深呼吸の力: 感情と自律神経の調和

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年9月8日 13:04

我々は1日に約2万回の呼吸をしており、その背後には自律神経の調節作用が存在する。呼吸は自然に行われる一方で、その制御は自律神経によるもの。吸うときは交感神経が、吐くときは副交感神経が主導する。

ヨガやピラティスでの呼吸は意識的。呼吸をサポートする筋肉は意識で動かせる随意筋で、運動神経がこれを管理する。呼吸は意識的・無意識的の両方で行え、これを利用すると自律神経の調節が可能となる。

横隔膜は呼吸の中心。随意筋でありながら、自律神経と運動神経の双方に影響を受ける。深くゆったりと呼吸することで、副交感神経を活性化できる。

呼吸の基本

呼吸は酸素と二酸化炭素の交換メカニズムで、外呼吸と細胞内呼吸がある。主に外呼吸が自律神経と関係し、肺が中心となる。肺の膨張・収縮は呼吸筋、特に横隔膜や肋間筋によって制御される。

呼吸の動態

胸郭の動きに連動して肺は動き、外呼吸をサポート。横隔膜や肋間筋の動きにより、肺の膨張・収縮が行われる。

三つ目の呼吸

自律神経と運動神経の他に、感情に連動する“情動呼吸”がある。感情の変動に伴って呼吸も変化し、呼吸のコントロールによって感情も変えられる。呼吸の中枢は脳幹に、情動呼吸の中枢は扁桃体に位置する。

呼吸の過程はただの生物学的なメカニズムに留まらず、精神的・感情的な側面とも深く結びついている。情動呼吸を通じて、呼吸と感情の相互作用が明らかになっており、これは心理療法や瞑想の際にも利用される。深く安定した呼吸は、情動の安定に寄与し、日常生活でのストレス管理や感情の調節にも役立つ可能性がある。

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