カフェラテの泡には届かない
カフェラテをコンビニのレジで頼む
なぜコーヒーにしないのか?
いつもはホットコーヒーじゃないか
だって、あのふわふわの泡が食べたかったんだ
クリーミーな泡に癒されたかったんだ
あの上にのっかってるスチームミルクとやらは夢があるじゃない?
雲みたいで美味しそうじゃない?
私はあれをおいしくいただきたいのよ!
機械がミルクとコーヒーをカップに注いだ上に、
ついにふわっふわの泡がホイップされる。
幸せを感じる。
カップにそっと口をつける
ふわふわの泡にくちびるがふれる
ああ、なんておいしいのでしょう!天にも昇った気分ですわ!
となるのかと思いきや、
泡の下の、コーヒーとかいう液体が口内に入る
「私が迎えたいのは、お前じゃねぇぇぇぇ!」
本気で心の底から叫ぶ、いや怒る。
私がこの口で迎えたいのは、
スチームミルクなんだ!!!
何度すすっても、口に流れ込むのは液体だけ。
液体だけが減っていき、泡の表面は徐々にカップの底へ下がっていく。
しまいには、泡だけがカップの底に残る!!!
けしからん!
どうやってカフェラテの泡をすくえばいいのか?
マドラーだと上手にすくえないし、
ストローでホットカフェラテをすするのはおかしいか?
考えたのち、泡は底に残り、私はそれをJR線構内のゴミ箱に捨て去ることになるのだ。
カフェラテの泡は、
見えているのに、全くつかめない雲のようだ。
人は雲に憧れる。
あれに乗って移動できたら楽しいのにとか思う
子供の頃はそう思っていたが、
あれはただの水蒸気のかたまりであり、
つかもうとする手はスカッと宙を切るに決まっていることぐらいわかる
もう大人だから。
でも、
スチームミルクぐらい夢を見させて
スチームミルクくらいはこの体で感じさせて
届かない夢を現実にとどめさせて