「アレ」とは? 岡田監督の心理学的マスターストローク

スポーツ紙のタイトルに「明日にもアレ」「史上最速アレ」というようなフレーズが使用されてきましたが、この「アレ」の由来を知っていますか？

この「アレ」という言葉の背景は、2010年に岡田監督がオリックスの監督をしていた頃に遡ります。その時、交流戦のタイトルを競っている中で、選手たちがプレッシャーを感じないように、「優勝」という言葉を使わずに「アレ」という言葉を使い始めました。これがコーチやメディアにも採用され、結果的にチームは初の優勝を果たしました。この成功を受けて、「アレしてもうた」というメッセージのTシャツが発売され、多くの話題を呼びました。

岡田監督が阪神での第2次監督時代に入った際、彼は「優勝します」とはっきりと言うことはなく、「アレ」と表現していました。そして選手たちも「アレを目指す」という言葉を頻繁に使い、ファンの間でこのキーワードが流行り始め、SNSなどで大きな話題となりました。

さらに、今シーズンのチームスローガンは「A．R．E．」となっており、これはAim（目指す）、Respect（尊重する）、Empower（力を与える）という意味を持つ言葉から来ていますが、その起源は岡田監督の「アレ」に由来しています。

笠原彰心理学的考察:

言葉の選び方は、人々の認識や感じ方に大きく影響すると言われています。岡田監督が「優勝」という直接的な言葉を避け、「アレ」という抽象的な表現を採用したことは、選手たちのプレッシャーを軽減し、よりリラックスして試合に臨むことを可能にしたと考えられます。また、言葉の選び方やその背後にあるストーリーがファンやメディアの関心を引き、コミュニティ全体の一体感やエンゲージメントを高める要因となりました。このようなストーリーテリングは、グループの結束を高め、目標に対するモチベーションを向上させることができる強力な心理学的ツールであると言えます。

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