![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152399825/rectangle_large_type_2_1ab364756095da6817713e60ca9fa425.png?width=1200)
ラストマイル考察②(※ネタバレあり)
「馬鹿なことをした」
病室で目を覚ましたやまさきの呟いた台詞。
ろくろーが聞いていて、自分で飛び降りたことを示唆することに繋がった。
短い出演時間の中の、彼の唯一の言葉。
彼がそれを発した思いを、考察しました。
ブラックフライデーの前日、ちっとも名案じゃない大発見をした彼は晴れやかに駆け出した。
机を運び、書類を払い、ベルトコンベヤを見下ろした彼の頭の中には
「2.7m/s→0」
それしかなくて。
その結果、自分自身がどうなるかなんて、二の次。
いやむしろ、1mmたりとも考えていなかった。
一番身近な70kg。
一番コントロールしやすくて、一番早く用意できる70kg。
それがたまたま、自分だっただけ。
だから彼は助走までつけて、階段を2、3段飛び降りるのと似たような感覚で、足から軽快に跳んだ。
きっと彼の想像では、両足でドシッとしっかり着地するくらいの感覚だったのだと思う。
躁鬱でハイになってる人ってそういう思考しがち。
でも実際は、そんなわけなかった。
色々と。
もちろん両足で着地なんてできず、グシャッと崩れた体はまともに顔面を打ちつけて。
まともに眠れない・食べられない状態のやまさきの体重では、飛び降りた、その衝撃を持ってしても、コンベヤを破壊するに至らなかった。
これは確実な知識ではないので間違っているかもですが、
そもそもベルトコンベヤの重量制限って、そこに達したらすぐに損壊するわけじゃなくて。
安全性をとった、ある程度の余裕を持たせた数値のはずで。
電気のブレーカーと同様で、
一定の数値を超えるとバチンと瞬間的には停止するけれど、きっとスイッチをオンオフすれば元通り。
メンテナンスは必要かもしれないけれど、急ぐほどのエラーじゃない。
そんな程度。
案の定、ベルトコンベヤは数秒のうちに動き出した。
いつもと変わらない速度で運ばれる荷物と、動かない自分自身の身体。
絶望するには十分だったはず。
後に、病室で目を覚ました瞬間、一度は考えたんだと思います。
“あれは夢だったんじゃないか”
けれど、次の瞬間には、痛みと息苦しさを自覚して、身体がろくに動かないことを痛感した。
でも、きっとコンベヤは今日も回っている。
いつもと同じ、2.7m/sで。
あぁ…なんて…
”馬鹿なことをした“んだろう、自分は……