片手間で教える文章講座9 読書感想文のコツ
先日、あるいきさつから小学生6年生のA君の読書感想文の書きかたを教える機会があった。
読書感想文はおそらく、長年にわたり全国の小中学生を苦しめ続けている課題の筆頭格だ。今回の記事では、私が教えた簡単な書き方の技術をお伝えしてみよう。
なお、課題図書はまったく読んでいない
A君が選んだ本は、あさのあつこ著『バッテリー』(角川つばさ文庫)だった。第1作の刊行は1996年。現在39歳(1994年小学校卒業)の私は、恥ずかしながらこれまで書名すら知らなかったのだが、シリーズ累計で1000万部を突破した平成時代を代表する児童文学作品らしい。
書きかたを教えるには実演がいちばんだ。私はA君からざっくりとあらすじを聞き、さらにあらかじめ読書中に付箋を貼るよう指示しておいた、彼が印象的だと感じた箇所を適当に拾い読みしてから、以下のような読書感想文のサンプルを15分くらいで書いた。原稿用紙2枚、文字数は800文字弱である。
……なお、繰り返すが私は『バッテリー』をまったく読んでいない。
作品のファンの方からはツッコミどころもあると思う。ご容赦をいただきたい。これはあくまでも、読書感想文の構成を説明するためのラフスケッチ的なサンプルなのだ。
文体が難しいと感じた人もいるかもしれない。しかし、首都圏の中学受験の国語の過去問題を見ると、大人向けの書籍の文章が平気で問題文に登場している(たとえば世田谷学園中学の入試問題[令和2年度]には、なんと拙著の『移民 棄民 遺民』のなかの、ベネディクト・アンダーソンに言及した小難しすぎる箇所が使われた)。
中学受験の現状への賛否はさておき、実際問題として、いまどきの都心の小6受験生にはこのくらいの文章を読み書きする能力が必要とされている。世間にはツイッターの140文字の投稿すらろくに読解できない大人が大量にのさばっているのに、小学生に高度な国語運用能力が求められているのは気の毒な話だが、それも時代が悪いのだ。
汎用安田式読書感想文
さておき、私が書いたサンプル「汎用安田式読書感想文」の詳しい解説に移ろう。下の図において構成を示す。
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