賞金総額上昇と裏腹の米女子ツアー選手たちの悩み：チョン・インジ、S・ルイス、そしてM・ウィが告白するメンタルヘルス問題
米女子ツアーは現在、賞金総額の大幅増加により、一見、活況を呈しているかのように見えます。しかし、この盛況の裏側には、コロナパンデミックを背景に、多くの選手たちが心の闘いを繰り広げている真実が存在します。
注目すべきは、賞金増加と人気急上昇の裏で、数多くのプロ選手が内心の苦悩を抱えている現実です。例えば、昨年の全米女子プロでメジャー3勝目を挙げ、20代で絶大な成功を手にしたチョン・インジ。しかし彼女はその後、うつ病という過酷な闘いに巻き込まれました。
彼女が抱えていた「完璧でなければならない」という強迫観念が、心の病へと彼女を導いたのです。彼女は自らのメンタル問題を勇敢に公表し、その背後には「私だけではなく、誰もが困難を抱えている。それらの人たちの助けになれば」という強い思いが込められていました。
メジャー2勝の経験を持つステーシー・ルイス（38）は、ツアーにスポーツ心理学者を長年求めてきました。「デビュー当時はもっとリラックスして楽しめたのに」と彼女。年月を経るにつれて、ゴルフの楽しさが薄れてきたと彼女は語ります。
「選手たちの多くは、ゴルフが人生そのもの。だから成績が悪いと、まるで人生が否定されたような気持ちになる」この痛みを共有する多くの選手たちのために、最近ではスポーツ心理学者のジュリー・アマト氏がツアーに同行し、問題に対応しています。しかし、完璧を求めるプレッシャーから心のバランスを崩す選手は依然として少なくありません。
今年の全米女子オープンの賞金総額は、過去最高の15億円を超えました。これ自体は非常に素晴らしいことですが、一方で多くの選手が大金を求めて競い合うことの副作用もまた存在します。
「年上の人間が中心でチームが形成され、同世代の人間との共有時間が少なく、選手たちは孤独感に襲われる」ルイスはこの現状を指摘します。
仮に全試合に出場すれば、移動距離は地球を3周半超もする過酷な状況。それに加え、ケガをしても休むことができない選手も少なくありません。
10代からその名を知られるようになったミッシェル・ウィは、手首のケガから競技成績が低迷。その時期、「王者は王者らしくなければいけない」という思いから、勝利を手にしても喜びよりも不安が増大し、最終的に全米女子オープンを最後に引退を決意しました。
大いに盛り上がる国内女子ツアーでも、同様の悩みを抱える選手は少なくないでしょう。しかしながら、米国と比較して、日本ではその問題はまだ十分に表面化していないのかもしれません。
だからこそ、私たちはこの問題に目を向けるべきです。人の心は誰にも完全には理解できません。だからこそ、自分だけが苦しいと思わず、心の痛みをオープンに共有し、助け合える環境が必要なのです。
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