見出し画像

2024年9月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方は間もなく記事が公開される予定なのでそちらをぜひ。(公開されたら追記します)

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら


恋とか夢とかてんてんてん(2巻)

29歳フリーター・カイちゃんの生まれて初めての片思い。うだつの上がらない自分の人生を一発逆転させる“何か”として片思い相手に縋ってしまう姿は、本当に痛々しくて見ていられないほど愚か。でも、どうしてだか私は彼女を笑えない。自分の全てを捧げてでも貫きたい、諦めたくない、いや、しがみつきたいこの恋……。恋物語というより、もはや闘いの記録だなと思うのです。

そうです、私が美容バカです。〈2ndシリーズ〉

以前、コラムでも紹介した漫画家・まんきつ先生による体当たり美容コミックエッセイ『そうです、私が美容バカです。』、シーズン2の開幕です! 美容ネタはさておき、おヤナさんの美容偏差値が相変わらずで最高でした。

CHANGE THE WORLD

好きな恋愛漫画は? と聞かれたら必ずあげる『ひとりぼっちで恋をしてみた』。作者は田川とまた先生という方なのですが、今月9月に「マンガワン」で新連載をスタートされまして……その名も『CHANGE THE WORLD』。高校演劇の話なんですが、主人公が役者というより脚本家視点って所が斬新で興味深かったし、新しい世界に足を踏み入れた感。 1話も素晴らしいけど私は特に2話が刺さりました。村岡さんの“只者じゃない”が伝わってきてずっと彼女から目が離せん……。

今日は何する?(1巻)

『月下の君』『ぴんとこな』『ぼくの輪廻』などでお馴染み、嶋木あこ先生の最新作。超ブラコンの兄が弟に尽くしすぎて時に空回ったり超奇想天外な方へと転がってゆく兄弟ギャグものなんですが、え? まだ何かあるの?! って感じの超展開続きでなんだか手品見ているみたいでした。しかしながら、嶋木あこ先生の描く男性キャラって本当に素敵。ビジュアルっていうか、骨格? 等身からしてもう素敵なんですよね……。

ブラパト! ブランドパトロール 本日も異常なし!

どんなにお金があっても買えない……そんな世にも奇妙で謎多きエ◯パト界隈に切り込むお買い物コメディ。「初対面で清水」とかワードセンスや例えが最高過ぎる。あと“物欲”って本当に大事、生きる活力だよなぁとしみじみ。余談ですが私の母に貸したら「めっちゃ面白かった!」と絶賛していました。

黄泉のツガイ(8巻)

日本のある村で“夜と昼を別つ双子”として生まれた兄妹を巡る、異能力バトルファンタジー。いや、巻を追うごとにおもしれ~~〜! 過ぎる。設定もキャラも「そういうことだったの?!」とじわじわ効いてくるものがあるし。あと、異能力バトルものなので人が簡単に命を落とすこともあるけど、命の重さや子どもがその渦中にいることを決して忘れない描写が良い.…..。

165185(1巻)

165cm×185cmの身長差BLカップルのお話なんですが、もう心がぎゅんぎゅんしました。まず、185cmの聖が実はおっとりさんというギャップに悶えたのと。そして何より、2人が互いの「違う」を少しずつ知ってもっと好きになる.…..恋愛の真に素晴らしい所が凝縮された作品だなと。あぁこの世界のモブになりたい。

ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ(4巻)

『チ。』の魚豊先生が描く恋と陰謀論、最終4巻です。生きている限り幸せだけではなく、その人だけの恥や痛みがある。全部、全部、無かったことにはできない。世界だって変わらない。それはみんな等しくそう。だからこそこの世界は面白いというか、挑戦し甲斐があるんですね。ありがとう、FACT。

現在の自分の感受性が最終決定稿なのではなく、人との出会いによってどんどん更新されていくもの

『チ。』魚豊氏 最新作『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』で「陰謀論」を描いた理由。

あと、今年2月の取材時に魚豊先生が仰っていたこの言葉が、最終巻を読んだ今一層刺さりました。

にゃーの恩返し〜2人と1匹のウチごはん〜(2巻)

『サイレーン』『シマシマ』『はるか17』など幅広いジャンルでヒット作を生み出されてきた山崎紗也夏先生による、自身初の献立マンガ。最新2巻では、ちょっぴりドキッとする食と絡めた恋愛考察も……?

