荒川和久,中野信子(2020)『「一人で生きる」が当たり前になる社会』の読書感想文
荒川和久さんと中野信子さんの対談本『「一人で生きる」が当たり前になる社会』ディスカヴァー携書を読んだ。
上野千鶴子さんは『おひとりさまの老後』というベストセラーを生んだが、正直なところ、中年のわたしには、老後の話にはまだリアリティがない。というか、そこまで辿り着けるかどうか、心許ない。まだ老後ではない現役世代で、結婚もあきらめているようで、あきらめていないような、そんな人たちがこの本を手に取るのではないだろうか。わたしは、ほぼ結婚はあきらめているので、穏便に独身で暮らせるかどうかを確かめたかった。
どうやら、結婚はしなくてもいいらしい。
そして、結婚は趣味(消費)に過ぎないグループと経済的に苦しくて結婚するグループに分かれていくだろう、という推測がされている。
興味深かったのは自己肯定感の低さと相関する因子についてであった。
荒川 (中略)男性の場合は、「恋愛に自信がない」とか、「容姿に自信がない」とか「異性に告白された経験がない」とかが出てきます。一方、女性は「仕事の評価は能力主義がいい」とか、「負けず嫌いだ」とか「副業・兼業したい」とか、こういう設問にイエスと答えた人ほど自己肯定感が低いんですね。要するに、自己肯定感の軸が、男は「恋愛軸」で女は「仕事軸」。これ面白くないですか?
中野 すごい! 非常に面白いです。
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』p.120
これは腹落ちというか、わたしはまさに仕事で評価されたい人である。なぜかというと、おのこの気持ちはうつろいやすいので、そんなものに人生を委ねられないね、という感じである。(そう、だから自己肯定感が低い 笑)
男性はそうではないようだ。やはり、オスはメスに選ばれないことには、自己肯定できない、というのは、孔雀を見ればわかる。あんなに美しい羽と鳴き声でアピールしなければならないのだから、大変だ。メスはメスで「こいつの子ども妊娠して、生んでも大丈夫かしら。育てられるかしら。」と考えるわけで、どちらも、なかなか踏み出せないのが実際のところなのだろう。
この本は、「ひとり」に対して、肯定的で独身の中年には染み入る読書であった。
p.248の「意志で変われないなら、さっさと環境を変えろ」というお話にも、ごもっともと思った。
ひとりで楽しく生きられる人が、ふたりになれば、きっといろいろうまくいくのだろうけれど、それが一番難しい。
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