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依存しているという自覚
おんなじことをするのでも、それをやっている自覚があるか、ないか、で、だいぶ話が変わってくる。
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音楽をきくとき、わたしはふだんSpotifyにお世話になっているのだけれど、
Spotifyさんはご親切に「あなたがさっきまで聞いてた曲の傾向とか、曲のリリースされた曲の年代から察するに、こんな曲もいかがですかね?」といった具合で、わたしの知らない曲も流してくださったりする。
そんなわけで、このまえSpotifyさんが流してくれる曲をそのまま流していたら、鬼束ちひろさんの「流星群」という歌が流れ始めて、うつくしい歌声ですねえ、と思って、なんとなくそのまま聞いていた。
(ちなみにわたしは鬼束ちひろさんのことをよく存じ上げず、この曲のことも知らなかったし、ほかにどういう曲があるのかもよく知らない。この曲はドラマの主題歌で、とてもヒットした曲らしいのだけれど、しらなかった。)
そしたら「あなたがさわれないわたしなら ないのとおなじだから」というフレーズが耳に飛び込んできて、「え?」と思って、ついびっくりして歌詞を調べてしまった。調べたらやっぱり
貴方が触れない私なら 無いのと同じだから
って書いてある。わたしの聞き取りが間違っていたわけではなさそうである。
「あなたがさわれないわたしなら、ないのと同じ」???
なんだろ、すごいな。
なんというんだろう。なににそんなにびっくりしたかというと。「こんな美しい歌声で、こんな美しいメロディーラインで、そんなことをそこまで堂々と歌い上げられちゃうと、むしろすがすがしいよね」みたいなことなんだけど。
だってあれでしょ。「あなたがさわれないわたしなら、ないのと同じ」って「いまのわたしにとっては他人軸がすべてですよ」って全面的に認めてる、全面降伏、みたいなことだよね?すごいな。
歌詞全体の解釈は、「わたし」は「あなた」とのつながりが脆いものだと感じていて、でも「あなた」に「わたし」を必要としてほしい(そうでないとわたしはわたしの存在価値を自分では認めることができない無力感の中にいる状態だ)、みたいなことかなあ?、と、わたしは思った。憶測だけれど。
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依存はよくない、とか、精神的自立が大事、とか、自己肯定感が大事、みたいな話は、もう、いろんなところで100万回くらい見聞きしたことがある。
ただその、自立、とか、依存、っていったいなんだろう?と考えたときに、結局、人はひとりでは生きていけなくて、いろんな人やモノとのつながりの中で、存在価値を見出しながら生きているわけで。
完全な自家発電、自給自足なんてのは無理な話なので、結局、なににどんなふうに依存しているか、という、その自覚があるかないか、というところが大事なのではないか、という気がしている。「あ、いまわたしは○○に依存してるな」と、第三者的に、わたしをみつめる視点、みたいなもの。
ただ単に「依存はよくないよ、ほんとよくないよ」とか言っててもしょうがないし、
ほんとうは依存してるのに「ふん、わたしあのひとのことを愛しているけど、依存なんてしてないもん、あなたがさわれないわたしだっていいもん、それもわたしだもん」なんて言っててもしょうがない。
それがいいとか、悪いとかの判断の前に、なにごとも、現在地点をみつめるところからだよね。
わたしもいろんなことに依存しているし、それを自覚しつつもバランスをとって生きているのだ。
なんて、妙に考え込んでしまったな。