話が長い人は_一生懸命な人だから

承認欲求を「見て」みよう

はい、ごめんください。コスギです。

前回、人間は「存在認知の刺激」を求めている、要するに、いわゆる「承認欲求」は誰でも持ってますよーというお話でした。だから、「傾聴」によって相手の存在を全肯定することはコミュニケーション心理学の奥義ですよ、と。

今回の Podcast はこちら。
承認欲求を見てみよう:コミュニケーション心理学のお話

承認欲求は本能

なぜ人間がそんなに「存在認知の刺激」を求めるかというと、本能だからです。

赤ちゃんって、産まれた時は50センチくらいですよね。ですが、世界は自分より3倍以上もある巨人たちの世界なんです。そんな中で生き伸びるためには自分を守ってくれる人を見つけ、どうすれば自分を認識してくれるか、もう瞬間瞬間で必死に判断しなくてはなりません。

あなたが突然、知らない星に飛ばされて、自分より3倍以上も大きな人間に囲まれていたら、どうです?恐ろしくないですか?まずは危害を加えない相手だということを十分に確認して、それからコミュニケーションを図るのではないでしょうか。

赤ちゃんも同様です。言葉が通じなくても、小さくても(小さいからこそ)、五感、もしかしたら第六感やセブンセンシズまで総動員して、自分の生存戦略を組み立てていくわけです。

身体を揺すってみたり、手を伸ばしてみたり、笑ってみたり、泣いてみたり、怒ってみたり。いろんなことを試して、どうすれば「存在認知の刺激」をもらえるかを試行錯誤しまくっています。

脳科学を扱っているわけではないのでこれは個人的な考えですが、赤ちゃんの1日のサイクルが短いのは、こうやって脳をフル活用しているから、こまめに睡眠が必要なのかなと思うほどです。

この「存在認知の刺激(の一単位)」を、交流分析では「ストローク」と言います。この「ストローク」という考え方を持っていると、人間関係を客観的に観察することができるようになります。

ストロークのやりとりを観察してみよう

ストロークは、精神的 / 肉体的、言語的 / 非言語的、肯定的 / 否定的、無条件 / 条件付 のパターンに分かれます。

たとえば、「ありがとう!」「あなたのおかげで助かったよ!」「すごかったねー!」という言葉かけは、肯定的な精神的・言語的ストロークです。

「なんでこんなこともできないんだよ」「だからお前はダメなんだ」といった言葉かけは、否定的な精神的・言語的ストロークです。

では、「ハグ(抱きしめ)」はなんだと思います?

コミュニケーションの結果はすべて受け取る側で決まるので、肯定か否定か、無条件か条件付かは、ストロークを受け取る側が判断します。

幼少期の子どもは非言語のメッセージを受け取る時期でもあるので、それによって変わることもありますが、ほとんどの場合、親(養育者)からのハグは、肉体的・肯定的・無条件のストロークとして受け取ります。ですが、自我が確立してきた時期の子どもにとって、ハグは否定的なストロークとして受け取ってしまうこともありえます。

ストロークはパターンがありますが「存在認知の刺激」であり、「心の栄養素」とも言われています。

肯定的なストロークがもらえない場合、否定的なストロークでも欲しがるようになります。やっかいなのは、私たちの世界では、否定的なストロークのほうが与えやすく、もらいやすいということです。

自分のコミュニケーションのクセを観察してみよう

交流分析では「ストローク経済の法則」というものがあります。

ストロークはお金と違ってなくなるものではないですが、「承認欲求」が本能である以上、すべての人間が求めるものです。ストロークによって相手をコントロールできるため、資本経済のように扱うことができるのです。

適切に扱えば「躾」になりますし、悪用すれば「洗脳」になります。いやー、恐ろしいですね。

自分が親や環境によって、気づかないまま「ストローク経済の法則」にハマっていることもあります。「褒められても謙遜すべき」「調子に乗るから相手は褒めない」と思っている人は、要注意です。

法則に逆らうためには、次のようなことを意識してください。

①送れるストロークを持っているなら、送りましょう。
②ストロークが必要な時には、自ら求めましょう。
③肯定的なストロークは、受け取って良いのです。
④否定的なストロークは、受け取らなくても良いのです。
⑤自分自身にもストロークを送りましょう。

どうせなら、肯定的なストロークの交換をしたいものですよね。自分のストローク授受のクセは「ストローキング・プロフィール」の診断をするとわかりますので、興味のある人は調べてみてください。

私は姑と同居していて……という前置きだけで「あっ…(察し)」と思われることも少なくないのですが、実際お察しのとおり、否定的なストロークが毎日のように送られてきます。交流分析を知ってからそれを観察できるようになり、理由もわかっているので、だいぶ楽になりました。

次回は、なぜ否定的なストロークを送ってくるのかということをお伝えします。

#コミュニケーション #人間関係 #コミュニケーション心理学 #交流分析