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消えゆく記憶と共に〜双極症の私と認知症の母の日記〜

私は双極性障害を抱え、母は認知症を患っている。病が進むにつれ、私たちは現実を見失い、自分が誰であるかもわからなくなる。そんな私たちは、まるで鏡に映る存在だ。全体と部分は見方の違い…
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#現実と幻想

【第5日】忘却の中で輝く一瞬を

秋の夕暮れ、静かな公園のベンチに腰を下ろし、風に舞う落ち葉を見つめていた。遠くから子供たちの笑い声が微かに聞こえる。その穏やかな音色に、私はふと母の面影を思い出した。 母は認知症を患っている。彼女の瞳には、今この世界がどのように映っているのだろうか。私自身も双極性障害を抱えており、時折、自分の現実が揺らいでいくのを感じる。病が深まると、現実と幻想の境界が曖昧になり、大切な人や物の存在さえも霞んでしまう。 「いつか自分が自分でなくなる日が来るのだろうか」と、不安が胸をよぎる

【第1日】消えゆく記憶と共に

私と母は、静かに織りなす絆で結ばれている。私は双極性障害を抱え、現実と幻想の狭間を漂う。一方、母は認知症と闘い、記憶の彼方へと消えてゆく。病が進むにつれ、私たちはそれぞれの世界で自分を見失い、家族の存在さえも霞んでいく。 ある日、ふと気づいた。私と母は鏡のようにお互いを映し合っているのではないかと。全体と部分は視点の違いに過ぎず、大きく見るか小さく見るかで同じものを見ているのかもしれない。そう考えると、私と家族は一つの存在であり、切り離せない関係なのだ。 私は決意した。母