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noma:最高のチームが最高の空間を創り出す
私はここ2年ほど、人が作り出す場や空間というものにすごく興味があり、どんな人が、どんなチームがどんな場を生み出すことができるのだろうと日々研究?をしているのだけれど、ふと数年前に訪れたこの場所のことを思い出した。
それは、デンマークにあるnomaというレストラン。
今読み返してもとても素晴らしいチームと空間で、かけがえのない経験だったので、昔のブログを引っ張り出して、以下に転載してみます。文中情報が古い部分もありますが、そのまま残してみますね。
このブログを読んで、新しく生まれ変わったnomaに、今度こそ大金叩いてでも行かねばと思うのでした。
世界一のレストラン・nomaと私
noma。
最近映画化もされたので知名度が上がっている事と思いますが、イギリスの権威あるグルメ誌が毎年発表する「世界のベストレストラン50」で世界一に4度も輝いたという、新北欧料理という新ジャンルを築き上げたもはや伝説的なレストラン。
*注:この当時のnomaレストランの場所は閉店、今は別の場所にて新しい形式のレストランとして再び営業中。
先日、その場所に訪れた時に感じたことを、まとめておこうと思います。
まず最初にお断りしておきますが、これはグルメレポートではありません。
だって、私食べてないから!(笑)
なにせNomaはさすが世界一のレストラン、コース(昼夜同じ)で1900DKK(約2万9千円、さらにお酒つけたら4万5千円!)。ただしその内容は20皿にも及ぶ独創的な新北欧料理ということで、た、高すぎる!!とは思いませんが、まあでも手が出るお値段ではなかったです。
なぜnomaを訪れたのか?
それは先日、友人の料理家さんがデンマークを訪れ、その際に、「デンマークに来たからにはやっぱり世界一のレストランは、是非この目と舌で味わっておきたい」と予約にトライしたことにはじまります。
まず、予約なのですが1ヶ月分、3ヶ月前にオープンする予約は、一瞬で売り切れ。完売!私が予約の依頼を受けたのが残念ながら2ヶ月前だったために、とりあえずウェイティングリストに申し込むしかありませんでした。正直この時の印象は、「さすがやっぱり世界一予約の取れないレストランだなぁ、残念!」程度。
勿論その後2か月待てど暮らせど、キャンセルの連絡などはありません。
結局彼女がデンマークに来たその時にも、残念ながら予約ができたという連絡はなく、代わりにNomaで働いていたシェフがひらいたという別のレストラン(RADIO)にて新北欧料理体験をしよう!という算段でした。
(ちなみにこちらもものすごく素敵なレストランでした!)
でも彼女から、「予約とれてなくてもいいから、そのレストランを見てみたい」と言うリクエストがあり、だめもとでとりあえず雰囲気だけ味わいにそのレストランを訪問してみることに。
陽気なレストランnomaと本当にフレンドリーなスタッフ
到着したのは11:30。レストランのオープンは12時。倉庫を改造したというオシャレなレストランの中には、たくさんのスタッフが開店前の忙しさで動き回っています。中からは爆音(ライブハウスほどではないけどレストランにしては爆音)のミュージック。おお、噂で聞いていた通り。
少しすると入口近くでミーティングが始まり、総勢30名は超えると思われるスタッフが集結。なにやら今日一日の確認などしています。実はこの時、もしかしたら直前キャンセルで席が空くかも、、!なんて淡い期待を胸に電話をかけてみたり、スタッフが出てくるのを待っていたのですが電話はでんわ(ギャグじゃない)、スタッフもでてこんわが続いていました。
するとオープン15分前くらいに、あるスタッフが玄関の窓をおそうじするために出てきたので、すかさず近づいてまずキャンセルは出ていないかなど聞いてみました。
「来てくれて嬉しいけど、残念ながら今日のテーブルは満席だし、キャンセル待ちのウェイティングリストにもものすごい数の予約が入っているんだ。予約を扱う専門のスタッフもいて、万が一キャンセルが出たらそのリストからかたっぱしから連絡しているから、今君にできることはそのウェイティングに申し込むことだけかな、ごめんね。」
突然おしかけて、かつオープン前のバタバタの時間の仕事中に話しかけているにもかかわらず、ものすごくフレンドリーでものすごく丁寧に話しかけてくれる。迷惑なそぶりなんて微塵も見せない、それは日本的なお客様は神様的なものではなく、大学の友人とでも話しているかのようなフランクな居心地の良さ。
しかしてせっかく日本から来ているし、どうにか・・・と食い下がる私。
「実は彼女たちは日本からきていて、どうしても世界一のレストランを肌で感じてみたいと言っているの。もしよかったら、オープンしたらその雰囲気だけでも、一歩中へ入って見せてもらうことはできますか?」
すると、
「ああ!それなら全然オッケーだよ。今もう準備はできているし、お客さんもいないから、中へ入って写真とか撮ってくれていいよ!」
と、すんなりオッケー!
