#映画感想文193『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(2022)
映画『バルド、偽りの記録と一握りの真実(Bardo, falsa cronica de unas cuantas verdades)』を映画館で観てきた。
監督・脚本はアレハンドロ・G・イニャリトゥ、主演はダニエル・ヒメネス・カチョである。
2022年製作、159分のメキシコ映画である。
脳出血で病床に伏している映画監督の夢、イメージの断片で構成されている。ストーリーはあるようで、ないようで、ある。
映画の中盤で、映画の前半部分を批評され、ボロカスに言われてしまったりする。「隠喩にもなっていない。ただの思い付きだ」なんて、痛いところをついてくる。すごくメタ的な構造を持った映画でもある。
生まれてすぐに死んでしまった子どもが、年を取ってからも、頭から離れない。子どもを子宮に戻すシーンなどはぎょっとするが、不思議なおかしみもある。
認知症を患っている母親、亡くなったはずの父親との会話、イニャリトゥ監督自身の家族が出てきてしまったりして、もう支離滅裂である。
あまりに贅沢な映像。これこそが映画という気もする。監督の頭の中にあるシーンを取り出して、それを並べたような作品で、辻褄は合わないし、意味もない。しかし、鮮烈な表象がそこにはある。
(潤沢な資金があるNetflixが映画監督を遊ばせてくれているのかもしれない。ただ、この状況も長くは続かないだろうなとは思っている。)
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