文春オンラインさんでレビューを書かせていただいたので、詳しくはこちらをぜひ。

死ぬまでバズってろ!!(1巻)

暴露系配信者の裏側を描く作品。めっちゃ“今”というか、この時代だから生まれる作品だなと感じて、すごくワクワクしながら本作を手に取りました。なんだけど、この作品を読み終わった後にものすごくゾッとしました、自分に。皆はどうだろうか……。

文春オンラインさんでレビューを書かせていただいたので、詳しくはこちらをぜひ。

激光仮面(1〜5巻)

特撮に没頭するあまり実用性の高いヒーロースーツ「劇光服」を製作した特撮美術研究会(特美研)出身の青年たちの物語。今月初めて読んだというより、久々に1巻から既刊まで再読。やっぱり一縷にすごく惹かれるなぁ……。特美研のメンバーはそれぞれ確固たるヒーロー論というか像を持っているんだけど、一縷はそれを社会活動と結びつけていち社会人として働き、それと同時に社会の悪と戦い続けている。彼女が定義する現代社会の“悪”もとても腑に落ちるし、その高潔さとクレバーさが好き。

『激光仮面』もそうなんだけど、山口貴由先生の作品を読んでいる時って、自分の呼吸や周りの時間が止まっているような……それくらい夢中になってしまうというのか、ページに吸い寄せられるような感覚があります。

シグルイ(全15巻)

山口貴由先生といえば『シグルイ』は欠かせませんよね。というわけで、こちらも久々に再読。何度読んでも1話の見開きはすごい衝撃ですよね。しかもこの見開きが一番優しいというね……。人の善性や努力は、必ずしも報われるわけではない。すごく残酷だけど、今の社会を生きているとめっちゃ真理だなぁと思わされる。でも、そんな残酷な世界だとしても、努力しない無力は罪なんだと。読後に背筋が伸びる作品でもあります。

ぼくの地球を守って(全12巻)

はい、『シグルイ』に続き不朽の名作を読み直したよシリーズです。ぼくタマ!! 異星人としての前世の記憶を持ったまま、現代日本に転生した7人の男女を巡るSFもの。いつ読んでも1巻からは想像もつかないくらい、ものすごく壮大な物語になっていくというか、本当に遠い、遠いところまで読者を連れて行ってくれる作品です。

クイックオバケの動かない漫画

夜には魔物がいる……じゃないけども。夜だから感じる不安、触れることのできる感情がある。そんな心揺れる夜をそっと照らす一冊です。 あと、コマの中でキャラが動く“GIF漫画”というジャンルを開拓されたクイックオバケ先生だからこそ成立するタイトルだなぁと思うなど。

午後の光線

とあるトラウマによってグロテスクなものに性的興奮を覚えてしまう村瀬。家庭環境に苦悩し自傷を繰り返す淀井。形は違えど深い傷を持つ少年2人が、痛みを共有し関係を深めていく。人の“辛い”を描くのって、楽しいより難しいんじゃないかと個人的に感じているのですが、『午後の光線』はその影の部分を描くのが丁寧かつ緻密で引き込まれた。終わりも良い意味であっけなくて良かったなぁ。

死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから (※ただし好感度はゼロ)(1〜5巻)

魔法学校を舞台にしたタイムリープ系ラブストーリー。ラーゲン魔法学校に通うオリアナにはヴィンセントという最愛の恋人がいて、それはもう眩しくって温かな日々を送っていたのですが、とある夜原因不明の死が2人切り裂く。目が覚めるとオリアナは7歳の姿に戻っていて…….という感じで、分かりやすく例えると、めっちゃファンタジーでピュアできゅんきゅんする東リベです。(いや、でも東リベのタケミチとヒナは元々恋人ではないからちょっと違うけども)絵がとても綺麗なので、魔法学校という舞台や世界観にもスッと入っていけます。そして何より、ヴィンセントともう一度恋愛をする過程よ! なんでヴィンセントは前世の記憶ないんだよ〜〜! と焦ったくなるのですが、やっぱり彼は王子様なんですよね……。もうキュンの濃度とバランスが素晴らしく良い作品です。

小銭でいいから拾いたい~ひきこもり副業入門~

カレー沢薫先生のすごくギリギリを攻めている鋭さと、タフな語彙が大好きなんですけど。そんなカレー沢が“副業”に切り込む……だと…..? という感じで迷わず購入。(ちなみに新作とかではなく、2023年6月に発売された作品です。私がずっと見落としていただけ)作中で紹介されている副業に実際にトライするかどうかは別として、副業の代表格的な仕事の構造や本音が知れて面白いです。

木更津くんの××が見たい(1〜10巻)