一応中の人に確認してくるから2分待ってて、とは言われたものの、彼、いわばただのウェイターさんで、シェフでもなければ経営でもないおそらく若手の人。なのに即答。つまり、それが許されるあたたかい環境だということ。
いざ、店内へ
ワクワクしながら友人と中へ入ってみる。するとまず驚くのは、たくさんいるスタッフやらシェフやら、オープン前に突然入ってきた私たちに対して、みんなびっくりするほど笑顔で「ハーイ!いらっしゃい!」って言ってくれる。
入ってすぐに見える厨房から流れてくる爆音の音楽は、その時はディズニー・ライオンキングのCan you feel the love tonight。世界一の高級レストランで?爆音のディズニー?思わず私もうっかり歌ってしまった(笑)
そこからウェイターさんが中を案内してくれる。たった12テーブル(くらい)と大きなシェアテーブルのみのこじんまりとしたお店。たたずまいはデンマークらしいシンプルかつ洗練されたインテリアに、シェアテーブルの壁にはちょっとしたアートが一花添えている。
厨房では映画の予告で見たままの光景が広がっていて、これもまたちょっとした感動。
しかし、このオープンさとフレンドリーさ。
一緒にいた料理家の友人は、少なくとも今までいろんなレストランに行ったけど、こんなに従業員たちが楽しそうに働いているレストラン見たことない、と絶句。ピリピリしたムードなど微塵もなく、こんな突然の訪問者にも本当にみんなフレンドリー。ひとりひとりから、この場にいることへの安心感や満足感のようなものがうかがえて、こちらまでその”場”にいる幸福感が伝わってきた。
準備中の厨房の前で、記念写真まで撮らせてもらって、何も食べていないのに、心が満腹になってお店を出た。もしこんな空気の中でお料理を楽しむことができたなら、そりゃ、絶対、この上なく幸せな時間に違いない。私達は二人とも、「・・・こりゃ予約戦争頑張ってどうにか移転までの間に来たいね。。」とため息。
最高の場を作るのは最高の"チーム"だ
こんなブログを見つけたが、nomaというと奇抜な料理であるとか世界一のレストランであるとかというところにフィーチャーが行きがちだけれど、このNomaというレストランは、”チーム”の作り方がものすごく素晴らしいレストランであるということを、このほんの5分にも満たない滞在のあいだでありありと感じることができた。
シェフだろうが、ウェイターだろうが、会計だろうが、一人一人がかけがえのない存在で、みんなが一丸となって立ち向かっていく。みんながそこにいることを心から楽しみ、その場を愛し、チームの為に動く。
メインシェフのレネ氏がすごいのは、ただただ革新的な料理を生み出したことだけではない。こんな空間、”場”を造り上げたこともまた、ものすごくものすごく偉大なことだと思った。
Nomaは年内いっぱいで一度閉店、オーストラリアに一時店舗を開いた後は、移転して自分の農場を持ちながら新しいレストランとして営業が始まる。・・・どうにか一度足を運べないか、今から脳内作戦会議である。
(2016年6月25日のブログより転載)