プレッシャーを乗り越える: 野球指導者向けメソッド

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2024年1月25日 23:14

野球指導者に対するメンタルトレーニングの指導を実施しました。今回は、姿勢とメンタルの関係、そして「チョーキング」現象に焦点を当てたトレーニングを実施しました。

姿勢とメンタルの重要性
まず、姿勢とメンタル状態は密接に関連しています。適切な姿勢は自信を促進し、集中力を高めることができます。これは野球の世界においても非常に重要で、選手が自信を持ってプレイすることがパフォーマンス向上に直結します。

チョーキングの理解と対策
「チョーキング」とは、普段は容易にこなせる技術がプレッシャーのもとでうまくいかなくなる現象です。これはスポーツ選手にとって非常に一般的な問題であり、野球指導者もこの問題に取り組む必要があります。

面白いことに、左手に柔らかいボールを30秒間握る単純な行為が、パフォーマンスを改善することが示されています。この技術はサッカー、テコンドー、バドミントンの選手にも効果があることが証明されています。

明示的モニタリングと脳の活性化
この技術の背後には、「明示的モニタリング」と「半球プライミング」という理論があります。明示的モニタリングは、プレッシャーがかかると運動動作に対する注意が増加し、パフォーマンスに影響を及ぼすというものです。また、半球プライミングは、片方の手の筋肉を収縮させることで脳の反対側の半球が活性化するという理論です。

ドイツの研究チームは、バドミントン選手を対象にこの理論をテストし、左手でボールを握ることにより脳の右半球が活性化し、プレッシャー下でも安定したパフォーマンスが得られることを発見しました。

音楽家への応用
興味深いことに、この技術は音楽家には必ずしも効果的ではないことが、2022年の研究で示されました。これは、研究がパンデミック中に行われ、実際の緊張状態を再現できなかったことが一因かもしれません。

今後のメンタルトレーニング
この知見を踏まえて、野球指導者に対するメンタルトレーニングを継続していきます。具体的なトレーニング方法や、選手個々のニーズに応じたアプローチを探求していくことで、野球指導者が選手のメンタル面でのサポートを強化できるよう努めていきます。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

アスリート、コーチ、指導者、ビジネスマン、音楽家など、人生をより豊かにしたい全ての方の挑戦をサポートします。

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