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そこは大人の文化祭 | #文学フリマで買った本

参加していた友人も、わたしの話を聞いた夫もそのイベントを同じ言葉で表した。

「大人の文化祭」

だからきっとそう、あれは大人の文化祭だったのだと思う。たしかに、おそらく「本を出して儲けよう!」と思っている方は少ない。本を作るということがどれだけ大変かは想像できる範囲を超えている。それほどの労力と時間とお金を注ぎ込んで編み上げたものが溢れているんだもの、本当に楽しい時間だった。


∴ 事前準備

初参戦の文学フリマ。しかも直前にコロナに感染し、わりとしっかり症状フルコースだった。外に出られるようになったのが前日という、超絶病み上がりスケジュール。自律神経がめためたになっており、汗ビシャビシャになってしまうお恥ずかしい感じに。( お会いした皆さま、お見苦しいところをすみません。。。! )

流通センターでの開催は今回が最後で、次回からはビックサイトでの開催になるんだとか。本当に……コミケだ……!ということで次回から諸々変わってしまうかもしれませんが、覚書として書き残しておこうと思います。

ちなみに事前準備は、こちらの御二方のnoteを参考にさせていただきました〜〜!何度読んだことか……多謝……


①チケットは事前にイープラスで

イープラスで前売り券を購入しました。スマチケ( スマホのQRコードで確認してもらえる )を利用。
当日は入り口でチケット確認→リストバンドを貰ってそれを提示すればあちこち入場できる、という感じでした。
前売り/当日券ともに値段は変わらないけれど、発券対応しているコンビニが周囲に無いというのは公式HPがアナウンスしていたので、事前に・スマホで購入が良さそう。

②小銭をたくさん準備しておく

いろんな方の文フリレポで事前に確認しておいて良かったと思ったのがコレ。500円〜2000円以内のものが多く、だいたいが現金支払いのみ。稀にpaypay対応ができるブースもありましたが、基本的には現金が多くあったほうが良さそう。
2000円分の100円玉をジップロックに入れて行ったけれど、ほとんど捌けてしまった。とはいえ1300円くらいのお買い物をするとき、お財布から1000円札を出し……ジップロックから小銭を出し……で手間取ってしまったので、お財布に数枚の500円玉・多くの100円玉を入れて行く→お釣りは他の小銭入れに、が良かったかも。次回からはそうする予定。

③バッグinバッグ&歩きやすい靴で

荷物が増えるのは承知の上で行ったので、持ち手がしっかりしている、トートバッグで行きました。足元はローヒールのパンプス。わたしの自律神経の乱れを抜きにしても、かなりの人口密度&蒸すお天気だったので、涼しい格好で大正解。ただその後の体温調節が難しかったので、薄いストールか何かは持って行っても良かったかも。
バッグは企業さんが不織布のバッグみたいなのを配布してたけれど、トートバッグの中に薄いトートバッグ( わたしは無印のトートバッグを入れました )を入れておいて、そこに突っ込んで行くスタイルが楽ちんだった。

当日は星野源のPOPVIRUS
ワールドツアーのときのグッズになっていた
トートバッグで行きました。
別物ですが、同じサイズ感のカバンで参考までに

薄いトートバッグはこちらを使っていましたが、売り切れているとのこと……残念。。。


④事前に「自分だけのメモ」をスマホに

次回から会場が変わるのでどんな感じになるかは未知数ですが、今回の話でいうと、ゆっくり巡り合いを求めて行くのはかなり難しかったなあ……と言う印象。人口密度がかなり高く、流されるようにブースを見て回るような感じだった。エイヤッと人の波に飛び込み、洗濯機でぐるぐる回されるようにブースの前を歩き、良さそうなものがあれば飛びつく!みたいな。なんなら途中動けなかったくらいの大盛況だった。

お友達やnoteをフォローさせていただいている方はもちろん、「これ買いたいかも」というものはあらかじめスマホにブースと名前をメモして臨みました。お友達は紙媒体でメモしておいたとnoteに書いていらしたけれど、個人的にはこのやり方で良かったかも。メモを作ったものの忘れて行ってしまうタチなので……
webカタログは情報量が多すぎたので、#文学フリマ でTwitter( 今はXと呼ぶのですよね ) 検索をかけ、良さそうなものはガンガンスクショして臨みました。


