2024年6月「読んだ!」マンガまとめ
こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。
新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。
ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はそちらもぜひ。
読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。
▼ 過去の記録はこちら
アポカリプスの砦(全10巻)
こちらのお仕事があったので、蔵石先生の大名作を読み返すの巻その1。更生施設を舞台に、そこに収監された不良少年達とアンデッドと呼ばれるゾンビとの闘いを描いたバイオレンスホラー。
2011年〜2014年の間に「月刊少年ライバル」(現在は休刊)で連載されていた作品。超個人的な話ですが、ちょうど大学生1〜4年の間に読んでいた作品なので、当時の思い出が色々と蘇りました。
んで、やっぱり令和のいま読んでも超面白い! バイオレンスというか、パニックホラーものって今では一大ジャンルになっていて、色んな作品があるけれど『アポカリプスの砦』は男同士の友情アリ、感染者との攻防戦や設定周りもすごく丁寧に描かれていて。本当に全方向抜かりなく超面白い(二度目)。ちなみに私はノイマンが大好きです。
食糧人類(全7巻)
こちらのお仕事があったので、蔵石先生の大名作を読み返すの巻その2。人類が“ある生き物”たちの食糧となっている世界を舞台にした、食物連鎖系パニックサスペンス・ホラー。
2016年〜2018年の間に「eヤングマガジン」(現在はサービス終了)で連載されていた作品。また超個人的な話なんですが、ちょうど社会人3〜5年目? の間に読んでいた作品で。当時は電子書籍やマンガアプリを使うようになった頃だったので、通勤時間に読んでワクワク&ぞわぞわさせてもらい、「さて、(最新話出るまで)労働頑張るか」と。生きる希望になっていた作品のうちの一つでした。
で、『アポカリプスの砦』でも書きましたが、本作も設定周りが超緻密ですごく丁寧に描かれているんですよね。パニック系のホラーって、なんかようわからんけど突然不思議な生き物が侵略してきて〜みたいな。“起源”がおざなりな作品も一定数あると思うのですが、食糧人類はそこが本当〜〜〜に濃ゆい。あと、食物連鎖系パニックサスペンス・ホラーというだけあって、現代の食事情の皮肉も効いていて面白いです。ちなみに私はナツネくんが好きでした。
神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~(1巻)
ナンバーナインのころくさんと久々にランチご一緒させていただいた際、ご恵贈いただきました。単行本の帯に「1億views突破! 0.5秒に1回読まれている国産タテスクコミック最高傑作」というキャッチコピーがついているのですが、それくらい読まれている&注目を集めている話題作です。
物語の舞台は、異界からの驚異に対抗する「プレイヤー」という職業(異能)が存在する世界。ある日、イジメられっ子の主人公が血液を自在に操るスキルを手に入れ、世界を救う存在として頭角をあらわしていく現代バトルファンタジー。
まず、個人的な感想としては「「めっちゃ読みやすい」」。Webtoonってフルカラーかつタテスクっていう大胆な演出が可能だからこそ、全体的に華美すぎる時があって。特にバトルものだと技のシーンはもちろん、何気ないシーンでも華美すぎて、読んでいると疲れる(意識がどっかいく)時がたまにあるんです。でも、『神血の救世主』はそのバランスがすごく上手なんだろうなと。あと、スキルを手にするまでの演出に「扉」が使われているのですが、その演出がかっこよかった。
星野くん、したがって!(1巻)
お笑いコンビ「パーパー」のコントを、『君は放課後インソムニア』などで知られるオジロマコト先生の手によって漫画化した本作。
「パーパー」といえば、あいなぷぅさん演じるワガママな彼女に、ほしのディスコさんがひたすら振り回されるという理不尽なカップルコントでお馴染み。そのカップル設定を、野球部の雑用係である星野くんと、掴みどころのないクラスメイト・山田さんに置き換え“絶対服従ラブコメ“に仕上げたのが『星野くん、したがって!』。
毎話、「パーパー」お馴染みの理不尽コントが展開されるなか、1話、2話、3話.…..と、漫画であるからこそ2人の距離が近付いていくし、心の内がゆっくりと明かされていく。コントをストーリーとして紡いでいくからこそ、笑いだけではなく、“絶対服従ラブコメ“の“ラブ”の部分が若干のアオハル風味とともに堪能できる。そんなユニークかつエモーショナルな一冊になっています。
あと、巻末には取材・文を担当させていただいた、ほしのディスコさん×オジロマコト先生 スペシャル対談が掲載されています。 大ボリュームな一冊をぜひに。
佐々田は友達(2巻)
新キャラ・小野田くんが最高にイカしてて、でもすごく切ない。なんだか“夏休み”みたいな奴だ。
詳しくは「文春オンライン」さんでレビューを書かせていただいたので、こちらをぜひに。
50 YEARS LATER(読み切り)
『BLUE GIANT』石塚真一先生&NUMBER8先生による完全新作SF読切!!!! とりあえず2074年もビッグコミックオリジナルはあるみたいで良かった(そこかよ)。……未来は誰にも分からないから美しいものだと思っていたけど、分かるからこその輝きがあるんだなと。
やまとは恋のまほろば(7巻)
相手に悪意を悟られることなく、恋人たちの仲を引き裂こうとする……。幸せいっぱいの主人公のもとにライバルが登場するのは、恋愛マンガの定石ともいえる展開ですが、『やまとは恋のまほろば』7巻に登場するのは人の心にじわじわと暗い影を落とす。最凶の新キャラでした。でもきっと彼女の事も好きになる日がくるんだろうな。
詳しくは「文春オンライン」さんでレビューを書かせていただいたので、こちらをぜひに。
アマチュアビジランテ(新連載)
「ヤンマガ」の新連載。一瞬、実在の事件のオマージュかぁ.…..なんて思ったけど全然違う。急カーブをかましてくるような展開で沸きました。まだ1話なので余裕で追いつけますよ!!!
