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面倒だけど

このところ「短歌」という新規フォルダが
私の中で作成された。

大河ドラマ「光る君」の影響を受け、百人一首をノートに少しずつ書き写してみたり、穂村弘さんのエッセイを読んで素敵だと思ったり…。

短歌のどこが良いかと言われたら、第一は短さだ。数秒で読了するという手間のかからなさ。
制約があるから生まれるリズム感や、意味や意図の仕込み方。
あとは読み手に委ねられる部分が大きくて気楽だ。超現実、リアルなようで現実じゃない、完全なファンタジーといったように、世界にグラデーションがある。

学生時代は抵抗なく小説や物語が読めていたのに、気づいたら登場人物や設定にツッコミが止まらず、作家の意図や主張の濃さに酔うような感覚を抱くようになってしまった私に優しいコンテンツなのだ。

人生で初めての歌集も買った。
「老人ホームで死ぬほどモテたい」だ。
「そうだゲイにカミングアウト」というポッドキャスト内で、太田尚樹さんがこの歌集を推しまくってて、存在は知っていた。
本屋で見てもスルーしていたが、買ってみた。

歌も面白かったのだが、私が印象に残ったのは
あとがきだ。

作者:上坂あゆ美さんの中には、合理性を重視する「ひろゆき」と、根性論を求めてくる「和民」という人格がいるそうだ。
また地方から美大に進学された後、会社員として
働かれていた経歴をお持ちだ。大学在学中に「様々な犠牲を払ってでも、表現したいことに没頭して、制作を楽しめている人」にはなれない絶望を味わったそうだ。

わかりみ しかなかった。

ふと「私の中には誰がいるのだろう」思い
数日間考えてみた。
私の中にいるのは総勢6名である。(順不同)
①武士
②マイメロ
③極道の妻
④コンビニの前で、たむろしている10代
⑤エルフ荒川
⑥貴婦人

上から順に行こう。

①武士
真面目で「こうでありたい」という理想が強い。決めたら、最善を尽くしてやり抜く。自分にも人にもクソ厳しい。スムーズに行かないことを毛嫌いし、白か黒を今すぐつけたがる、せっかち。
頑なで盲信的だ。

②マイメロ
可愛い、楽しいことや綺麗でオシャレなことが大好き。
のんびりと威圧感を与えず、優しく見える。
しかし、予想外の出来事が起こると慌てふためく。未知のことに踏み出すのもとっても怖い。
結構かまってちゃん。

③極道の妻
普段は静かだが、道理にそれたことが起きると顔色が変わる。「てめえ、何やってんだ?」と温度がゼロになり、圧をかける。
相手を簡単には殺さず、大切にしているものを奪い壊すことがトドメになると考えている。
分不相応な振る舞い、浮ついているヤツなど、「調子乗ってるやつ」はデスノートに追加される。修羅場を乗り越えた経験から痛覚が麻痺し、
他人の感情に無頓着。しかし忍耐強い。

④コンビニの前でたむろしている10代
だるい、めんどくさいが口癖。
う⚪︎こ座りでタバコを吸っている。
「どうせ…」という悲観的な物の見方をしがちで
自暴自棄。正論通りではない周囲や世の中に中指を立てて憤っている。
若いので体力だけはある。

⑤エルフ荒川
「どうにかなるっしょー!」という明るいギャル。ギャルピースとハッシュターグで乗り切る。
感情に素直。落ち込むことがあっても、最終的には、その時々のベストを尽くして前向きに進む。弱みを見せることは苦手。

⑥貴婦人
日々ゆったりと過ごしており、雅な雰囲気。
モノや人の審美眼がエグい。
侍女が周りのことをやってくれるので主体性はゼロに近く、基本他人任せ。父上や旦那に翻弄されることを分かっており、運命は委ねるしかないという諦めがどこかにある。しかし、
いざという時のため、敵か味方かの判断、損得勘定を素知らぬ顔で行っている。

キャラが被っていることもあるが、大体こんな感じである。
キャラのイメージがざっくりとしているため、
どうやって分化させるのか、言語化するのかが
難しかった。出来ているのだろうか…?

今回考えてみて「エルフ荒川」に初めて気づいた。どうやらいつも、私の中で「どうにかなるっしょー」という楽天的なやつがいる。

ここ最近は、極道の妻、コンビニたむろ10代、武士のキャラが強く、貴婦人はお飾り、マイメロはビビって逃げ出してしまい、エルフ荒川が完全にモブになっていた。

正直、こんなに自分の中にキャラがいるのは本当にダルい。
そのキャラの「いいとこどり」だけをしたいとつくづく思ったが、既にそれを行ってきたから、生きてこれたのだ。

これからしばらくの間は、感情に素直、「アゲー!」な感じで、追い風に乗っていくことが得意そうなエルフ荒川さんを主人公に押し上げて、貴婦人とマイメロさんの出演も増やしていきたいなぁ。
と私というプロデューサーは思うのです。



























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