#映画感想文338『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)
映画『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)を映画館で観てきた。
監督は押井守、脚本は伊藤和典、出演は冨永みーな、古川登志夫。
1989年製作、99分、日本映画。
わたしのパトレイバーの知識は、「警察がロボットを使っている近未来が舞台のアニメ」ぐらいでしかなかったが、監督は押井守だし、名作だという噂は耳にしていたので、リバイバル上映を観に行ってきた。
1999年のレイバー(ロボット)には、新しいOSとして、HOS(Hyper Operating System)が搭載されている。OSを変更してからレイバーが暴走する事件が多発し、自衛隊のレイバーも暴走するが、コックピットには誰も乗っていなかった。そのOSの開発者である篠原重工のプログラマーである帆場暎一が、東京湾で謎の投身自殺を遂げ、HOSがレイバー暴走の原因ではないかと警察は疑いを持ち始める。(国の組織と民間の大企業の関係の描かれ方は、なるほどなと思った。自衛隊と某K重工、某M重工などの問題を思い出したりした。国のお仕事は、おいしいし、請け負える企業も少ないから、すぐにブラックボックス化してしまうのだろう)
帆場暎一というプログラマーが悪意を持って、レイバーが暴走するウィルスを組み込み、破壊行為を目論んでいたことが徐々に明らかになる。篠原重工の御曹司でもある警察官の篠原遊馬は、帆場暎一の企みを明らかにする役目を負う。(ヒロインの泉野明は、最後にとってつけたかのように大活躍する)
本作を見ながら、怖いなと思ったことは、OSの乗っ取りである。これからの自動車は自動運転がデフォルトになっていく。レベル5の完全無人化による自動運転もそう遠い未来の話ではない。インターネットにも常時接続されているので、車のOSをハッキングして市街地で暴走させることも簡単にできてしまうのではないか。テロ行為自体が変質してもおかしくない。1989年当時は、ウィルス感染によるロボットの暴走はそれほど現実味がなかったと思うが、今はウィルス感染により日常が破壊される場面も増えてきた。パソコンやスマホとは違って、自動車の場合は命が奪われるおそれがある。予言のような作品であり、現在の方が、それをリアリティを持って受け止められるように思う。そういう意味では、今見ることができて良かった。