ミワさんなりすます(10巻)
映画オタクのミワが他人になりすまして推しの俳優の家政婦になる話……なんですけど、マジで6巻から!!! 領域展開みが強いです。本当に怪作です。
そして、最新10巻はため息が出るほど美しいというか、巧みな巻だった。 時間軸でいえばこの世界では10分位の話なんが。各々の目線で、各々の感情に寄り添って、時間をかけて描くので、ミワの葛藤や息遣いが聞こえてくるようだった。映画好きにはたまらんと思います。
室外機室 ちょめ短編集
SNSやCOMITIAで大きな話題と注目を集めた、ちょめ氏による商業デビュー単行本。存在しないはずの不思議な同人誌を買ってしまう「継ぎ穂」、死後に空中散歩を楽しむ「21gの冒険」、深夜に突然流れ始めた異国のラジオの物語「混信」など、日常のすぐ隣にある非日常に焦点をあてた、ファンタジー短編4つを収録した一冊。
ファンタジーと言いつつも、主人公が足を踏み入れた世界は、ドラゴンが登場するわけでも、煌びやかなお城がそびえ立つわけでもなく、どこか日常と地続きだからこそ、作中に漂う雰囲気はとても静かで平熱。また、まるで主人公に身を任せているかのような視点で物語が展開するため、一緒にこの世界に迷い混んだ浸透感と、白昼夢を見ているかのような読後感を味わえます。
かしこい男は恋しかしない(2巻)
切れ味が素晴らし過ぎる最新2巻。名門男子校が舞台の学歴厨ラブコメなんだが、もはや学歴関係なく色んな界隈へと殴り込みに行く。凹沢みなみ先生は本当に大天才。並外れた現代社会への怒り、あらゆる人間への愛を持っている唯一無二の方。巨愛(急に真面目)
N(1巻)
「N」と呼ばれる不思議な宗教団体を巡る(禁足地っぽい雰囲気もある)、考察型ミステリホラー。私は電子書籍で購入しまして、久々にホラー系で「!!!!」となるくらい好みだったんですが、多分仕掛け的に紙で買うべきやつでしたわ……。紙で読んでいれば絶対に「ウワッ」となるところだったのに、電子で買ったばかりに「あれ印字ミス? 電波悪い?!」ってあたふたして終わってもうた。これから読まれる方はぜひ紙で!!!!!
働きマン(5巻)
4巻で刊行が休止していた『働きマン』の新刊! 17年ぶりの新刊! 未単行本化だった話をまとめた一冊で、当時の情勢や社会状況をあえてそのまま反映したため加筆修正や変更はなし、だそうです。最後の編集部からの「あとがき」もセットですごく良かった。
『働きマン』連載当時、自分は小〜中学生だったので「大人ってこんな大変なんだなぁ……」とボーッと思う反面、「こんなにも命を燃やせるもの(仕事)に私も出会えるんだろうか」と不安&期待を抱いたことを思い出しました。私は“松方弘子”みたいな人生ではないし、生きている時代も違うのでぶっちゃけ共感することはないけれど。自分の人生をしっかりと歩むというか、誇りとプライドを持ってもがく…….。それによって生じる苦しみ、喜び、それは今も昔も変わらず、各職業人に通ずるものなんじゃないかなと思いました。
100年の経(1巻)
果たしてAIは希望か脅威か.…..そんな議論が散見されるなか、AIを敵視するでも迎合するでもなく、ただ真正面から見つめ、新たな創作の形を実験する物語。それが『100年の経』。
主人公は現代を生きる無名の小説家・菅井櫓。不治の病を患い余命宣告を受けるもコールドスリープ試作機の被験者に選ばれ、肉体を維持したまま長い永い眠りに付くことに。100年後、彼は冬眠から無事目覚めるが世界は一転。そこは、生成AIを使って小説を書くのが主流となった世界。しかも、その生成AIの初期の出力モデルとなったのが“菅井櫓の小説”であることから、当時は無名だった自分が今では国民的作家と評されているのだ。執筆業で生成AIを使わない書き手はいない。そんな100年後の未来に突如放り出された生身の小説家は、この世界で新たな小説の執筆に取り掛かる。
生成AIを使用して小説を書く人が“呪言師(ソーサラー)”と呼ばれていたり、その“中の人”が登場するなど、AIの設定や描写がとにかく緻密。また、AIは人に取ってかわる存在なのではなく、あくまでも人間の脳を拡張するサポート的な存在であると。対立でも崇拝でもない、非常にフラットな見方をしている世界なので、例えば「AIは創造性を持ちうるか 」など生成AI×創作における問いと仮説検証を繰り返していく......非常に骨太な作品です。
