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今、なぜ『二十四の瞳』なのか

神戸に引越して来てから、習慣となっていることがあります。それは、夜、子供達が寝静まってから、ソファでビール片手に、目の前に広がる海を眺めながら「プッシュー、ふはぁ〜…」。そして、読書すること。

手に取るのは、雑誌だったり、小説だったり、エッセイだったり、日によって様々なのですが、最近、ハマって読んでいたものがあります。

それは、『二十四の瞳』(壺井栄・著/角川文庫)。以前に本屋さんの前を通りがかった時に、この素敵な装丁にココロ惹かれて、夏に読もうと思って買いました。

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この作品は、映画になったことで有名です。昭和初期の頃の小豆島の小学校が舞台になっています。

海のそばの小学校の様子や、田舎の子供たちの日常が生き生きと描かれていて、暑い夏の夜のリラックスタイムにぴったり! なんて、軽い気持ちで読み始めたのですが、それが、どっこい、今の時代を生きるわたしたちにとってとてもずしりと心に響くメッセージがつまった一冊だったのです。

世界大戦が始まるまでの日本の様子。

戦争が起きることで、どのように人々の生活が様変わりし、あらゆることが規制され、自由が奪われ、言葉も思想も奪われてしまうのか。そして、何よりも大切なはずのまだ幼い命さえもが、戦地へ向かうようにしむけられた。

その裏側で、母は、妻は、友人たちは、本当はどんな心持ちでいたのか。

決して歴史の教科書には書かれていない、その時代を生き抜いた人の生の声、生の描写、生の生き様が描かれていました。

歴史を学ぶことで、今、自分がどんな時代に生きているのかがわかる。歴史の裏側にあった様々の真実を寄せ集めることで、その歴史がつくられた背景がわかる。その両方を知ってこそ、見えてくるものがあり、進むべき道がわかるのではないかと思いました。

まだ映画を観たことがないので、いつか観てみようと思います。

空気が澄んだ晴れた日には、部屋から見る海の向こうに小豆島のシルエットがふんわりと見えます。

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まだ行ったことがないので、それも、夏が終わらぬうちに行ってみようと思います。夏の読書フェアの一環として、この一冊を角川文庫が選んだのも偶然ではありますまい。

時代の流れと、時代の波。海のそれとは違って、人が作り上げたもの。それをどう乗り継いでいきたいのか、それとも、流れを変えるのか。自分はどう生きたいのか。

いろんなことを考えさせられた一冊でした。もし、あなたが今、何か読みたいなぁと思っているならば、おすすめします、『二十四の瞳』!



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