なるべく早く、東京芸大デザイン科に受かりたいなら、共通テストをやれ
受験生に1番言いたいこと。「共通テストをやれ」
頼むから学科の勉強をしてくれ、これがデザイン系の美大受験生に言いたいことNo.1です。
自身東京藝術大学デザイン科の卒業生であり、地方の中小予備校での講師経験もあります。いろいろな受験生を見てきて、実技も教えて…….その中で、一つ言いたいことがあります。
「共通テストをやれ」
この記事では、受験生に軽視されがちで、実技講師が触れにくい話題、「共通テスト」の重要性について書きます。
補足:実技試験の比重が高い美大受験では、学力を問われる試験やその対策を「学科テスト」「学科」と呼ぶことが多いです。
以降「学科」というワードが出てきたら、共通テストか勉強のことだと思ってください。
はじめに
東京藝術大学は、実技試験のレベルが非常に高いことで有名です。
そのことについてはかねがね同意です。
予備校を使わずに合格するのはほぼ不可能です。
明らかに実技重視な大学で、実技をやらないと受かりません。
それは間違いありません。
ですが!!!!
学科もとっても大事です!!!
学科をサボらなかった人から受かります。
点数開示Cを超えるラインですら、地方予備校では専攻で一番上手なレベルが求められること。
一次試験(デッサン)を合格しなければ、二次試験、ひいては学科の点すら見られることなく不合格になる試験システム
油画や日本画などは学科の点があまり合否に関係してこないこと
メディアでやけに上手な受験作品が取り上げられがちであること
まことしやかに語られる、学科2割で合格した……みたいな噂
公開されない採点内容
こういった話や、そもそもの受験情報、受験者の少なさもあって、しっかりした対策や合格ラインの情報が少ないのが現状です。
とっても悲しい話ですが、学科、軽視されがちです。実技講師は実技を教えるのが仕事ですし、そんなにできないので強く言えません…
でも学科、大事です。ホントに。
今回は、簡単な算数を通して、学科の重要性に焦点を当てます。
この記事を読むのに必要な基礎知識
要約は以下の通り。でも読んだ方が理解は深まるかな。
デッサン、平面構成、立体構成、共通テスト、全て100点満点、計400点
Cは70点台、Bは80点台、Aは90点台
Cは上段、B,Aは全体講評、写真撮影
目指す合格ラインは8割、320/400。300点だとわからない。
320点取ろうとすると、A1個はほぼ必須。
「A、Bを複数取らなきゃ落ちる」状況は避ける。具体的には、Dは取るな。AやBは半ば運任せであり、取れたらラッキーくらいに考えておこう。
ぶっちゃけ、何割取ればいいの?
8割取りたいです。
9割取れるなら取ってください。
7割は目指してください。
正確に言うなら、8割取ったのに落ちたら、理由はほぼ実技力の問題と断定できます。
9割取ると、実技の運任せ部分をかなりカバーできます。
7割取ると、実技の足を引っ張らないといえます。
5割でも受かりますが、かなり運任せの受験になります。
学科をやれ。
1.「学科を捨てる」は、受験戦略としては最悪の選択
まず、学科が合否に与えるインパクトを知ってください。
多くの受験生にとっては、学科が7割切るなんて論外です。
学科が結果に与えるインパクト
例えば学科でA(90)を取得
デッサン(B:80)+
平面構成(C:75)+
立体構成(C:75)+
学科(A:90)
=320
BCC取るだけで、合格まで肉薄できます。
逆に、学科でD(50)をとってしまったら、
デッサン(A:90)+
平面構成(A:90)+
立体構成(A:90)+
学科(D:50)
=320
A3つとBCCが得点一緒ですよ。
それくらい、学科の点はインパクトがあります。
学科5割でも確かに受かります。でもA3つ取れるまで、何回受けますか…?