一方で、どんな時代になっても人は物語を紡ぐことをやめられない。そんな理屈ではない、過去から未来へと紡がれる“創作の軌跡”を辿る。どこかノスタルジックな気分に浸れるところも魅力的。
永年雇用は可能でしょうか(1〜4巻)
魔法ファンタジー×ほのぼの年の差恋愛もの。超個人的な話をすると、ここ最近は歳の差恋愛ものを読んでも、男性側の振る舞いが「ウッッッ」となり離脱することが多いんですが。『永年雇用は可能でしょうか』は、フィリスさんが本当に素晴らしいんですよ……。本当に好き。恋愛系のマンガでここ最近一番のヒットかも。
気が合う女友だちは三千里たずねなくてもいる
あの「ママぽよ」青沼貴子先生による、人付き合いの極意(?)が詰まったコミックエッセイ。「ママぽよ」でお馴染み・アンちゃん(なんと社会人!)も登場するのですが、会社での人付き合いライフハックが超面白かった。というか、青沼貴子先生って本当にすごいんですよ。私が子供の頃、母が「ママぽよ」を読んでいて、その流れで私も読んでいて…….くらいの感じだったのですが。その後の作品を調べると「ママぽよ」続編はもちろん、その他ジャンルでもめっちゃくちゃ精力的に作品を生み出されていて!!! しかも全部面白いんですよ。あと、青沼貴子先生がものすごく人生を謳歌されている感があって、『気が合う女友だちは三千里たずねなくてもいる』みたいに青沼貴子先生ご自身のマインドというか、考え方に触れられる作品、もっと読みたい〜〜!
2024年6月雑記🧊
ここからは毎月恒例、今月のお仕事報告です。
▼ 「週刊スピリッツ」28号:『星野くん、したがって!』ほしのディスコさん×オジロマコト先生 スペシャル対談
『星野くん、したがって!』ほしのディスコさん×オジロマコト先生 スペシャル対談の取材&執筆を担当させていただきました。 「パーパー」のコントを漫画にする...。“コント×漫画”奇跡の邂逅に迫りました。
▼ 「別冊マーガレット」7月号:『かしこい男は恋しかしない』凹沢みなみ先生×『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶先生 対談
『かしこい男は恋しかしない』凹沢みなみ先生×『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶先生 対談の構成&執筆を担当させていただきました。 対談テーマは“黒髪メガネ男子を描く2人”。正直と谷くんのメガネに隠された秘密は必見! 巨愛❤️
▼ Pen「NEXT」特別企画: 編集者・村松充裕さん × 漫画原作者・蔵石ユウ対談イベントをライブ&スペース配信
編集者・村松充裕さんと『食糧人類-Starving Anonymous-』『アポカリプスの砦』などで知られる漫画原作者・蔵石ユウ先生の対談イベントにてファシリテーターを務めさせていただきました。アーカイブ視聴は無料ですのでぜひに。
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2024年上半期ラストの月、6月。まず、6月といえば敬愛してやまない、あの方のお誕生日がありまして。
はい、宮本浩次「五周年記念 birthday concert GO!」へ行って参りました。昨年は土砂降りの雨だったのですが今年は晴れ。
何故か最近、宮本浩次先生のライブ関連の席運がすこぶる良くて。今回は、アリーナ5列目花道沿いで致死量の宮本浩次と銀テ浴びてきました。マジで作画モンキー・パンチ過ぎた。
『passion』の「俺の生涯に悔いなしって言いたいぜ」ってところで、すごく胸ぐらを掴まれるというか、心のなかの何かが目覚める感覚があって。4〜5月の休養ボケな自分から一気にスイッチがONになりました。以降は、ありがたいことに毎週取材のお仕事が続いたので、とても良いタイミングでスイッチONになったなと。宮本浩次先生、ありがとう!!!!!!!!(エレカシのおかみさん聴けたのも激アツだったな…….)
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上半期ラストのnoteなので、もっと総括というか、振り返りっぽいこと書きたかったのですが。録画したTVドラマ「ブラック・ジャック」(今日から放送開始)観たいのでまたどっかのタイミングで!
下半期も階段飛ばしせずに。前でも後ろでも、横でも良いから、とにかく歩み続けます。よろしくお願いします。