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プロジェクトの不確実性という存在
プロジェクトマネジメントの領域では、不確実性と確実性、計画と適応、制約と創造性といった相反する要素が常に共存しています。
このパラドックスは、プロジェクトの本質と、それを管理しようとするプロジェクトマネジメントの間に存在する根本的な矛盾を示しています。
先日「プロジェクトとプロジェクトマネジメント」という記事を書きました。
本日の記事は、プロジェクトを存在論、価値論、認識論の3つ視点から考察したものです。
プロジェクトの存在
プロジェクトの存在を問うと、プロジェクトは固定的なものではなく、時間と空間の中で進化し変化し続ける動的なプロセスといえます。
存在論的には、「不確実性」はプロジェクトの存在条件の一部であり、その除去はプロジェクトの本質である動的性質を損なうことになる。
したがって、不確実性とのジレンマは、プロジェクトの存在自体に内在するパラドックスである。
プロジェクトの価値
プロジェクトマネジメントにおいて、不確実性への対応は自らの価値判断を伴う行為である。
リスクの回避やリスクの最小化を最優先とするか、推進や成長を追求するためにリスクをある程度許容するかは、組織や個人の価値観に依存しています。
価値論的には、不確実性を、自分達はどう評価し、それにどう向き合うかがプロジェクトの方向性と成果を大きく左右する要素となります。
不確実性を否定的に捉える価値観は、安全性や安定性を重視する計画を導き、予測可能性を高めるための綿密なリスク管理に注力するでしょう。
一方、不確実性を肯定的に捉える、許容可能なレベルが大きい価値観は創造性や挑戦を促進し、変化への柔軟性と適応力を重視するでしょう。
プロジェクトの認識
プロジェクトマネジメントにおける知識の限界は、不確実性とのジレンマを一層明確にします。未来の出来事や結果を完全に予測することは不可能であり、情報の不完全性や認知バイアスが意思決定に影響を及ぼします。
認識論的には、どのようにして信頼できる知識を獲得し、不確実性を含む状況下で合理的な判断を下すかが問われる。
しかし、プロジェクトに必要な100%信頼できる知識を用意するのは、そもそも限界があるので、知識の不確実性を前提とした柔軟なアプローチや、学習と適応を組み込んだマネジメント手法が求められる。
まとめ
以上の観点から「プロジェクトの不確実性という存在」は、
存在論的にはプロジェクトの本質的特性に根ざし
価値論的には組織や個人の価値観によって形作られ
認識論的には知識の限界と情報の不完全性、非対称によって複雑化する。
これらの哲学的視座を踏まえることで、プロジェクトマネジメントは単なる技術的手法ではなく、人間の理解、価値、知識の深層に関わる総合的な営為であることが明らかになる。
したがって、不確実性とのジレンマに対処するためには、これらの深層的な要素を統合的に考慮した新しいプロジェクトマネジメントが必要である。
AIとの共創
o1-previewというAIの登場で自分の思考の整理のスピードが早く深くなっています。思考の拡張です。今回の記事もo1-previewとの対話の中で論点を整理したものです。
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