ショートショート 「ウォーキングブレッド」
「ウォーキングブレッド」
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「アーンパーンチ」
「バイバイキーン」
今日も憎きあのお邪魔虫に負けた。
次はどうやったら勝てる?
そうだ!
いつもあと一歩のところでヤツの仲間がやってきてやられる。
俺様は味方が少ないから負けるんじゃないか?
あのお邪魔虫には仲間が多いから強いんじゃないか?
じゃあ仲間が助けに来れないようにすれば俺様が勝てるんじゃないか?
「今度こそ行けるぞ〜!ぐふふふふ!」
俺様は新しいカビルンルンの開発に取りかかった。
「いけー!カビルンルン!」
「カビー!!」
「きゃー!!!」
「助けてー!!!」
「大変だ!このカビルンルンに触れるとみんなゾンビになっちゃうぞ!」
「わ!やめて!近寄らないで!私まで!ぎゃーーー!!!」
「みんな逃げろー!」
よしよし、上手くいった。
俺様の開発した新しいカビルンルン。
その名も”ゾンビカビルンルン”だ!
作戦通りいけばお邪魔虫もやっつけられるぞ。
「アンアーン!」
「君だけでも逃げるんだ、バタコ!ぎゃー!!」
「ジャムおじさんまで!キャー!!!」
「パトロールから戻りました。あれ、誰もいない。ジャムおじさーん!バタコさーん!チーズ!どこに行っちゃったんだろう?探しに行こう!」
「ハーヒフーヘホー!上手く言ったぞー!これであの憎きお邪魔虫以外はみんなゾンビになった!これであいつに助けが来ることはない!俺様の勝ちだ!!」
「やめるんだ!バイキンマン!」
「来たな、お邪魔虫!もう貴様以外みーんなゾンビになってしまったぞ!」
「え、、、そんな、、、みんな、、、??」
「そ、そうだ!どうだ!参ったか!ハーヒフーヘホー!」
「......。」
おや?あのお邪魔虫、いつもと様子が違う??
「僕は、愛と勇気を源に戦っているんだ。愛を注いでくれる誰かがいないとダメなんだ。」
お邪魔虫がこの調子だと俺様も調子が出ない。
「やりすぎだよバイキンマン。」
「う、うるさい!とは言えすぐに治す方法がないのだ。」
「どうしたらいいの?バイキンマン。」
「不本意ではあるが。。貴様の愛と勇気を培養してワクチンカビルンルンを作るしかないのだ!!」
「協力するよ。バイキンマン。」
「ぐぐ。。ハーヒフーヘホー!俺様の工場に来いっ!!」
くそっ。
俺様と憎きアンパンマンが協力することになるなんて。。
「ありがとう!上手く行ったみたいだね!ありがとうバイキンマン!」
「うるさーい!もうこんなこと2度としないからな!覚えておけよ!アンパンマン!」
ワクチンカビルンルンのおかげで
街は以前より”愛と勇気”で溢れるようになった。
「ハーヒフーヘホー!」
「やめるんだ!バイキンマン!」
「出たな!お邪魔虫!!」
日常が戻ってきた。