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ラストマイル考察②(※ネタバレあり)

「馬鹿なことをした」

病室で目を覚ましたやまさきの呟いた台詞。
ろくろーが聞いていて、自分で飛び降りたことを示唆することに繋がった。

短い出演時間の中の、彼の唯一の言葉。

彼がそれを発した思いを、考察しました。

ブラックフライデーの前日、ちっとも名案じゃない大発見をした彼は晴れやかに駆け出した。

机を運び、書類を払い、ベルトコンベヤを見下ろした彼の頭の中には
「2.7m/s→0」
それしかなくて。

その結果、自分自身がどうなるかなんて、二の次。
いやむしろ、1mmたりとも考えていなかった。

一番身近な70kg。
一番コントロールしやすくて、一番早く用意できる70kg。
それがたまたま、自分だっただけ。


だから彼は助走までつけて、階段を2、3段飛び降りるのと似たような感覚で、足から軽快に跳んだ。

きっと彼の想像では、両足でドシッとしっかり着地するくらいの感覚だったのだと思う。
躁鬱でハイになってる人ってそういう思考しがち。


でも実際は、そんなわけなかった。
色々と。

もちろん両足で着地なんてできず、グシャッと崩れた体はまともに顔面を打ちつけて。

まともに眠れない・食べられない状態のやまさきの体重では、飛び降りた、その衝撃を持ってしても、コンベヤを破壊するに至らなかった。


これは確実な知識ではないので間違っているかもですが、

そもそもベルトコンベヤの重量制限って、そこに達したらすぐに損壊するわけじゃなくて。
安全性をとった、ある程度の余裕を持たせた数値のはずで。

電気のブレーカーと同様で、
一定の数値を超えるとバチンと瞬間的には停止するけれど、きっとスイッチをオンオフすれば元通り。

メンテナンスは必要かもしれないけれど、急ぐほどのエラーじゃない。
そんな程度。

案の定、ベルトコンベヤは数秒のうちに動き出した。

いつもと変わらない速度で運ばれる荷物と、動かない自分自身の身体。
絶望するには十分だったはず。

後に、病室で目を覚ました瞬間、一度は考えたんだと思います。

“あれは夢だったんじゃないか”

けれど、次の瞬間には、痛みと息苦しさを自覚して、身体がろくに動かないことを痛感した。

でも、きっとコンベヤは今日も回っている。
いつもと同じ、2.7m/sで。


あぁ…なんて…
”馬鹿なことをした“んだろう、自分は……

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