∴ 当日のこと

おやすみ日記に書くと思うのだけれど、当日はnoteお友達である中島浮世さんと夜ごはんを食べる約束をしていた。( 事前にコロナになってしまい……という確認をしたものの、快く予定通り決行させてくださり&体調のお気遣いをいただき有難いやら恐縮やらだった……女神…… ) ということで時間を逆算し、2.5時間くらいの滞在時間になるよう到着。
実際は病み上がり復帰戦にしては人が多すぎて頑張れず&早く買った本が読みたくて、2時間くらいで退散しました。余韻そのままにカフェで好きな本めいっぱい抱えてつまみ食いならぬつまみ読みするの、最高だったな。


∴ お迎えした本とその思い出たち

計7冊!うち6冊は事前に目星をつけていた本だった。もうすこし新たな出会いがあると良かったな〜と思いつつも、どれもすでに魅力的だったので、積読の量や予算からしても妥当なお買い物だったかなと個人的に。以下、すでに読んだものまだ読めていないものがあるので内容はまちまちですが、ちまちま綴っていきます。( 敬称略で失礼します )

「結婚はしない」と決めました。/ あたそ


SNSでフォローさせていただいており、気になっていた本。新刊も出ていたけれど、一旦既刊のほうをお迎え。「結婚しなくても幸せになれる」とされる時代に人はなぜ結婚するのか/しないのか。
どんな人生だってその人の選択で自由なわけだけど、「しないと思ってたけど、結婚したら幸せでした♡」的エッセイが多いなかで、こういうリアルな声って貴重だな。

実際にお会いしたあたそさん、想像通りのチャキチャキしたかっこいいお姉様で「買う人ー!挙手制でいきましょう!」と捌いていらっしゃって大変良かった。


私が愛するあなたの凡庸のすべて / 古賀及子


noteをフォローさせていただいている、だいすきな方。売り切れる前に……!と、会場に着くや否や向かったんだけれど、何の問題も無いほど山のように在庫を準備してくださっていて安心した。
とはいえ納得の人気で、並んで購入させていただきました。初めてお会いした古賀さんは、本当に内側から発光しているのかしら?というくらい、ペカーッと輝いていて眩しかった。ギラギラというより、レモンイエローみたいな淡くてあたたかな光。

いいことがあった日も、ぜんぜんだめな日も、
いいことやだめなこととはまったく無関係の
出来事と会話があります。

どうせ起きて、結局は寝る。
そんなことがあいかわらず、いえ、よりいっそう
可笑しいなと思っています。

古賀及子さんnote/「5/19にZINE『私が愛するあなたの凡庸のすべて』の頒布を開始します」より

あぁ、この方だからこういう文が編めるのか。とすごくすんなり腑に落ちた。お迎えした本、まずタイトルが良すぎる。早く読み進めたい気持ちと、大事に読みたい気持ちが拮抗しているところ。


初めて筆名でサインをいただきました


父を送る《改》 / アジフライ帝国

SNSの検索で見かけて買いに行った方。お父様の最期までを引き受けると決めてから、訪問医療や介護施設の実情、葬儀の流れまでを書いたという作品。装丁の美しさと本の分厚さ、それに対して600円という良心的すぎる価格に驚いた。

どちらかというと「現場」側の人間であるだけに、読み進めるのは少し怖い。今までお会いした数多のご家族のこと、患者さんのことを思い出してしまいそうで。でも読むぞ、読むぞと意気込んでいます。
爽やかな笑顔で売ってくださったのがとっても印象的だった。


平日は、IT企業の会社員、休日は、ケーキ屋の店員  / 永田ゆにこ

40代になり、昔からやりたいと思っていた「ケーキ屋さんで働く」をダブルワークとして始めてみた方のエッセイ。
通りがかったとき、キラキラの笑顔に惹かれて立ち止まり買ってしまった作品。話しかけてくださった時の明るさそのままでまるっと包み込んでお話を続けてくださるような感覚に包まれながら読んだ。流通センターからの帰り道で読めてしまうほど、するする入る文体だった。心地良い。

「いつかやりたいことはいつかではなく、
やろうとしなきゃ、と最近よく思うのです」

作品より

ウッ、刺さるお言葉…………!!!!

