哀しいお話の主人公

傷ついて泣いたりとか
哀しくて泣いたりとか
してみたかったんだ

思いきり傷ついて
思いきり哀しんで
いっぱいいっぱい
泣くだけ泣いたり
してみたかったんだ

『泣くだけ泣いたら明日が見えてくる』なんて
私もそんな明日を見てみたかった

泣くだけ無駄だって
泣いて今が変わるなら泣くけどね
変わらないでしょって
涙なんか無意味だった

明日なんかこなければいいって
祈るように眠りについてた
私が見てた明日って
いったいどんな明日だったんだろう
安心して眠る場所も
安心して泣ける場所も
何も無かった私の明日って?

朝目が覚めたら
生まれ変わってて
昨日までの哀しいお話の主人公は
消えていなくなってるの
生まれ変わった私には
新しい人生が待ってるの
目の端が痛くなる程
夜空を睨みつけてたら
見えてきた明日は
見ては行けない明日だった
今日の私と引き替えに
新しい明日の私という人物を
つくりだしてしまったのだから
明日の私も結局次の日には
昨日の私になる

昨日の私を何度消し去ったら
本当の明日が見えたんだろう
本当の私が見えたんだろう

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