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零れ落ちた灰かぶり
ベランダに出ると、
肌を撫でるようなひんやりとした冷たい風。そして、真っ黒な空の中に点々とある星が目に映る。
空に溶け込みたい。
そう思って空に手を伸ばしてみた。
だけど、そんな事出来るはずもなく、
「はぁ…。」と落胆の息を吐く。
子供の頃に思い描いてたなんでも出来る自分とはかけ離れた自分になっている事につい思いを巡らせた。
月を捕まえたあの日。
水面に浮かぶ月を見惚れるように眺めてたあの頃の自分。
私はもう月どころか星も掴めなくなったよ。
なんて、子供の頃の自分に言いたくなった。
言えるわけないけれど。
君の思い描いてた自分とは正反対で、
輝いてもない。毎日疲れて、お風呂にも入らず倒れ込むようにベッドに身体を預ける日々。
そして、起きてお風呂に入って急いで出勤する。
時間に余裕なんて無い。
そんな、灰を被ったような生活をしている。
灰を被った、だなんてシンデレラみたい。
自分の乙女思考と、魔法使いも王子様も現れないこの現実に辟易とした。
泣き方なんて忘れてしまった。
泣いてストレスを発散させる事が出来たらどれほど楽だろう。
王子様も、魔法使いも誰も私の前に現れなくて良い。だからどうか私をあなたの元へ連れて行ってください。お願いします。
ベランダにへたり込み、手を組み、居ない神様に祈りを捧げる。
私をこの世界から消して、あの真っ暗な空の一部にしてください。星なんてそんな輝かしいものじゃなくていいんです。誰にも気付かれない。誰の邪魔にもならない。そんな暗闇の一部になれれば。
目を静かに開ける。
そこには、さっきと変わらない風景が広がる。
ああ…やっぱり。
私は立ち上がり、空も見ず、ベランダの扉を閉めた。
また、変わらない日常が始まる。
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お久し振りです。memoです。
作品を書きたくなって、思い付いた言葉を継ぎ接ぎに繋いでみました。
それでは、おやすみなさい。
素敵なお写真をお借りしました。🌌
ありがとうございました。🙇♀️