性欲から始まる関係を描く大人の恋愛マンガ……だと思っていたのですが、巻を追うごとに社会派?なお仕事×人生ドラマになっていくので、もうめっっちゃハマってしまいました。仕事における対人関係はもちろん、このまま仕事一筋の人生で良いのか? とか。あと、彼のことは好きだけど義実家と思想が合わないとか、とか!!!!「LINEマンガ」のコメント欄でみんなでわいわい言いながら(コメントの内容的にアラサー、アラフォーくらいの読者が多い気がする)読むのが本当に楽しいです。

ハヴィラ戦記(1巻)

びっくりするくらいエグ面白かった……。 奄美群島を舞台に絶滅危惧種の小さな人型生物・ハヴィラの戦いを描く本作。ハヴィラを保護するのは人間なので、人が人を飼育してるというグロさよ。でもそれだけでは終わらない、もう一つどでかい重さがあるのでぜひ読んでほしいです。

2024年9月雑記🍂

ここからは毎月恒例、今月のお仕事報告です。

▼ 公式トリビュートブック『チ。 -地球の運動について-』第Q集|魚豊先生 × ノヴァク役 津田健次郎氏 対談

2024年10月から放送開始予定のアニメ化で話題沸騰の『チ。 -地球の運動について-』公式トリビュートブック。魚豊先生とノヴァク役を務める声優・津田健次郎さんの対談記事を担当させていただきました。

▼ 「週刊スピリッツ」43号:アニメ『チ。 -地球の運動について-』ラファウ役 坂本真綾さんインタビュー

アニメ『チ。』でラファウ役を務める坂本真綾さんのインタビューを担当させていただきました。 元々『チ。』の大ファンだという坂本さんが語る、本作の魅力、そしてラファウ役への想いなど、たっぷりと語っていただきました。

▼ 「週刊スピリッツ」44号:アニメ『結婚するって、本当ですか』熊谷健太郎さん×早見沙織さん スペシャル対談

アニメ『結婚するって、本当ですか』でタクヤ役を務める熊谷健太郎さんと、リカ役の早見沙織さんのスペシャル対談を担当させていただきました。アフレコの裏側や作品の魅力、そして最終的にはまさかの話題の大盛り上がり…..!? ウェディング風の衣装に身を包んだ素敵なグラビアカットと共にお楽しみください。

▼ ダ・ヴィンチWeb:『どくだみの花咲くころ』城戸志保先生インタビュー

「アフタヌーン」で大反響連載中『どくだみの花咲くころ』の作者・城戸志保先生のインタビューを担当させていただきました。、小学5年生の不穏な友情物語…….。着想のきっかけや創作の源泉である映画のお話など、制作の裏側に迫ります。

三井不動産「Bridgine」:眠れないほどマンガに夢中になるホテル「MANGA ART HOTEL, BAKUROCHO」インタビュー

「MANGA ART HOTEL, BAKUROCHO」さんの取材&レポ記事を担当しました。一晩中マンガの世界に浸る、そんな“漫泊(まんぱく)”という極上の体験ができるホテルの3店舗目を日本橋・馬喰町に構えた理由と今後の展望とは……? 幼い頃からマンガが好きで、現在では「MANGA ART HOTEL」の運営全般に携わる広報の秋葉さんにお話を伺いました。

その他執筆記事一覧はこちら

今月は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」へ行ってきました。もちろんエレファントカシマシを観に。エンヤコラ。

今年のエレカシのステージ、激やばかったですね。

相変わらず力強いし、魂燃やしているみたいな演奏なんだけど、今回はとにかくずっと危なっかしい。あと一歩ミスったら全部崩れるみたいなギリギリを攻めていて、なんだけどもそのギリギリをメンバー全員で手繰り寄せるという……とてつもない緊張感と、それゆえに生み出されるエレファントカシマシの強靭なバンドサウンドが素晴らしかった。はるばるひたちなかまで来てよかった。ありがとう、エレカシ。

ちなみにこのnoteを書いている今、2024年9月30日 1:36。(公開は少し時間を空けてます)この『「読んだ!」マンガまとめ』は毎月更新しているので、この雑記ゾーンまでくると今月もここまで辿り着いたなぁなんて私だけの小さな達成感に満たされます。

そういえば、この『「読んだ!」マンガまとめ』って2021年9月から始めたので今日で3年目🎉

3年前も、今日も、明日も、その明後日も、階段飛ばしなんかせずに頑張ります。チートな人生なんてない、絶対に。(チート系作品は大好きだけどね)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?