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#映画感想文236『セールスガールの考現学』(2021)

映画『セールス・ガールの考現学(原題:Khudaldagch ohin)』を映画館で観てきた。

監督・脚本はジャンチブドルジ・センゲドルジ、出演はバヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、エンフトール・オィドブジャムツ。

2021年製作、123分、モンゴル映画。

舞台はモンゴルの首都のウランバートル。サロールは骨折をした大学の友達にアルバイトの代理を頼まれる。それがアダルトグッズショップで、彼女は戸惑いながらも、仕事を淡々とこなしていく。途中でショップのオーナーであるカティアに出会い、さまざまなことを経験していく。

サロールは大学で原子工学を学んでいるが、それは両親の希望であり、本人は勉学に対するモチベーションはそれほどない。実は絵を描くことが好きで、常にスケッチをして、帰宅するとキャンバスにアクリルの絵を描いている。彼女は両親の期待に背くことができないと思っている。

アダルトグッズショップでアルバイトすることによって、抑圧されていたサロールに徐々に変化が起き、彼女は行動的になっていく。人生にも大きな変化が起こる。

ただ、それがよかったのかどうか、正直、よくわからなかった。彼女が犬にバイアグラを飲ませ、その犬が行方不明になり、後日その犬を見かけてもスルーしたりと、この主人公の突飛な行動と心の動きがいまいちつかめないのだ。そこはコメディ部分だから笑えばよかったのかもしれないが、犬がかわいそうで、あまり笑えなかった。野良犬と一緒に暮らすようになった飼い犬が抑圧から解放されたとは解釈できない。

(今敏の『パーフェクトブルー』の引用っぽいバスタブのシーンもあったが、それ必要かな、と思ってしまった。サロールは無表情であることが多く、怒りや葛藤を爆発させたりしないから、よくわからないのだ)

今回、はじめてモンゴル映画を観たと思うのだが、モンゴル語をずっと聞くことができ、それがとても新鮮だった。モンゴル語の文法は日本語と同じ構造なのだが、音声は韓国語っぽいところ、ロシア語っぽいところがあり、興味深かった。

(日本人は習得できる確率の高い、アジアの言語をもっと学んだほうがいいよな~、とかも考えてしまった)

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佐藤芽衣
チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!

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