FM1 FileMakerとはなにか
私は現在、成績処理システム・学籍から出席簿まで幅広く校務支援システムの開発を主な仕事としています。
開発に使っているのはFileMakerというデータベースソフトです。
その過程で得た知識や技法を引き継ぎ資料と覚書を兼ねて公開していきます。
第1回めの今回は、FileMakerとはそもそもなんであるのかを記します。
1.データベースとは
FileMakerはデータベースソフトの一種です。MicrosoftのOffice中にACCESSというソフトが入っている人もいると思います。ACCESSもデータベースソフトの一種です。
データベースソフトとは、型を決めて、データを蓄え、必要なときに引き出すものだと簡単に理解してもらって大丈夫です。
日常生活でいうと電話帳や住所録などは立派なデータベースといえます。
データを蓄えて引き出すというだけならEXCELでもできるのではないか、と思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、そのとおりです。
EXCELはとても優秀なソフトなので、簡易なデータベースソフトとしても使うことができます。
EXCELで列ごとに項目を決めて、行ごとに入力してくということは普通に行います。
例えば、郵便番号と住所の一覧などをEXCELで作成することができます。
列ごとの項目をフィールド、各行をレコードと言います。
蓄えたデータを引き出すには、VLOOKUP関数などを使用するといいでしょう。
しかし、EXCELでやり続けるには限界があります。
データとデータとのつなぎ方が複雑になったり、データ量が多くなったり、項目が増えると、EXCELで対処するのが厳しくなるからです。
そこで餅は餅屋にと専用のソフトを使いましょうというのがデータベースソフトです。
2.ACCESSでなくFileMakerなのか
データベースソフトにはACCESSやFileMaker、Oracle、SQLServerなどたくさんのものがあります。
その中でもACCESSはインストールされていることも多いので使っているひとも多いことでしょう。
実は、私もはじめはACCESSにトライしてみました。しかし、不勉強なためになかなかうまく使えませんでした。そこで、学校内にあるシステム関係の部署に相談に行くとFileMakerを勧められたのです。
何年も前にFileMakerで模試関係のシステム構築をしたいという人がいたらしいのですが、結局ライセンスだけ買ってなにも作らなかったみたいです。そのためライセンスが宙に浮いていたところに私を見かけてこれ幸いとけしかけたようです。
結果としてFileMakerにかなりハマりました。
まず、FileMakerはACCESSに比べ初学者に優しい作りになっていました。ACCESSでは主キーをしっかりと考えて作成していかないと、データの入力すらできません。FileMakerではなんとなくでやってもなんとなくデータの入力ができるものですから、遊びながら勉強ができます。
なんとレベルの低い話かと思われるかもしれませんが、これは私にとってかなり大きなものでした。
次に、FileMakerのスクリプトは日本語で組み立てることができます。予め用意されている日本語の指示を組み合わせていくことでプログラミングできてしまうのです。
これで勉強にかかるコストが大幅に減らすことができます。
なにはともあれ、周りにそそのかされながらFileMaker開発を始めたのです。
3.リレーショナルデータベース
FileMakerはリレーショナルデータベースと呼ばれるタイプのデータベースソフトです。
リレーショナル、つまり関係性をもってデータを繋いでいくという考え方です。
簡単な例で行くと、「学籍番号・氏名」が入力されているテーブルと、「学籍番号・年度・学年・組・番号」が入力されているテーブルがあるとします。この2つのテーブル同士を学籍番号という関係性をもってつなぐことができます。
すると、年度・学年・組・番号で検索することで、学籍番号がわかり、学籍番号がわかることで氏名がわかるという形になります。
図式すると、年度・学年・組・番号→→→学籍番号→→→氏名という形です。
この考え方があると、ひとりの生徒は学籍番号というタグによって特定できます。生徒と紐付けたい情報は「学籍番号・情報」という形のテーブルを作ります。そして、学籍番号を中心として他の情報と結びつけていくことができるのです。
1つ1つのテーブルは小さく作っておきましょう。あとで繋げやすくなります。
テーブルは「学番・氏名」「学番・年度別組番号」「学番・回別成績」「学番・部活」「学番・保健情報」……など作っていきます。
では、次回から具体的に校務支援システムを構築していこうと思います。
note用に0から作っていきます。長丁場になりますが、頑張っていきます。