感情を和らげようとします。しかし、依存行動が続くことで、逆に孤独が深まる悪循環に陥ります。
6. 自分を大切にできない
依存症者は、自分自身を大切にできず、自己否定的な考えにとらわれやすいです。自分は他人から受け入れられる価値がないと感じ、特に親からの愛情が不足していると感じていることが多いです。
つまり依存する行動というのは、病気の症状であって根本的なものではありません。苦しい、つらい、さびしい、誰も助けてくれない、などの様々な苦しい感情を避けるための行動です。「人に癒されず生きづらさを抱えた孤独な自己治療」とも言われます。
そんな依存行動を無理やりやめさせようとしたら、どうなるでしょうか?
反発し、他人をより警戒し、余計に依存行動を悪化させることにもつながりかねません。
3. 周りができるサポート
周りができるサポートにはいくつかのポイントがあります。
非難せずに話を聞く:感情的にならず、冷静に「どんな問題があるのか」「どうしたいのか」を聞くことが大切です。
小さな変化を認める:たとえ小さな進展でも、本人の努力を認めてあげることで、ポジティブな変化を促します。
一緒に解決策を探る:本人が感じているストレスや問題を、一緒に解決するための方法を考えていくと良いでしょう。
専門家の助けを促す:カウンセラーや医療機関、自助グループなどのサポートを勧めるのも重要です。
依存症からの回復には、周りのサポートが不可欠ですが、無理に行動を強制せず、ゆっくりと見守ることが大切です。
依存症の人は孤立しがちであり、それがますます依存症からの回復を難しくさせています。回復するためには人の中で癒されるようになることが不可欠です。まずは、本音を言える人間関係を作っていくことが第一歩になるかと思います。
依存症の治療に自助グループがあるのも、同じ悩みをもっている仲間の中で、本音を語りあい、共に励ましあうことで、人とのつながりや信頼関係を築いていくことが、依存症治療において重要な要素だからだと思います。
4. 自分を守るために:サポートする側のケア
周りが依存症のサポートをする中で、支える側も大きなストレスを抱えることがあります。自分の気持ちを抑えて頑張り続けると、疲れ果ててしまい、感情的に爆発してしまうこともあるでしょう。
そのため、サポートする側も自分自身のケアを忘れないようにすることが重要です。友人や専門家に相談する、リフレッシュできる時間を持つ、また、必要であればカウンセリングを受けるなど、自分の健康を保つ手段を講じましょう。自分が健康でなければ、依存症を抱える人をサポートし続けることは難しいのです。
5. まとめ:サポートは長い目で見て
依存症からの回復は長い道のりです。周りができることは、本人のペースに合わせて、急がず焦らずサポートすることです。大切なのは、依存症が意志の問題ではなく、病気であることを理解し、無理強いせずに、本人が回復に向けて歩み始める時を待つことです。
依存行動は症状であり、やめさせようとすればするほど状況は悪化をします。なぜなら、上記であげた人間関係の問題が大きく影響していることが多いからです。人に癒されるようになることで、結果、依存しなくてもすむようになることを信じて関わり続けることが大切なのかもしれません。
回復の過程では、たびたび後退することがあるかもしれませんが、家族や周りが温かく見守り続けることで、依存症からの回復が可能になるのです。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。