次に、点数をあげる難易度を考えてみてください。
点数をあげる難易度
・デッサンと色彩の2科目を、上段上がるかギリギリ(C,70)から、全体講評当たり前(A,90)に上げること
・共通テストの点数を4割から8割に上げること
どちらも40点アップです。どっちが難しいと思いますか。
後者の方が絶対に簡単です。
学科を捨てるというのなら、その重みを知ってから捨ててください。
2.共通テストは運じゃないから
合格するにはどこかの科目でAを一個は取る…というのが目安になります。
でも、実技でAを取るのってとても難しい。
必ず全体公表や写真撮影に回される作品を作る人なんてほとんどいません。しかし…
運を排除してAを取ることができる科目が一つだけあります。
学科です。
共通テストは評価が絶対評価で行われる
年や問題による点の振れ幅が少ない
つまり、周りの人がどんなに高得点を取っていても自分自身の点数が正確に評価されます。
90点は90点。そして、90点取る人はいつも90点前後を取る、それが学科です。
同じ回答が、他の受験生の出来によって、年によって95点になったり、80点になったりしません。
突然出題範囲が偏って、90点取れたり、50点しか取れなかったりしません。
普段9割取れる人間が、問題で何も思いつかず、突然7割取ったりしません。その逆もありません。
100点満点だと自信をもって提出した解答が実は50点だった!もありません。その逆もありません。
実技は裏切るけれど、学科は裏切りません。
https://note.com/mementid/n/n698c330ee50d
この記事で、合格ボーダーは、A1つ、B1つ-2つ、残りがCという話をしました。
7割で満足してはいけません。
実技に自信があってもなくても、学科でA(9割)を狙いましょう。
運を排除して、Aを狙える唯一の科目だからです。
受験は結局点数獲得ゲームです。
「必ず稼げるところにリソースを使う」というのが基本戦術です。
実技は、合格に必要な最低限のレベルである、「C」が安定して取れていれば、学校生活でもその後も困らないと思います。だって、3科目全てで安定して上段を取れるなら、何かしらで全体講評や写真撮影になったことがあるはずです。
自分の得意なフィールドに持っていけば、AやBとれるはずなんです。
もちろん、手が早く動くことは大事です。実技を極めんとす…という態度も否定しません。
でも早く受かりたいなら、学科に手をつけましょう。
学科は、最低限C、7割は取るように努力しましょう。そして、8割、9割取りましょう。
共通テストはたった3-4科目で構成されています。勉強すれば取れます。
受験を運任せにしたいのなら、学科を捨ててください。
3.学科不要論に耳を貸すな。
勉強のできないあなた。
「学科5割くらいで合格できてるし〜」といった言葉を耳にすることがあったりしませんでしたか?
信じないでください。
それは、勉強ができないあなたを気遣う優しさの言葉です。
もしくは、(ま、私は実技できたから受かったんだけどね)っていうマウントです。
ちなみに、
こういうことを言う講師の大半は、(この実技のレベルだと、学科8割くらいは取ってほしいんだよな……)と思っていますし、自身はなんだかんだ7割8割取ってます。
繰り返しになりますが、学科5割で合格できる人たちは、運に恵まれてAを2つや3つ獲得できた人です。予備校で長年の鍛錬を積んで、全国で5本指に入るような人が、運を掴んでなれる世界です。
そもそも美術予備校の講師って、実技が予備校の中で1位2位レベルに上手かったから講師としてスカウトされるわけで……参考にするにはサンプルが偏ってます。
あなたはそんな人間なのか、ぜひ胸に手を当てて考えて見ましょう。
予備校でトップ張れるようになってから、学科を捨ててください。
4.学科に手をつけるのは今
それでも勉強したくないあなた。
「まだ実技が…」「まず実技を…」なんていっている場合ではないです。
「余裕のあるうちに学科は始末しとけ」です。
現役生が、上段に上がれるようになってきて実技の伸びを実感するのは9月過ぎです。
9月過ぎは、一次試験や二次試験の対策が本格化します。焦りも出ますし勉強する暇がありません。
学科の成績は、伸ばすのに時間がかかります。
今高3、浪人の人は、夏休みまでに、共通テスト対策を終わらせましょう。
もう夏は終わった?今すぐやりましょう。
高2、高1の人は、高3に上がる前に共通テストを終わらせましょう。
おめえの共通テスト、ヘラヘラできる状況じゃねえぞ!
ちゃんと勉強してね!!!
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