ニューヨーク紀行② 悩んだ割に決め手が大概浅いの巻
行き先決めから既にまとまらないうえに、海外旅行の経験も数えるほどの我々は、とりあえず旅行会社さんに相談してみたのであった。
相談窓口のおねえさん
さっそく席につくやいなや、旅の目的(新婚旅行)を伝え、あの国と、この国と、あっちの国もよくて、あ、でもこっちはこうで・・・と、怒涛のごとく頭の中身を思いつくままに伝えた。
まったく迷惑な客である。
普段の仕事は、どちらかと言えばとっちらかった話をまとめていくことをしているのにも関わらず、自分のことはとっちらかってばかりだ。
しかし、おねえさん、さすがは窓口担当。
時に消去法を使い、時に比較をし、ひとつひとつ話をまとめていってくれた。
やはり、旅行会社はプロだと思った。
ヨーロッパなるほどエピソード
おねえさんが教えてくれたことで一つ、「ぬぁるほどぬぁ〜〜」と深く納得した話がある。
ヨーロッパは、シニア旅行に適しているという話だ。
どうもヨーロッパエリアは、基本的にパッケージツアーで成り立つ旅行だということだった。
特にEU間で国境をまたぐことができる点、英語が標準ではない点、基本的に移動手段が車になりやすい点、などから、完全フリーの個人旅行を除いてフリープランというのはほぼ存在しないとのことだった。
つまり、組まれたプランで移動や行き先はおまかせできるという点でアレコレ考えなくてOKになるため、シニア層になってから行っても十分に楽しめる街だそうなのだ。
こればかりは、実際に行ったことがないので、本当にそうなのかどうかはわからないが、確かに諸々の条件を考えると納得できる話だった。
「じゃ、ま、今でなくていっか〜」
と、単純な我々はヨーロッパという選択肢をほぼ消したのだった。
おねえさんの母の説得力
一方で、迷いの大本命、ニューヨークの話に差し掛かる。
「ニューヨーク!はぁ、いいですよぉ〜〜」
ニューヨークと聞いておねえさんのテンションが変わったのを、我々は見逃さなかった。
おねえさんは言う。
「ニューヨークは、街歩きにはめちゃめちゃ楽しい場所です。私も大好きで数回行っていますが、帰ってきて思いますよ。『もう一回行きたい』ってね。」
心なしか、海外ドラマや映画で聴くようなセリフになっていた。
相当好きやな、この人…と思わざるを得ない熱をしょっぱなから感じた。
「あと、私も好きですが、母親は年に1回はひとりでニューヨークへ遊びに行くんですよ。」
どんだけおかんカッコいいねんな。
二人の脳裏にそんなセリフが浮かぶ。
「毎回見たい所があって、毎回買い物が楽しくて、1回の旅は1週間で丁度良いのですが、毎回行くと違っていて、あぁまた行きたいってなるようです。」
話がほかと違って段違いにリアルだった。
しかも50代をゆうに超えるであろうおねえさんの母が、ひとりでも行くというのだから、一体何がそこまで魅力的なのかどんどん気になっていくのであった。
ちなみに、行ってみた今なら分かる。
ニューヨークはそういう街だ。
Sex and the City に憧れる
時を同じくして、一日1話観る習慣となっていたのが、海外ドラマ。
観ていたのは名作と言ってもよいであろう「Sex and the City」である。
かれこれリピートすること3回。
おねえさんの話が最後のひと押しになったことは間違いないが、我々の決め手は振り返ると、このSATCにあったのだった。
Macintoshがブラウン管の時代にも関わらず、あのオシャレ感にはいつ観ても脱帽だ。
ファッションもさることながらセリフまでが逐一オシャレ。
それでいて、さっぱりとした女の友情に、カラッとした性の表現、ユーモアに溢れたやりとりや、国境・時代を感じさせない心理描写。
とにかく全てが粋なのである。秀逸なドラマを何度も観るたびに、街の人とのちょっとした挨拶などに憧れが募った。
旦那くんの女ゴコロ
これまた興味深いのは、そんなSATCを好きだという旦那くんだ。
SATCについては、あまり異性との間で話題が盛り上がることがないのだが、まさかの旦那くんはこれが好きだったのだ。
あのセリフ粋だよな〜
キャリー(主人公)おしゃれだよな〜
くぁ〜この4人歩いてたらまじでかっこよすぎるやろ〜
そんな適度な女ゴコロを持つ旦那くんと、「ニューヨークいいな!!」と共鳴するのは時間の問題だった。
こうして、あれだけ何やらかんやらと議論しておきながら結局、
「おしゃれな買い物しよう!ニューヨークで!!」
というところに落ち着いたのであった。
3周回って元に戻ってきた感はあるが、同じ方向を向いて出掛けるためには必要な議論だったに違いない。
たまに女友達のようになる彼とは結婚してよかったと思う。
あーしかしまた観たくなってきた・・・
つづく。
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