読書感想:なぜ人は人を見下すのだろうか
お久しぶりです。そしてあけましておめでとうございます。
長らく更新できていませんでした。。いろいろあって。まあ後日そのことに触れた投稿もできたらなあというところですね。
久々の投稿かつ新年1発目なのに、このタイトル(笑)
ですが面白いというかすごく自分に刺さるというか、いろいろ過去の自分と向き合える本と出会いましたので、「鉄は熱いうちに打て」ということで読んですぐ感想を書いていきたいと思っています。
今回読んだ本は麻布競馬場さんの「この部屋からは東京タワーは永遠に見えない」です。
東京で生活している若者たちにまつわる短編小説集です。
わたしも東京住みたかったなああこがれるなあという軽い気持ちで手に取ってみました。
ネタバレは避けたいので、ざっくり・そして自分の主観的経験や体験に紐づけた感想になっちゃうとは思いますが・・・
一言でいうと「まったくすっきりしない嫌な小説」だなと思いました。いい意味で(笑)
人間の嫌な部分・汚い部分を煮詰めて抽出したような、そんな小説だなあと。そして、この小説は過去の自分の嫌な部分を見つめなおすそんな機会をくれました。東京に住んだことないのに、共感できることがたくさん。
この小説を、私は「東京」というフィルターではなく、「見下す」というフィルターを通して読みました。
だれかと比較して、自分はあいつよりはましだ。あいつより幸せだ。あいつより不幸せだからそんな自分は嫌だ。誰もがそう思うときってあると思いますし、私もありました。(というか今も無意識的にそういう考えになってしまうことは少なからずあります)。この小説の主人公たちもほとんどが他人と比較することや見下すことで自分の価値を図っているなあと感じました。
そして以前自分自身が見下していたことを実際にやってしまった時の罪悪感や嫌悪感、そして見下していたものが実は自分にとって「憧れ」だったといことに気づいた瞬間の苦しさ。自分の愚かさに気づくところまで、中学生~大学生の時の自分を見ているようで、辛かったです(笑)
ただ、私自身この「見下す」ことや「他人と比較する」ということ、以前に比べて減ったなあと自覚しました。なんでだろう。。
考えてみたんですけど、「自分」の指標で、自分にとって価値があるものはなにかということを一人で孤独に向き合ってきた結果なのではないかなと思っています。
大学生の時に、就活で自己分析をしました。自分が好きなものや嫌いなものがわからなくて、自分の存在意義のなさに大号泣しました。それからなんとなく入れてくれそうな、他人からの評価もそこそこな職場を選んで、なんとなく社会人になりました。それから他人の顔色伺ったり、同期と比べて仕事できるように頑張ろうみたいなモチベーションで仕事をやっていました。周りからの評価は悪くなかったと思うのですが、だんだん疲れてきてすべて投げ出したくなったんですよね。そのタイミングが、一人で孤独に自分のことを考えるきっかけでした。「自分ってなんなんだろう」と。過去を振り返ったり自分について一人で向き合い続けてきた結果、今になってだんだん自分が何が好きで嫌いなのか、自分にとって価値があるものはなにかわかるようになってきました。他人と比較しなくても、私には私の価値があるということがなんとなくわかってきました。そして自分と違う他人のことも受け入れようとも。だんだんそんな風になってきたから、楽になりましたし、以前よりも今が圧倒的に幸せです。
人を見下すのって、自分の価値が自分でわかっていないから、他人という指標を使って価値を見出しているということにつながるのかなと思います。まあ人と比較して得ることができるものや気づきもあるんですけど、それだけに依存してると疲れてくるし虚無感でいっぱいになります。この本を通して自分で自分のことを認めることができる、自分にとっての幸せを自分の力で見つけることができる人間になりたいなと思いました。そして少しくらい不幸せでいいんだと、完全な幸せを目指さなくてもいいんだと。
自分語りもおおくなって純粋な本の感想ではありませんが(笑)
すみません。