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誰も無理をしない職場は快適

入社してからでないとわからないことはたくさんある。

今の会社の人たちは、みな子育てや介護に忙しい。言い方を変えれば、基本的には「無理ができない人たち」である。

長時間労働は物理的に困難で、ほぼ定時に帰る。わたしだけ独身で、比較的自由な身であるのだが、「ちょっと無理をしてくれないか」というプレッシャーがない。おそらく、自分たちができないことを他人に強要することはできないのだろう。

そんなわけで、「無理」が前提にない職場は、とても快適で、何なら楽だ。でも、ほかの会社も、そうあるべきなんだろうな、と思う。

自分の身の回りの世話はすべてやってもらっている男性管理職って、すごく恵まれているのに、世話をされている恩恵には無自覚だったりする。そういう人がいない職場って、天国のようでもある。

家庭で家事労働、ケアワークをしていれば、仕事に集中するのが難しい日もある。でも、それでいいのだし、それが普通なのだ。

独身だって、炊事、洗濯、掃除にはそれなりに時間がかかるし、体調不良にも見舞われるし、暇だというわけではない。

『働くことの哲学』という本で、若くて未婚で子どもがおらず、年老いた両親を世話する義務もなく、会社に必要とされるときには長時間労働がいくらでも可能な人間が「ゼロドラッグ」と呼ばれており、大変驚いた。裏を返せば、労働の世界ではそのような存在が期待され、求められているのだろう。

しかしだね、「ゼロドラッグ」の社員になっても、全然幸せじゃないのよ。というか、幸せがどんどん遠ざかるのよ。

浅瀬で遊んでいたつもりが、いつのまにか波にさらわれて、浜辺に戻れなくなっている、なんてことはざらにある。

今のわたしは、終わらない仕事に焦燥など感じない。つうか、基本的に仕事は終わらないものだ。定時内でできる限りのことをやる。残業代は、経営者だって払いたくないだろうから、さっさと帰る。

「自分だけが損している気がする」という気持ちにならずに済んでいることが、一番健康にいいような気がしている。

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佐藤芽衣
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