Families / 千羽稲穂


もう何年も相互フォローでありつつも、ちゃんとご挨拶できずだった方。病み上がりで確実に行ける保証がなかったので急に押しかけてしまい、驚かせてしまって申し訳なかったです。


「ルンバの子」というお話が収録されているのですが「ふふふ、分かる」と思いながら読み始め、「ウッ、分かる」と読み進め、「ウ……ッ」とクリティカルヒットだった。

子どもがいない僕たちには、そもそも
スタートラインにも立てていない。
僕たち夫婦という関係は、「生きている」と
言えるのだろうか。

「ルンバの子」より

まるで誰かの人生をなぞってひとしきり生き終えたかのように、登場人物それぞれがはっきりと存在しているみたい。ありありと生きている文体からエネルギーを感じた。読み終えた後もズシンと刺さるというか。

余談ですが、SNSのアカウントを提示して名乗るという初めての人生イベだった。めちゃくちゃ驚かせてしまった上に、こちらからこう記すのは烏滸がましいけれど「推しを見たときの反応」をなさっていて&書き記せないほどありがたいお言葉を多々いただき、嬉しいやら恐縮してしまうやら。普段直接「推しです」と言っていただく機会ってないので、とっても嬉しかったです。こういうエネルギーをいただけるのは創作の強さだなあ……ありがたやありがたや。


はじめての北国暮らしは掘りごたつ付きワンルーム / よさく

noteお友達のよさくさん。というか何度かお会いしてnote拝読してPodcast拝聴して、の過程の中でもはやフツーにプライベートのお友達感がある( 勝手に ) 。
今回文フリに行くきっかけになったのも、よさくさんが出展するからだった。素敵なきっかけをありがとうございます……!

初参戦の文フリ、賑わいに圧倒されて人見知りは謎に緊張してしまい、「し、し、し、知ってる人がいるところに避難しよう……」とヨロヨロお伺いしてしまった。結果、見かけた瞬間嬉しさのあまり、ヒラヒラ両手で手を振ってしまう始末。年上のオニーサンぞ。

渾身のブース佇まい……!
出展までの経過をnoteで拝読していたので感慨深い


作品自体はnoteでエッセイを読んでいるのでわりかし知ってる内容かしら、と思っていたけれど、そんなことはなかった。そういえばお話しするようになったのが北海道にお引越しなさってからだったので、東北にいらっしゃった頃のことはそう知らないのである。当たり前だけど、友人の人生に流れる知らない時間が沢山あるんだなあ。と実感。垣間見させていただけるの嬉しかった。

今まで横書きで読んでいたそれが縦書きになり、フォントが変わることでこんなにも変わるのか……!という驚き。読みやすくて、帰りの電車の中で読み終えて速攻感想をLINEした。

noteで拝読していたときから思っているけれど、よさくさんのお人柄が本当にすごい。あたたかくて、それでいてめちゃくちゃ向上心があってアクティブ。エッセイに出てくる人は「この世知辛い世の中になぜ?」というほど良い人達ばかりなのだけれど、それはよさくさんのお人柄の良さがすべて惹きつけているんだなあと改めて思いました。


電線 / 谷川電話 イトウマ

SNSでフォローしている歌人の方。
切なさと喪失感、暗いのに重くない言葉を選ぶ方だなあと思っている。

恋人が( ああ「元」だった ) 使ってた
香水の味を思い出せない

短歌集「恋人不死身説」より

わたしたち透明だから美しく
走りまわっても叱られないね

X @tanikawadenwa より

アカウントではほとんど日常の写真やご本人らしき写真がない。だからこそ初めてご本人にお会いしたとき、お二人ともかっこよくて目が見れなかった。
眼差しが憂いを帯びている中に優しさがあって、繊細な心と言葉の人だ……となった( ? )
小銭出すのに手間取ってしまって申し訳なかったです。

孤独な人と孤独な人が抱きあって
孤独が深くなってさよなら

同人誌「電線」より

谷川電話さんの編む言葉は、細くて悲しくて暗くて、でも深く落ちていくものではなく浅瀬でそっと拾い上げてくださるような心地がする。ひとつずつ、心の中で声に出しながら読んだ。


∴ 以上、文学フリマレポートでした

な、長かった……5239字……!
でも忘れぬうちに書き記したいと思うほど、「ご本人から手渡しで作品を受け取る」というのは尊い経験だなと思った。

浮世さんとも話していたけれど、「次回の文フリ出してみたいな〜〜」という気持ちと、「でも準備めちゃくちゃ大変なんでしょう?」「そもそも何を本にするのさ」という気持ちがかなり拮抗している。想像を絶するほど大変なんだろうな……
ただ本当に「書きたい、届けたい」という皆さんの思いがギュッと詰まっている、お祭りみたいな空間だった。今後のことはゆっくり考えよーっと。

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