【詩】 静かに流れる時の中で
ふと窓の外に目をやった
春も間近というのに
すぐ目の前の大きな木には
葉の1つもついていない
冬の名残を刻む木を
茜色の空が包んでいる
枝と枝の間に浮かぶのは
赤い屋根が連なる町並み
遥か向こうにかすむ
平和に過ぎた今日に感謝して
静かに時は流れていく
今日もまた
昨日と変わらぬ風景を
穏やかな時間の中で
厳かに見守る大きな木
冬の名残を刻んでも
春のように温かい
静かに流れる時の中で
森羅万象に感謝できたとき
至高の幸福感に包まれる
Daylesfordはメルボルンの市街地から車で約108kmほど北西に走ったところにある小さな美しい町です。ミネラル豊富な天然水で有名な場所で、あちこちに水が飲める蛇口があります(パンデミック以降、今はどうだかわかりません。)この町の見どころの1つにThe Convent Galleryという、以前は修道女達が生活していた施設だったところを改造したアート・ギャラリーがあります。実際、1階はカフェ、上の階には小さなチャペルや結婚式場もあったりします。
「静かに流れる時の中で」は、2階の窓から町を見渡した時の眺めとその時の空気感や感覚を綴った詩です。眺めていたときに、アンドレア・ボッチェリの「コン・テ・パルティロ」がギャラリー内にかかっていて、曲調とあまりにも眺めがマッチしていて涙が出そうになりました。もちろん、メルボルン市街に戻ってからすぐにCDを購入し、それ以降はアンドレア・ボッチェリのファンになりました。
今でもこの詩を読むとこの時の感情や感覚、眺めが蘇ってきます。