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映画『アンネ・フランクと旅する日記』(2021)の感想

映画『アンネ・フランクと旅する日記』を映画館で観てきた。

監督・脚本はアリ・フォルマン、2021年製作、上映時間99分のアニメーション映画である。ベルギー・フランス・ルクセンブルク・オランダ・イスラエルの合作だ。

原題は『Where Is Anne Frank』で、アンネ・フランクはどこにいる? といったニュアンスだろうか。

アンネ・フランクの日記に登場するキティが、本作の主人公。キティはアンネのイマジナリーフレンド、架空のお友達である。

そのキティが現代に現れ、現代におけるアンネの取り扱われ方、日記を執筆している最中のアンネを知っていく、という流れである。

イマジナリーフレンドが日記から抜け出してくる、といった着想が面白い。キティは、アンネ自身の投影でもある。だから、キティが2020年の現代に現れるのは、この時代にアンネ・フランクという少女がいたら、という仮定の物語でもあるのだろう。

ラストシーンには、希望や理想が描かれている。それは、このアニメを観ている大人、そして子どもたちへのメッセージなのだと思われた。

アンネから日常が奪われ、ナチスから隠れて暮らす日々、強制収容所へ向かう道程など、悲惨なシーンが続くのであるが、アニメーションであることが救いにもなっている。キティのスケートの滑り、屋根から屋根へと飛ぶシーンなどは、躍動感があり、アニメ的な楽しさにあふれていた。

「書く」という行為が何であるかも考えさせられる映画でもあった。

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