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交流分析の奥義「傾聴」について

#コミュニケーション #人間関係 #コミュニケーション心理学 #交流分析

はい、ごめんください。コスギです。

交流分析はコミュニケーション心理学の1つなんですが、そのゴールは自律性をつくること、ということを前回お話ししました。つくるというか、育む、といったほうが適切かもしれません。

今回もPodcastの話なんですが、noteの方はちょっと付け足しました。さらっと聴くならこちら。

コミュニケーション心理学のお話:交流分析の奥義「傾聴」について by コスギスチャンネル

「自律性」を育てる究極奥義

人間って、「自分が存在していても大丈夫なんだ」「相手が同じように存在していても大丈夫なんだ」という存在認知の実感を求めたり与えたりしているにも関わらず、よく揺らいでしまう生き物です。

その実感を与えられるコミュニケーション、つまり「自分が ”存在していても大丈夫なんだ” ということを心から実感できる接し方」があるんです。

・・・なんだと思います?

たとえば「話をする」とか「抱きしめてあげる」とかいろいろあると思うんですけど、実は「傾聴」です。要するに「意識して相手の話を聴く」ということです。交流分析の最大の奥義ともいえます。

傾聴をやると、相手は「自分を認めてもらった」と思えるようになるので、自分で答えを見つけていく、つまり「自律性」がどんどん育つんですよね。

話をしていく中で、「そうか、自分ってこう考えているんだ」という気づきが生まれて自己理解が深まり、やりたいことが整理されて自発性につながり、「この人とは、本当にオープンな関係になれるなあ」という親密性によって心理的に安全な関係になれる、という自律性の3つのポイントがどんどん育っていくのです。

とはいえ傾聴するといっても「なかなかできるもんじゃないよね……」と思われるかもしれませんし、逆に、「話を聞くだけで済むんだったら簡単じゃない?」と思われるかもしれません。

そもそも「傾聴」できるひとは貴重

「傾聴」をまとめてしまうとシンプルな話なんですが、そもそも「話を聴いただけでそんなに簡単にうまくいくはずがないやろー」と思われているかもしれません。

はい、実際そうです。
これでみんな幸せになっていたら、戦争は起きませんて。

じゃあ、自分がいざ「話を聴く」という立場になったときに、どんなふうにしているか、客観的に観察できますか?

相手の話に合わせて「そっかそっか」と相づちを打っているだけなのか、「それってさぁ〜」と自分の話をはじめるのか、なんとなく話半分に聞いていて全然違うことを考えていたりとか、時間を気にしたりとか。

人によってさまざまな「話の聴き方」があると思いますが、一度「全身全霊で最後まで相手の話を聴く」ということを、まずは自分なりにやってみてください。相手の表情が和らいだり、前のめりになったり、うれしそうな表情が出てきたら成功です。

「でも、そんなことしたら話ずっと終わらないんじゃ?」と思いませんか?

実際、そのとおりです。

「会話が続かないと、聴いているだけでも気まずくなる……」という経験をしたこともあるかもしれません。

これもあるあるですよね。

傾聴を「相手の言葉に耳を傾ける」とだけ考えていると難しいと感じるかもしれません。

なぜそうなるかの話は次回にするとして、最後に親子間コミュニケーションのコツをお伝えします。

親だからこそ「訓練」しておきたいコミュニケーション

傾聴は自律性を必要としますので、自分の心が揺れていると、できません。しかもたいていの場合、親(養育者)は子どものことを放っておけません。

子どもは人間の世界に産まれてから自分の3倍以上もある巨人の世界で生き延びなければならないため、生存本能として相手の庇護にすがるしかなく、それによって親(養育者)は自分の存在を認識してもらえる相手となるからです。つまり、自分の承認欲求を満たせる究極の存在が、自分の子です。人によってはなかなかショックなことかもしれませんが、そういう考え方として捉えてください。

だからこそ意識的に自分の気持ちに余裕をもって、以下の3つのことを続けてみてください。子どもの自律性がどんどん伸びていきます。一番時間がとれそうな、寝る前にやるならこんな感じです。

①まず、こんばんは
できる限り目線を合わせて、「こんばんは」からはじめましょう。一緒に布団に入って、あいさつするのもオススメです。毎日続けるときにこのような「儀式」をつくっておくと、スイッチが入ります。

もし、話をすることで盛り上がってしまうような子の場合、「何時まで」と子どもに決めさせてください。その後に何をするか(寝る、本を読む、今度は親の話を聴くなど)も決めてもらいます。

②今日のできごと
朝からどんなことをしたのか、子どもが話したい流れに合わせて最後まで聴きます。このとき、絶対にアドバイスはしません。

話を促したいときは「それで、どうなったの?」と聴きます。相槌を打つときは、「それは◯◯だったね」「◯◯だったんだ」と、事実を復唱します。子どもからアドバイスを求められても、「◯◯はどう思う?」と聴いてください。「わからない」と答えたら、わからないことを事実として認めるだけです。

③さいごに、ありがとう
「話をしてくれてうれしかった」という気持ちを伝えてください。できるならハグしてください。心の中で7つ数えつつ、心から愛してるよという気持ちを込めて、強く強くギューっと抱きしめてください。

これによって、言語的・非言語的な傾聴ができます。

もし、子どもが誰かをいじめて優越感に浸っていたり、自分を傷つけているようなことがわかったら、対応が必要です。「そのような行動を取らなくても、私があなたの存在を認めているから大丈夫」という姿勢で、意識的に寄り添ってあげる必要があります。

親の自律性は(良くも悪くも)子どもに伝わります。親が課題を持っている場合も少なくありませんから、必要に応じて、カウンセラーに相談してくださいね。