多様な視点からデザインに触れる「Spectrum Tokyo Festival 2024」参加レポート
こんにちは、RAKSULのデザイナー森本芽衣です。
2024年12月7日(土)〜8日(日)に開催された「Spectrum Tokyo Festival 2024」に参加してきました!
今回は、会場の魅力や特に印象に残ったブース・セッションについてご紹介します。
音楽フェスのような開放感あふれる会場
会場は自由に移動しやすいレイアウトが特徴的で、ステージやブースを巡りながらイベントを楽しめる設計になっていました。また、リラックスした雰囲気の交流スペースが用意されており、参加者同士が自然に交流を深められる環境が整っていました。
特に飲食エリアでは、本格カレーのブースが人気で、スパイスの香りが漂う中、多くの人が食事を楽しんでいました。併設されたBARではカクテルやノンアルコールドリンクが提供され、飲み物片手に気軽に会話を楽しむ姿が印象的でした。
交流スペースにはコーヒーが用意されており、他の参加者や登壇者と直接話ができるカジュアルな雰囲気と、自由で開放的な空間設計が、イベント全体をさらに魅力的なものにしていました。
また、場の雰囲気を和ませる役割を担っていたのが、GROOVE X株式会社さんの可愛らしいロボット「LOVOT」でした。LOVOTは人々の間を自由に歩き回り、初対面の参加者同士が会話を始めるきっかけを作っていました。そのおかげで、会場全体が一層親しみやすい雰囲気に包まれていたのが印象的でした。
参加者を巻き込むインタラクティブなブース展示
どのブースも参加者で賑わっており、デザインとテクノロジーに対する関心の高さを肌で感じることができました。インタラクティブな展示を採用しているブースが多いのも、デザイナー同士のコミュニケーションを大事にしているこのイベントならではの特徴です。
(どれも魅力的だったのですが)中でも印象的だったのが、GMOインターネットグループさんの「シナジーボックス」。
「シナジーボックス」とは、同社のメインカラーである青を基調にしながら、グループ各社が展開する200色以上のサービスカラーを組み合わせてデザインされたビジュアルで、グループの多様性とデザイナーの存在を象徴しているそうです。
来場者がシナジーボックス型のカードに「今年頑張ったデザイン」を記入し、参加者全員で1つの大きなシナジーボックスを完成させるという体験ができました。
会場で多くの人が次々とカードを貼り付け、カラフルな作品がどんどん形作られていく様子は、まさに「共創」の楽しさを体感できるものでした。
この取り組みの背景には、同社が抱える「IT業界の大手企業として認知されている一方で、その中に多くのデザイナーがいて活躍していることが十分に伝わっていない」という課題があるそうです。
こうした課題に対し、多様性を体現しながら、デザイナーの存在を視覚的に訴える表現が素敵でした。
私自身、採用イベントにて「RAKSULのデザイナーはどんなことをしているのか?」ということを伝える難しさを感じることがありました。今回のブース体験は、その難しさを乗り越えるためのヒントがたくさん詰まっていて、参考になりました。
特に印象に残ったトークセッション
多様なユーザーを考慮したデザイン:誰でも使える製品の実現に向けて
株式会社SmartHR | アクセシビリティスペシャリスト 坂巻 舞羽さん
2日間で30名ほどのセッションが行われ、どれも新たな学びを得られる充実した内容でした。その中でも、特に印象に残った株式会社 SmartHRさんのセッションについてご紹介します。
テーマは「多様なユーザーの『使える』を実現するデザイン」。やさしい日本語の活用や、多様なニーズに対応するための課題解決のポイントが具体的に示されていました。
単にソフトウェアの使いやすさを追求するだけでは対応しきれない、障害者、外国人、高齢者といった「多様なユーザー層」に向けて、「やさしい日本語」を活用した取り組みがユニークでした。
「やさしい日本語」を扱うためのポイント
より多くの人に伝わる表現にするためには、以下のようなポイントをおさえるとわかりやすく伝えられるそうです。
一文を短くする
主語を明確にする
文章を少なくする
わかりやすい語彙を使用する
読みがなを表示する
このアプローチは、日本語を母国語としないユーザーだけでなく、複雑なプロセスが絡むプロダクトの課題解消や、日本語に慣れているユーザーにも役立つと思いました。
また、「たとえ他言語に翻訳したとしても、言葉の概念自体が伝わる状態になっていなければ、作業を完了することはできない」という指摘を聞き、誰でも「使える」状態にすることの難しさを改めて感じました。
また、多様なニーズに対応するために必要な要素として、以下のポイントも挙げられていました。
1.課題を深く知ること
ユーザーが直面する具体的な問題や背景を把握する重要性。
2.ユーザーの属性を理由にしないこと
「外国人だから」「障害があるから」という単純なラベリングで終わらせず、個別の状況に寄り添う姿勢を持つこと。
3.課題を構成する要素に注目すること
言語、文化、読解力、集中力など、ユーザーが直面する課題を細かく分析し、それに応じた解決策を設計する必要性。
こうしたアプローチにより、より幅広いユーザーが「使える」と感じられる製品を目指すことができるそうです。その実践例として提示された「やさしい日本語」の具体的な工夫は、日々のデザイン業務にも取り入れていきたいと思いました。
特に、ラクスルのプロダクトは商品仕様や入稿、決済などプロセスが複雑になることがあるので、より伝わる表現を模索しながらデザインしていきたいです。
終わりに
今回の「Spectrum Tokyo Festival 2024」への参加を通じて、多くの学びと気づきを得ることができました。
セッション内容だけでなく、ブースの中でどのように来場者とのコミュニケーションを設計し、メッセージを効果的に伝えるかといった出展側の視点でも新たな発見がありました。
また、他の参加者や登壇者との交流を通じて、多様な視点や考え方に触れることができたのも普段の業務ではなかなか得られない貴重な体験でした。
このイベントで得た知見や気づきを、日々の業務に活かしていけるよう、頑張ります🔥
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