【まくら✖ざぶとん】🈞『木乃伊取り』(大関昇進したので再掲!)
えー、木乃伊(ミイラ)取りが木乃伊になれば同じ穴の貉(ムジナ)、ということにもなりましょうが、角界で暴行騒動が起きるのはもはや年末の風物詩、だからって風物詩人にゃ任せず時事こと《トキゴト》ネタでお立合い、続編とあっちゃ前回の殺し啖呵ではじまろうかってんで、八角ョーイ!
貴乃花部屋の消滅に伴って力士たちが千賀ノ浦部屋に移籍たる転籍後、一番弟子の貴景勝が優勝して元親方の汚名をそそぐや勃発した暴行沙汰。起こしたのは一連のお部屋騒動の当事者、蒙古横綱の暴れ馬に酒瓶で殴られたお岩さんこと貴ノ岩。付け人・貴大将の不始末で頭に血がのぼって乱暴狼藉、貴殴りのタコ殴りでかつてのお岩腫れがお岩にならせりゃ同じ穴のドルジ。
前回の一席で「手のツッパリなら(まだ)いたんですよ」、とは言ったがすでにリーチがかかってたんなら素手の一発でも放銃ならぬ放逐、角界からトばされちゃってあえなく終局。リーチをかけさせたのが日馬富士だったんならウマはついてたに違いなし。ってのは「手のテンパリ」こと麻雀の話。
親方の引退から部屋の転籍に訴訟の問題、弟弟子の優勝や今場所の負け越しまで踏んだり蹴ったりではあれ、角界から去った蒙古横綱たちと同様、土俵では十両優勝して先場所も勝ち越しただけに鳴かぬまま飛ばされたわけじゃなし。新しい部屋で貴景勝を筆頭に貴公俊や貴大将、貴乃花一門で一枚岩になるべきところを内輪揉めの仲間割れで兄弟弟子の明暗は真っ二つ。
貴景勝の優勝で一度は上がった貴乃花親方の株も大暴落で乱高下、黒幕の存在を匂わせた自身の引退会見を序の口に景子夫人との離婚発覚が序二段、優一長男の職務怠慢が三段目、紀子実母との絶縁関係が幕下で貴ノ岩の暴行引退が十両…と現役時代を彷彿とさせる連続昇進ならぬ連続傷心の話題でワイドショー・シーンに引っ張りダコならぬ引っ張り貴。
前回に倣えば貴ノ岩に殴らせるべく付け人を操った存在こそ最大の注目株たる黒幕内。前回を思えば「たちまち迷える弟子羊に」、と言った通り生贄の山羊になった貴ノ岩は一年越しの角界引退で預言的中。新たな生贄こと貴大将が四股名の通りガキ大将と化して弟弟子をかわいがればまた殴られ貴の貴殴りだが、角界の暗い話題はもう時間いっぱいならぬお腹いっぱい。
一蓮托生のお部屋騒動もこれにて一件落着はせずとも一旦決着、貴乃花一門も新規年号に向け心機一転なら結びの一番は唯一の明るい話題、親方の「貴」と親方夫人の「景」を四股名に併せ持つ一番弟子、親子同然に過ごしてきた両親の離婚直後に優勝してみせた貴景勝の孝行息子ぶりたるや!