【3分でわかる】『ミッシング』レビュー
あらすじ
突然愛する娘、美羽を失った沙緒里と崇高。
どんなに手を尽くしても娘は見つからず、日が経つごとに世間の関心は薄れていき、世間と家族の熱量のギャップに苛立ちを隠せない沙緒里は、次第に家族に当たるようになっていきました。
目を離してしまった罪悪感に押しつぶされ、どんどんと憔悴していく沙緒里。
そんなある日、ローカルのテレビ番組から取材のオファーがやってきます。
藁にもすがる思いで取材を受けますが、番組内で美羽がいなくなった日にライブに行っていたことを晒され、沙緒里はネットから酷い誹謗中傷を受けてしまいます。
姿の見えない悪意に耐えながら必死で美羽の捜索を続けますが、有力な情報は得られずお金は減っていく一方。
娘に会いたい。
もう一度この手で抱きしめたい。
その想いでなんとか気力を保ち続けますが、日に日に焦りと不安は募っていきました。
はたして美羽の手がかりは見つかるのでしょうか。
続きは本作でお楽しみください。
みどころ
1)ドキュメンタリー番組のようなリアルすぎる描写
とにかく描写がリアルで、子供が行方不明になってしまった家族はこんな気持ちなんだろうなと想像できてしまいました。
悲痛な面持ちでビラを配る姿。
スーパーや飲食店で娘に似た子を見つけ駆け寄る姿。
わずかな情報を求めて情報提供者に会いにいくも、会ってもらえず肩を落とす姿。
どれもが実際に被害者家族が経験しているであろう姿で、沙緒里達の悲しみや苦しみがリアルに伝わってきました。
美羽が帰ってきたら、好きなものを食べさせてあげたい。一緒に食べたい。
朝起きたら、髪をとかして結ってあげたい。
そんな沙緒里の言葉は、娘を亡くした母の言葉そのものでした。
子供を持つ親は見れないだろうなと思うくらいリアルな描写が多く出てくるので、観られる方は覚悟してご覧ください。
2)姿の見えない悪意
母親は娘を虐待していた。
両親が娘を殺し、被害者を装っている。
そんな酷すぎる誹謗中傷を受けた沙緒里は、物語が進んでいくうちにどんどん心を失っていき、自分のせいだという罪悪感に押しつぶされていきます。
誹謗中傷は目には見えないナイフです。
一度負った傷は簡単には癒えることがなく、徐々に積み重なっていき、いつしか心を壊します。
軽い気持ちで発した言葉が、その人にとって致命傷になってしまうかもしれない。
人は忘れてしまう生き物ですが、そのことだけは心に留めておかなければいけないなと改めて感じました。
リアルで切なく、心が締め付けられますが、本当に考えさせられる作品だったので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。